軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

畑の土に

どうでもいいことだが、僕は今回の話で初めてお母さんが畑仕事なんてやっているのを知った。

前はやっていなかったように思う。

というか、うちは畑なんて持っていなかった。

せいぜい、自宅の敷地内で花を植えて育てるくらいじゃなかっただろうか。

そう思って確認すると、どうやら自前の畑というよりは、いわゆる貸し農園というものをしているらしい。

月々いくらを支払って、畑を借りて野菜などを育てるのだそうだ。

これは、お母さんのように本格的な農業をしたことがない素人さんでも、しっかりと作物が育てられるようにするサービスらしい。

いつ、どんな種類の野菜を植えるのか。

肥料は何を使い、水やりはどうすればいいのか。

そういったことを細かくアドバイスしてくれるらしい。

自然相手なので、順調に育っても収穫する前に鳥に食べられてしまうこともあるらしい。

そういった失敗談はあるみたいだけれど、それでも初心者でも十分に楽しめるみたいだ。

意外と人気のサービスのようだ。

「今度、新しいお野菜を植えるために畑を耕して畝を作るつもりでいるのよ。佑馬がそれを手伝ってくれたらお母さんうれしいわ」

頬に手を当て、にこやかにそう言われると断れなかった。

まあ、いいか。

別に、穴掘りがダンジョンじゃなきゃ駄目ってわけでもないしね。

うん、いいよ、と答えてお母さんと一緒に畑に行く日を決めて、その日の話し合いは終わった。

一晩経ち、その翌日の朝。

僕はダンジョン跡地にやってきていた。

畑に行くのは明日に決まった。

そして、僕はその畑で一つの実験をしてみたいなと考えている。

それは、ダンジョンの土、についてだ。

かつて、僕がダンジョン通いをしていたころ、ダンジョンの壁を掘り、ダンジョンの土を土嚢袋に入れて持ち帰っていた。

そして、土嚢袋に詰めたダンジョンの土は、ギルドの建物で安値ながらも買い取ってもらえていた。

ということは、ダンジョンの土にはなんらかの利用価値があるということだろう。

で、普通に考えて土を使うのは野菜を育てるときじゃないかと思ったわけだ。

だが、今の僕はダンジョンには行ってほしくないと両親に止められたばかりだ。

気になるからといってダンジョンで土を回収してくることはできない。

が、このダンジョン跡地ならば話は別だ。

ここはすでにダンジョンが消滅した場所であり、その研究や調査も終わり、封鎖も解除されている。

ここなら自由に立ち入れるし、危険もない。

すでに消滅したダンジョン跡地で土を掘り返し、その土を土嚢袋に入れてからマジックバッグへと収納していく。

果たして、ここの土が本来のダンジョンの土と同じなのかはわからない。

が、この土を使って魔石とともにピカピカの泥団子を作れば、モンスターであるスライムすら生み出すことができた。

ならばこの場所の土は普通のものではないと言えるだろう。

これを畑に使ったら、どうなるんだろう。

それが気になった。

なので、自分で確かめるために土を回収していく。

マイスコップでザックザックと土を掘る。

それを袋へ詰め、畑に撒けそうな量を回収していく。

そうして僕は、翌日の畑仕事に向けた準備を進めていった。