作品タイトル不明
家の管理
山奥にある限界集落のような場所。
曾祖母の家はまさにそんなところに建っている。
親戚一同は僕がそんな辺鄙な場所にある曾祖母の家を掃除して管理していくという話をしたときには誰もが無理だろうと考えていたようだ。
それも当然だ。
自然豊かな環境にある、人が住まない家は荒廃しやすいからだ。
特に重要なのが落ち葉だそうだ。
曾祖母の家は敷地内にすら大きな木が生えており、その木の高さは家の屋根を越えている。
そんな高い木の葉は、枯れると屋根の上に舞い落ち、どんどん積もっていく。
これが良くないらしい。
枯葉が積み重なり、それを微生物などが分解すると土になる。
つまり、屋根の上が土に覆われ、まるで地面のようになってしまうのだ。
そして、その屋根上の地面にどこからともなく植物の種が舞い降りて雑多な草が生える。
そうなると、家はあっという間に傷んでいくらしい。
人が住んでいる家であれば伸びすぎた木を切ったり、枝を剪定して、そういうことがなくなるので長持ちするが、そうでなければ植物は瞬く間に増える。
それ以外にも、人の手が入らなければ庭の草木が増え、動物もやってきてしまい、荒れに荒れる。
これを防ぐには、誰かがその家に住んで日々管理していかなければならない。
そんなことをバイクに乗って高速道路を使っても二時間三時間とかかる距離に住む僕ができるはずがないというのが多くの人の意見だった。
ごもっともな意見だろう。
だが、僕にはその心配は必要ない。
なぜなら、僕が直接この家に住み続けなくとも、少なくとも曾祖母の家をきれいに保ち続けることは可能だからだ。
当然、僕一人の力では不可能だ。
頼るべきは、マイパートナーであるスーちゃんだ。
「よーし、それじゃあ片づけていこうか。スーちゃんは分裂体をいくつか出して、庭の雑草を食べるのと、家の中のごみやほこりを食べるのをお願いね。僕はスコップで穴を掘って木を抜いていくから後でそれも食べてもらうつもりだからそのつもりでよろしく」
僕が管理することになった田舎の一軒家。
古いけれども部屋数などは多く、一つひとつの部屋は大きい。
古き良き日本家屋という感じだ。
だが、この家は敷地内に入るのにも一苦労するほどに草木が伸び切っている。
まずはこれを何とかすべく、僕はマイスコップで地面を掘り返し始めた。
まずは玄関までの通り道を確保する。
今後、何度も僕が来るつもりではいるのでバイクを家の軒先に置けるようにするためだ。
生い茂った草や低木を根元から掘り返し、強引に道を切り開いていく。
出てきたゴミはスーちゃんへと処理してもらうほか、敷地内に生えている雑草などもスーちゃんには分かれて食べてもらう。
ただ、むやみに草を食べつくして荒野みたいになっても困る。
なので、芝生みたいに、地面に少し草が残る程度で食べるのをやめてもらうようお願いした。
また、その作業中にもスーちゃんには分裂体を使って家の中の掃除もお願いしている。
あの家はこれまでもひいばあちゃんが住んでいたにもかかわらず、結構埃っぽい。
多分だけど、屋根裏だとか床下にもホコリや土、動物のフンがあるに違いない。
なので、それらを片付けつつ、屋根の上もきれいにしてもらいながら僕は作業を続けた。
スーちゃんがいるおかげで掃除は効率よく進んでいく。
また、僕が帰った後にもスーちゃんの分裂体を残していけば、最低限現状維持はできるはずだ。
こうして僕は曾祖母の家の掃除をどんどんと行い、こうして荒れ果てていた家は、見る見るうちに昔の面影を取り戻していった。