軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

古い家

「こーんにちはー。ひいばあちゃん、いるー? 僕だよ、佑馬だよー」

超絶古い日本家屋の玄関を開けながら、大声で呼びかける。

このあたりは田舎過ぎて玄関の扉に鍵すらかけていないらしい。

それは十年前もそうだったし、今も同じみたいだ。

ガラガラと少し立て付けが悪くなった引き戸を引きながら、家の中へ足を踏み入れる。

懐かしいな。

そんな風に感じた。

僕がこの曾祖母の家に来たのは多分数えるくらいのはずだ。

普通なら玄関扉を開ければそこには靴箱があって靴を脱ぐだけなのに、この古めかしい家は土間になっている。

足元はコンクリートで固められているみたいだ。

なんで、家の中の床がコンクリートむき出しなのかよくわからないけど、多分昔の家はこういうのが多かったんだろう。

自分が住む現代の洋式の家とは全然違う構造だけど、なぜだかここは無性に懐かしさを感じるから不思議だ。

この家の面白いところは、玄関を使わなくても出入りできるところだ。

家の側面に回れば縁側があるはずで、そこから勝手に上がりこむこともできたと思う。

小学生くらいの時にここに来た時にはかくれんぼだと言って、家の中と外を自由に走り回っていた記憶がよみがえってきた。

しかし、ひいばあちゃんはいないんだろうか?

一応今日ここに来ることはお母さんが連絡を入れていてくれたはずだ。

あ、そうだ。

忘れていたけど、無事に到着はしたことをお母さんに連絡しておかないといけないな。

そう思って自分の携帯を取り出してメッセージを送ろうとして驚く。

「うっそだろ。電波届かないのか、ここ。田舎ってすげえな」

家の中で携帯の電波が入らないとか、あり得るのか。

どうしようか。

ここってWi-Fiとかつなげられないっけ?

いや、そんなものはなさそうな気がする。

でも、お母さんが連絡を入れておいたってことは電話くらいはあるはずだ。

この家のどこかに電話機があるだろうし、使わせてもらおう。

「ひいばあちゃん、入るよ? お邪魔しまーす」

誰も返事をしないけど、勝手に上がりこむ。

土間で靴を脱ぎ、高さのある段差二段を上がって先に進む。

すると、その奥に部屋があった。

中央部分がガラスになっているふすまで、そのガラスの向こうに畳を敷いた和室がある。

広いな。

久しぶりに来たけど、一部屋で十畳以上ありそうで、広々としたお家だ。

その和室の横を通り過ぎてさらに奥に進むと、今度は変な模様の床の部屋があった。

多分この部屋は昭和とか平成の時代に流行った床材なんだろうな。

どこか昭和っぽさを感じる洋間だ。

たしか、この奥まで行くと台所もあるように思うが、この洋間に固定電話が置いてあった。

よかった。

おぼろげな記憶だったけど、ここに電話機があるという記憶に間違いなかったようだ。

この分だと多分ひいばあちゃんは家にいない可能性があるな。

どこかに出かけているのかもしれない。

ひとまずは電話を借りてお母さんに連絡を取ってみよう。

そう思って電話機を手に取って驚く。

なにこれ?

電話番号を押すボタンがないじゃん。

なんか、円形に数字が並んでいるけど、ボタンじゃなくて輪っかみたいになってる。

え、どうやって使うんだっけ?

そういえば、前もこの変な電話機を見て驚いたような気がする。

その時に使い方を教えてもらったように思うけど、忘れちゃったな。

僕はへんてこな電話機の使い方を調べようとスマホを取り出し、そこで電波が入らないことを思い出した。

そのため、スマホで調べものすらできないことに気が付いて、思わず笑ってしまったのだった。