作品タイトル不明
愛車購入
教習所に通い、交通ルールを学びつつ、バイクの運転についても習う。
僕は車の免許などはないので、教習所の卒業検定に合格した後は免許センターに行き、本免許学科試験というものを受けなければならない。
まあ、これはそんなに難しくはなかった。
普通に勉強していればクリアできるもので、僕は無事に試験に合格し、ついにバイクの免許を手に入れた。
で、バイクの免許を手に入れたからには、次は当然マシン本体を買わなければならない。
というわけで、僕は近所のバイク屋さんへ向かった。
この店で僕はすでにバイクの購入を予約していた。
昔からあるガソリンで動くタイプではなく、電気で動く電動バイクでもない。
僕が目をつけていた魔力駆動のバイクのリミッター付きのものだ。
僕が取ったのは普通二輪免許なので、大型バイクには乗ることが許されていない。
そのため、速度が出すぎることを防ぐリミッターが取り付けられているのだという。
赤を基調としたレーシングタイプのオートバイ。
本来の性能にはリミッターが掛けられているが、それでも十分すぎるほど格好いい。
こいつが僕の新しい相棒だ。
魔力駆動式で僕の持つ魔力を使って走ることができるため、お値段が高いとはいえこれから長く使えばランニングコストは悪くないともいえるかもしれない。
整備を終えたそのバイクは、すでに納車を待つ状態になっていた。
バイク屋で支払いを行い、新品のヘルメットをかぶる。
そして、新しい愛機にまたがる。
うん、いいな。
乗った感じもしっくりくる。
こいつを選んだ理由は、魔力駆動だけじゃない。
バイク自体のバランスが非常にとれているという評判も見かけたから購入に踏み切った。
僕の体はいまだに中学生サイズだ。
そんな僕でも、なんとか両足が地面に届くし、安定感もある。
ハンドルを握る。
それだけで胸が高鳴った。
十年間ダンジョンに閉じ込められていた僕が、今はこうして好きな場所へ走って行ける。
それが、なんだか無性に嬉しかった。
そして、軽く動き始める。
静寂。
ガソリンタイプであればエンジン音がするのだろうけれど、こいつは違う。
魔力駆動だからか、エンジン音のようなものはほとんど聞こえない。
非常に静かだ。
あまりにも静かすぎて、走っていても通行人に気付かれにくいのではないかと少し心配になるレベルだ。
だが、風を切る音のみで颯爽と走り抜けられるのは、このバイクと一体となっているように感じていいかもしれない。
バイク屋の店主に礼を言い、店を出る。
どこに行こうか。
初めてのバイクで浮かれてしまう。
このまま家に帰るのはちょっともったいない。
というわけで、僕は気の向くままにバイクを走らせる。
通行人の少ない広い道が続くほうへとバイクを走らせるため、そのまま山のほうへと走り出したのだった。