軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

我が国をご案内!

ヴェロニカお母さんとシャーロットちゃんを呼んで、家の周りの説明をすることになった。

エリザベスちゃんは妖精メイドのサクラちゃん達に任せている。

しかし、さっきは大変だった。

「食糧は花よりも大事!」とイメルダちゃんが言い張って困ってしまった。

いや、分かる。

分かるよ。

生きるためにと考えたら、綺麗な花より小麦やお米だよね。

でも、その場所は妖精姫ちゃん達にお礼として使ってもらっているわけだからね。

簡単に取り上げるわけには、いかないじゃない!

イメルダちゃんを何とか説得して、妖精姫ちゃん達の花壇はそのままという事で収まった。

あと、そもそももうすぐ冬なので、育てる場所等は春になってから決める事となった。

イメルダちゃん、ものすごく張り切ってた。

……なんだか、暴走しそうで不安だ。

イメルダちゃんの突然の凶行? に恐れを抱いたのか、妖精姫ちゃんはお目付役らしきメイドちゃんを母子三人に付け始めた。

現在、イメルダちゃんに付いているのは黒髪の黒バラちゃんで、シャーロットちゃんに付いているのはウメちゃん、ヴェロニカお母さんに付いているのは紫髪のスイレンちゃんだ。

可愛らしい妖精メイドちゃんが付いて、シャーロットちゃんは嬉しそうだ。

自分の肩に止まって微笑む妖精メイドのウメちゃんを見ながらニコニコしてた。

ヴェロニカお母さんは、おっとりした感じの妖精メイドのスイレンちゃんを肩に乗せて、こちらもニコニコしている。

ただ、イメルダちゃんだけは自分の頭に、いたずらっ子な妖精メイドの黒バラちゃんに乗られて困っていた。

多分、妖精ちゃんは小さいので乱暴にも扱えずにいるのだろう。

致し方がなく「こら」と言いつつ、妖精メイドの黒バラちゃんを掴むと、イメルダちゃんの手の上に移動させる。

なにやら、プリプリ怒っている妖精メイドの黒バラちゃんに対して、イメルダちゃんは「人の頭の上に乗っては駄目よ」と注意していた。

まあ、多分無駄だと思うけどね。

それはともかく、集合した三人に対して、町に出かけている間の注意事項を説明する。

一番重要なのは結界についてだ。

皆を結界の端まで連れて行き、結界石を見せつつ説明をする。

「この結界石の外から中には入れないようになっているの。

だけど、攻撃から完璧に守ってくれるわけじゃないの」

この結界は生き物や魔力を帯びたものを防ぐことが出来る。

だから、ドラゴンや魔法、魔術攻撃は防ぐことが出来る。

反面、無機物は普通に通す。

風だってそうだし、雨水や雪などは普通に通す。

そして、石とかも普通に入ってくる。

なので、例えば投石による攻撃は普通にすり抜けてくるということだ。

「魔獣の中にはそういう攻撃をしてくるのもいるから、結界内であっても外に出るのは、必ずわたしが側にいる時だけにしてね。

わたしがいない場合は、家から絶対に出ないこと。

あの中なら、よほどの事がない限り安全だから」

わたしの注意に、皆、コクコクと頷く。

それを確認した後、先を続ける。

「そして、結界の外にはよほどの事がない限り、出ちゃ駄目。

出たら、命は無いと思ってね」

イメルダちゃんとシャーロットちゃんの顔がこわばる。

ヴェロニカお母さんはニコニコしている。

分かってるのかなぁ。

「この結界の外から中には、普通、入れないの。

入れるのはわたしをはじめとするママの眷属、もしくは結界石を持っている者など」

あらかじめ作っておいた結界石を、三人に配る。

「あら、綺麗な石ね」「そこに並んでいるのと同じ石だわ」とヴェロニカお母さんとイメルダちゃんが石を見ながら言う。

「基本的には外に出ないようにしてね。

もし、どうしても必要な場合は、必ず、その石を持っていること」

ヴェロニカお母さんが挙手しながら言う。

「サリーちゃん、試してみていい?」

「構わないけど……」

念のために、わたしも結界の外に出て、何かあった場合に備える。

それを見届けて、ヴェロニカお母さんも結界石らを跨ぎ、外に出る。

「まずは、石を持たずに試しても良い?」

「普通に入れないだけだと思うけど?」

「一応ね」

ヴェロニカお母さんはわたしに石を渡すと、結界に向かって手を差し出す。

結界の所でぺたりと止まった。

「本当に入れないわ」

「うん」

石をヴェロニカお母さんに渡すと、それを受け取り、手を差し出す。

「今度は入れる」とそのまま結界の中に入った。

「ねえねえ、サリーお姉様!

