作品タイトル不明
焼肉パーティーのあとで
「あー、おなかいっぱいだー。食べすぎたー」
自室のベッドの上で僕は横になってお腹をさする。
スーちゃんとさらに仲良くなった記念にお肉屋さんでお肉を買い込み、家に持って帰った。
あまりに大量にお肉を持ち帰ったため、お母さんを驚かせてしまったくらいだ。
うれしいことがあったからどうしてもお祝いみたいにお肉を食べたいのだと説明して今日は焼肉パーティーとなったわけだが、さすがにお肉の量が多すぎたのか、お父さんもお母さんも途中で油と煙にやられてダウンしてしまった。
だが、それは不幸中の幸いだったかもしれない。
胸を押さえて換気扇の勢いをマックスにして部屋を出て行った両親。
二人とも食卓にいなくなった後は、僕とスーちゃんは気兼ねなくそのお肉をほおばった。
特に家族といえどもスーちゃんが 精神感応(テレパス) を使えるようになったことを言い出せなかったために、二人の前でスーちゃんがお肉を直接食べるわけにもいかなかった。
なので、スーちゃんのスライムとしての姿を見られる心配がなくなってからは、スーちゃんもお皿の上で嬉しそうにお肉を食べ、僕もお腹がはちきれそうになるまで食べまくった。
結果、とんでもなくお腹が膨れ上がってしまい、今は休憩中だ。
「へえ。じゃあ、スーちゃんはトンちゃんとも意思疎通がとれるんだね」
“うん。トンもユーマの魔力すき”
ベッドの上で横になりながらもスーちゃんとは 精神感応(テレパス) で話を続け、その中で曾祖母の家の近くにある山にいるトレントのトンちゃんの話が出た。
スーちゃんも僕の魔力が好きなようだが、トンちゃんもどうやら同じみたいだ。
僕の魔力って人気なんだな。
しかし、その話を聞いていて不思議に思う。
だって、スーちゃんが 精神感応(テレパス) を使えるようになったのは今日だ。
当然のことながらスキルを手に入れてからはトンちゃんとは会っていない。
ということは、トンちゃんが僕の魔力を好きだという話はどこからきたのだろうか。
もしかして、スーちゃんってスキルがない状態でもトンちゃんとは話ができていたのだろうか。
あるいは会話ができなくても相手の感情を読み取れた、とか?
そう考えると、あの時の行動も意味が理解できる。
トレントの新芽の状態のときに、スーちゃんは触手を伸ばして僕の魔力をトレントへと送り込んでいた。
きっと、あの時点でトレントの新芽が僕の魔力を欲しているのがわかっていたんだろうな。
ただ、それを僕に直接伝える手段がなかっただけだ。
「トンちゃん用にもスキルオーブがいるかな? てっいっても、もう魔石の残りも少ないし、スキルオーブが手に入ったとしても 精神感応(テレパス) が使えるようになるかはわかんないんだけどさ」
トレントのトンちゃんが意思を持ち、感情があるのであれば、スーちゃんと同じように 精神感応(テレパス) が使えるようになったほうがおもしろいかもしれない。
そう考えたけれど、あまり期待はできないだろう。
スキルオーブも手に入れられるかわからないが、それ以上にどんなスキルが手に入るかが全く分からない。
それに、ド田舎の山の中にいるトンちゃんに 精神感応(テレパス) が必要かどうかも微妙だろうしな。
「……ん? どうしたの、スーちゃん?」
“敵。近づいてきてる”
スキルのこと。
スーちゃんのこと。
トンちゃんのこと。
ベッドで体を休めながら僕はあれこれと考え事をしていた。
僕は半分まどろみの中にいた。
だが、それを咎めるかのように、スーちゃんが僕の体を揺らした。
いったいどうしたのか。
そう思ったが、次の瞬間、とんでもない一言を告げられる。
敵?
近づいてきてる?
いきなりスーちゃんに告げられた異変に、僕は驚き飛び起きながら、腕につけていたアースソナーを慌てて発動させた。