作品タイトル不明
曾祖母の家
「そういえばひいばあちゃんの家に自分で行くのは初めてだなぁ。ちゃんとたどり着けるかな?」
お母さんに心配されながら自宅からバイクに乗って出かける。
家を出るときは何度も大丈夫かとお母さんに言われて、平気だよと答えていたが、いざ出発するとちょっとドキドキしてきた。
曾祖母の家は我が家からは遠く、今まで行くときは必ずお父さんが車で運転して連れて行ってくれたからだ。
自分ひとりで行くという経験自体が初めてで緊張する。
迷わないようにバイクにナビをセットして走り始める。
到着予想時刻は三時間後くらいになっているけど、初めて行くし休憩は多めにとっておこうかな。
そうすると時間はもう少しかかるかもしれない。
ま、スーちゃんが僕の体もバイク自体も覆って守ってくれているので事故でケガするリスクというのはそんなに心配ないと思う。
あまり緊張しても疲れるだけだし、景色を見ながら走りを楽しもう。
高速道路を使い、気持ちよく走り続ける。
しばらく行くと僕が地脈を再生させたエリアを出る。
ここからは地脈が乱れた土地だし、高速道路上は平気だとは思うけど、いつモンスターが現れるかもわからない。
油断せずアースソナーで周囲を警戒しながらも、スピードを維持して進み続ける。
そんなこんなで、バイクを走らせやってきたのは山の中。
すでに高速道路を降りてから、まだまだ道を走り続けている。
曾祖母の家は高速を降りてからも距離があり、クネクネ道をいくつもクリアしていく先にあるためだ。
このあたりに来ると信号の数も少ないので、高速道路を降りても気持ちよく走り続けることができる。
「うわ、すっげえ。なにこれ? ひいばあちゃん、ここに住んでるってマジ?」
そうしてやってきた曾祖母の家は僕の予想よりも荒れていた。
まず家が見えない。
ジャングルかここは、と思うくらいに草木が生えている。
敷地に入る前に顔を左へと向けるとひたすらに竹藪が続いている。
右手側はいくつもの大木と背の高い草で覆われていた。
そして、その間にある曾祖母の家へ続く細い通り道は、背の高い雑草がアーチのように覆っていた。
きっと背の低いひいばあちゃんが通るたびに、獣道みたいな細い隙間だけが残ったんだろう。
とんでもないところに来ちゃったな。
思わずそう思ってしまった。
前に来たのは、僕が中学に上がってすぐ位だったと思う。
その時はこんなに草ぼうぼうの手付かず状態ではなかったはずだ。
木も剪定されていたように思うし、草も刈られていたし、竹藪もあんなに無秩序じゃなかったはずだ。
この状態はちょっと勘弁してほしい。
なぜかと言うと、虫が多いからだ。
僕の周りには蚊が飛んでいるし、さっきは蜂まで見かけた。
スーちゃんが体を守ってくれていなかったら、僕は今頃全身をかきむしっていることになっていただろう。
マジでひいばあちゃんはここに住んでいるのか?
草をかき分けながらバイクを押して進み、その先にある荒れ果てた古い家を見て、もう何度目かわからないその考えが、再び頭をよぎった。