シャーロットもやりたい!」

そういうので、一連の流れを試して貰う。

シャーロットちゃん、結界が触れるのが面白いのか、キャッキャと楽しそうに笑ってた。

ついでに、イメルダちゃんにもやって貰う。

「わたくしは~」なんて断ろうとしてたけど、一応、試して貰った方が良いと説得した。

結界を触った時のイメルダちゃん、シャーロットちゃん同様、なんか嬉しそうだった。

次に、結界内にある物を説明する。

まずは、妖精ちゃんが住む大木、皆、家の裏側にあるそれに気づいていなかったらしく目を丸くしてた。

樹洞(じゅどう) の中に神殿があると教えてあげたら、ビックリしてた。

教えたのは迂闊だったかも、シャーロットちゃんが「見てみたい!」と目をキラキラさせながら言い始めてしまった。

出来なくはないけど、流石にあの高さに女の子を連れて行くのはどんなものだろうか? と思い「落ち着いたらね」と言っておいた。

忘れてくれたらありがたい。

次に、荷車が入っている車庫と食料庫を念のために紹介する。

食料庫の地下、冷凍室には三人とも目を丸くしてた。

凍てつくように寒い部屋に入るのは初めてのようだし、お肉が山積みになっているのを見るのも初めてとのこと。

イメルダちゃんが呆れ気味に言う。

「サリーさん、これ一人で食べるつもりだったの?」

「一人じゃなく、ケルちゃんとね」

それに、冬ごもり用だからと説明すると驚いていた。

というより、基本、お屋敷にいたからあえて冬ごもりという意識がなかったとのこと。

なるほどねぇ。

「冬になったら、基本、この家の中だけで生活するから、それに耐えられるぐらいの食料が必要なの。

町からも離れているから、買いに行くことも出来ないしね」

「なるほど」とイメルダちゃんが深刻そうな顔で頷く。

「まあ、沢山の魔力が必要になるけど、最悪、さっきの植物育成魔法を使えば、増やせるよ」

と、少し気持ちを軽くさせるために、付け足した。

「便利ね」とイメルダちゃんは何故か呆れた顔で見上げてきた。

続いて、薪小屋、そして、赤鶏さんの小屋を紹介する。

皆、赤鶏さんの大きさに驚いてた。

卵の大きさを手で示すと、さらに驚いてた。

「普通、そんなに大きくないわよ!」と言うイメルダちゃんにどれくらいか訊ねると、前世のサイズと同じぐらいらしかった。

まあ、赤鶏さんは魔鳥だしね。

普通とは違うか。

三羽いてもう一羽増える予定と説明をすると、「雄だと良いわね」とイメルダちゃんは頷いていた。

念のために、「皆は余り近づかないようにね」と注意しておいた。

弱いとは言え、魔鳥だからね。

女の子や女性だと襲われたら怪我をしちゃうだろうしね。

鶏小屋から出ると、鉄鉱石を抱えた蟻さんが近づいてくるのが見えた。

なので、紹介することに。

蟻さんには「この三名は身内だから、外にいても襲ったら許さないから」とクギを差す。

蟻さん、凄い勢いで首を縦に振ったから、一応、理解してくれたと思う。

ヴェロニカお母さん達には「弱そうに見えるけど、危険だから近づかないように」と注意する。

イメルダちゃんが「ぜ、絶対に近づかないわよ!」と顔をひきつらせ、同じような顔のシャーロットちゃんもコクコクと凄い勢いで頷いてた。

あれ?

怖いのかな?

ひょっとして、二人とも虫嫌い?

ヴェロニカお母さんはそんな二人の様子をニコニコしながら見守っていた。

ヴェロニカお母さんは平気みたい!

何やかんや言っても、さすがは大人だね。

蟻さんから鉄鉱石を受け取り、林檎とオレンジを植物育成魔法で育ててそれをお返しとした。

その様子を見て、ヴェロニカお母さんが凄く驚いてた!

「サリーちゃんって、童話とかに出てきそうね」

と言われたから、「童話ってどんなのがあるの?」と聞いたら、後で教えてくれることになった。

ちょっと楽しみ。

蟻さんを見送っていると、兵隊蜂さんが近寄ってきた。

それに驚いた妹ちゃん達が悲鳴を上げて、わたしの腰に抱きついてきた。

ああ、まあ、女の子にとっては流石に怖いよね。

ヴェロニカお母さんも少し顔をひきつらせている。

蟻さんに比べて、兵隊蜂さんは厳つくて強そうだもんね。

「大丈夫大丈夫」と意識して軽い口調で言う。

「さっきも言ったけど、結界内には入れないから。

それに、彼は顔見知りだから」

そういって、兵隊蜂さんに三人を紹介する。

さっきの蟻さん同様、外で見かけても攻撃しないようにと注意する。

兵隊蜂さん、悠然と頷いた。

兵隊蜂さんが飛んでいくのを見ながら、近くに巨大蜂の巣があると説明をすると、ヴェロニカお母さんが喰気味に「蜂蜜とかもらえるの!?」と言い出した。

「ヴェロニカお母さんは大人だから、関係ないでしょう?」と呆れ気味に言ったら「わたくしは子供よ!」と一点の恥じらいも無しに言い始めた。

「大人!

大人でしょう!」

と言えば、なにやら上目遣いをしつつ、「サリーお姉様ぁ~」なんて言い出した。

頭に来る!

本当に頭に来る!

何が頭に来るかって、なんかちょっと可愛いと思っちゃったのが頭に来る!

「お母様……さすがにちょっと」

とイメルダちゃんが困った顔で呟いた。