作品タイトル不明
精神感応(テレパス)
「やばい。スーちゃんすごすぎ。うちの子、天才かも」
スーちゃんがスキルオーブを取り込み、これまでにはなかった特殊なスキルを手に入れた。
その名も 精神感応(テレパス) だ。
もっとも、これは僕が勝手にそう呼んでいるだけだけど。
この 精神感応(テレパス) のスキルにより僕とスーちゃんはこれまでよりもさらに意思疎通を図ることができるようになった。
“ユーマ、だいすきー”
「うぐ。急にそんなメロいこと言わないで、スーちゃん。うれしすぎて死にそう……」
しかし、意思疎通が図れるようになったからと言って特別に高度な会話が成立するかといえばそうではない。
僕も別に頭がいいわけではないが、スーちゃんが思った以上にお子様だった。
僕はスーちゃんのことをこれまでマイベストパートナーと認識しており、どちらかというと非常に頼りがいのある相棒だと認識していた。
対等な関係のつもりではいたけれど、実際には僕のほうが頼ってばかりだった気がする。
だが、 精神感応(テレパス) を通して伝わってくるスーちゃんの意思は非常に感情的なものが多かった。
僕のことが好きと伝えてくれる。
それは、なにかメリットがあるからだとかそういうことではなく、ただ純粋に、僕のことが好きだという気持ちだけをまっすぐに伝えてくるのだ。
全く邪気のない、純粋でピュアな気持ちが僕の心へと直接届く。
ぶっちゃけちょっと恥ずかしさも感じるくらいだが、それにも負けじと僕もスーちゃんのことが大好きなのでそれを伝える。
「僕もスーちゃんのことが大好きだよ。なにかほしいものはない? なにか気になることがあったらなんでも言ってね」
そんなふうに、僕とスーちゃんはしばらくの間、 精神感応(テレパス) でお互いの気持ちを伝えあっていた。
きっと本当はもっと聞いておくべきことがあるんだろう。
ダンジョンってなんなのか。
モンスターってどういう存在なのか。
魔石って何?
地脈とダンジョンの関係は僕が考えている仮説であっているのか。
などなど。
聞いておくべきことは山ほどある。
だが、それもせずに僕らはずっとお互いのことを語り合った。
どうやら、スーちゃんの好物は僕の魔力らしい。
スーちゃんがいつも僕にぴったりと張りついて、スライムスーツみたいになっているのも理由があったらしい。
あれば、僕の魔力を直接食べるのに一番効率がいいのだとか。
そんなにおいしいものなのだろうか?
自分の魔力の何がそんなに気に入っているのかはわからないが、特に不自由はないのでいつでも好きなだけ魔力を食べてくれてもかまわない。
そんなスーちゃんは僕の魔力のほかには魔石も好きだし、お肉も大好きなのだそうだ。
今まで一番おいしかったお肉は白龍の尻尾肉だとか。
そりゃそうだ。
あれはまじ半端なかったからな。
だが、あれをもう一度食べる機会はたぶんないだろう。
そのかわりではないけれど、スーちゃんが新たなスキルを手に入れたお祝いしよう。
今日はお肉パーティーだ。
そう決めた僕は、帰りにお肉屋さんに寄って大量の肉を買い込むことにした。