作品タイトル不明
スライムレンタル
「佑馬君、この子、すごいね。うちのスライムよりもずっと早くゴミを食べてくれるから助かるよ」
「スラちゃんは体が大きめだからよく食べそうだと思ったけど、やっぱりそうだったんだ。ゴミ屋敷の掃除の役に立ってくれたかな?」
「もちろん大助かりだよ。ってわけで、はい。これ、スラちゃんのレンタル代の契約書だよ。内容をよく読んで佑馬君がいいと思ったらサインをお願いします」
ダンジョン跡地で新しい仲間となったスラちゃん。
僕が両手で一抱えするくらいには体の大きなスライムだが、このスラちゃんを渚へと紹介した。
ダンジョン跡地でも魔石さえあれば新しいスライムを仲間にできるという情報も添えて。
だが、渚は自身で魔石を持っていないし、今はスタンピードの影響によりダンジョン関係での取引はやりにくいということで、自分自身でスライムを生み出すことができなかった。
その代わり、僕からスラちゃんを借りて、ゴミ屋敷の清掃現場へ連れていき、実際に作業を手伝ってもらったらしい。
結果としては、大成功に終わった。
これまでは渚や楓ちゃんのもとにいたスライムは野球ボールからソフトボール程度の大きさしかないスライムたちであり、ゴミを食べてくれるけれど、一度に処理できる量には限界があり、どうしても時間がかかっていた。
なので、渚のスライム活用法としては現場に一晩スライムを残していき、夜のうちに細かなゴミなどを処理してもらうことが多かった。
だが、大きめサイズのスライムであるスラちゃんであれば、ゴミ屋敷に残された家具のような大物まで食べて処理できる。
スーちゃんと比べたら時間はかかるが、それでも、これまでとは比較にならないほど作業効率が違うらしい。
というわけで、スラちゃんの力を借りた現場は仕事がはかどった。
そして、渚はその仕事ぶりを高く評価し、報酬を提示してきた。
僕としては友人である渚にスラちゃんを預けただけなので気にしないと言ったのだけれど、ちゃんと報酬を支払うと言って譲らなかった。
僕自身は今回渚と一緒に現場に行ったわけではないので、バイト代はいらないと伝えたのだけれど、それならばスラちゃんを借り受けたレンタル代を払うと言ってきかなかった。
会社経営者として譲れない部分なのかもしれない。
そこまで真剣に言われると、さすがに断り切れなかった。
押し問答の末、レンタル代だけは受け取ることにした。
――しかも、話はそれだけでは終わらなかった。
今度はスラちゃんを長期レンタルしたいという希望を渚が提案してきたのだ。
今回は現場に一度連れていくだけのレンタル代だったけれど、次は一か月間借りたいのだそうだ。
渡された契約書を読んで、そのレンタル代の高さに驚く。
思わず二度見するくらいの金額だった。
が、それでも十分に元が取れるのだろう。
たとえ、スラちゃんのレンタル代に三百万円を出しても、一か月間フル稼働させられれば、さらに大きな利益につながる。
また、ひとまずレンタル期間を一か月に区切るのはお試し期間としての意味合いもあるみたいだ。
スラちゃんを借りる金額が適正かどうかの検討やどんな現場で仕事を任せるのが一番良いのかを調べるつもりらしい。
「スラちゃんはどうかな? 渚と一緒に仕事をするのをしばらくやっても大丈夫そうかな?」
僕がスラちゃんを抱きかかえながらそう尋ねると、返事をするようにプルプルと震えた。
少なくとも嫌ではなさそうだ。
ならいいか。
こうして僕は渚の会社にスライムを貸し出すことで報酬を得て、そのお金でバイクの免許を取るため、教習所へと通うことにした。