作品タイトル不明
分別
「スーちゃんすごい。分別も完璧かよ。っていうか、もしかして今まで食べたものの中から金属類だけを取り出すこととかってできたりするのかな?」
ビニールハウスらしきものを食べて、使われていた鉄だけを塊にして残してくれたスーちゃんを褒めつつ、僕は気になったことを聞いてみた。
今までスーちゃんはたくさんのものを食べている。
半壊しているビルを丸ごと食べたこともあれば、分裂体となって実家周辺の下水道の掃除などもしている。
その中には当然たくさんの金属もあったことだろう。
そういうのを取り出すことができるのかと気になってしまった。
結論から言うと、さすがにそれはできないようだ。
スーちゃんの体の中が異空間になっていて、今まで食べたものが全部そこに保管されている――なんて便利な仕組みではないらしい。
スーちゃんが食べたものはきちんと消化されて無くなってしまっているみたいだ。
後から昔食べた金属などを取り出すことはできないっぽい。
しかし、それでも食べる前にあらかじめ指定しておけば、吐き出すことはできるのだろう。
今回も事前に鉄だけを残すように言っていたからこそ、体の中に取り込んだものの消化せずにひとまとめにして排出することができた。
これは結構ありがたい話ではないだろうか。
多分だけれど、今後も渚に仕事をもらい、ビルの片付けなんかもすることはあると思う。
結局のところ、あの仕事は報酬単価がけた違いにいいから、正直あの仕事は簡単にはやめられそうにない。
しかし、金儲けのためだけにあそこまできれいさっぱりと食べつくしてもいいものかと思うことはあった。
あそこにあったのは鉄筋だけじゃないはずだ。
銅線なんかもあるだろうし、そのほかの金属も僕が知らない無数の種類のものが使われていることだろう。
もしかしたら、ビル内にはパソコンとかも残っていたかもしれない。
そういった精密機器には、金や銀、レアアースのような希少資源も含まれていたはずだ。
地上にある金属は限りがある。
ダンジョンで金属資源が手に入る可能性もあるだろう。
けれど、機械で大規模に採掘することはできないだろうし、なによりスタンピードの影響でダンジョン内を探索する人の数は減っていると思う。
回収できるのであれば、回収しておいたほうがいいだろう。
とりあえず、曾祖母の家で片付けをするときには金属類は消化せずに分別して吐き出しておいてもらおうか。
分別場所を決めておけば後でマジックバッグに入れるのも楽だろうし、そんなに手間にはならないはずだ。
集めた金属を売ったらどのくらいのお金になるんだろうか。
あわよくばお小遣いくらいにはなってくれたらうれしいなと期待をしてしまう。
ひとまず、ビニールハウス跡に金属類をまとめて出しておいてもらうようスーちゃんにお願いする。
そうして僕は、その後も庭の片付けを作業を続けていった。