軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

スラちゃん

ダンジョン跡地でのスライムの出現。

この話は、さっきの会話でも一切話題にならなかった。

おそらく、多分研究者たちも知らないことだと思う。

というか、ダンジョン跡地調査中にスライムと言えどもモンスターが発生したら、このダンジョンは消滅していないと考えるはずだ。

そうなっていない以上、モンスターは一度も発生していなかったのだろう。

かつて僕がスライムを生み出す方法を見つけ、それを渚や楓ちゃんに教えた。

渚はその方法を活用し、今では清掃業の会社を経営しているが、この手法はほかの人には言わなかったそうだ。

もしかすると世の中には同じ方法を知る人もいるのかもしれないが、おそらくメジャーな情報ではないのだと思う。

また、僕はその後もこのダンジョン跡地で実験を続けていたが、魔石がないとスライムは生まれなかった。

僕がマジックバッグに保管していた魔石を泥団子に入れると、スライムが生まれる。

だけど、魔石を入れなければ、どれだけ待っても泥団子には変化がなかった。

僕の記憶違いでなければ、ダンジョンがまだ消滅していないときには泥団子の中に魔石は入れなくてもスライムは生まれたように思う。

泥団子に自分の魔力を込めながら磨いていたはずだからだ。

仮に調査団の誰かが興味本位でこの洞窟内で泥遊びを始めたとしても、スライムは生まれなかっただろう。

魔石は基本的にダンジョン内でモンスターを倒して手に入れられるドロップアイテムだ。

しかも、それは日本では基本的には燃料の材料として消費される。

わざわざダンジョン跡地の調査に来る人が魔石を持ち込み、泥団子へ入れるようなこともしないだろう。

「これ、渚に教えてあげたら喜ぶんじゃね? 会社を大きくしたいなら、スライムはいくらいても困らないだろうし」

このダンジョン跡地では基本的にはモンスターは発生しないが、特定条件でのみスライムを生み出すことができる。

この情報は大きいと思う。

人によっては、だけど。

また、この魔石入り泥団子でのスライム発生は別の発見もあった。

それは、かつての泥団子から生まれたスライムよりも大きいスライムが生まれたことだ。

僕の前では、一抱えはありそうなまん丸のスライムがプルプル揺れていた。

かつてスーちゃんが出現したときには野球ボール程度の大きさだったのに、こいつはかなり大きいと思う。

ダンジョン機能を失ったこの跡地で大きなスライムが生まれたというのは、きっと魔石を入れた影響だろう。

僕が持っている魔石はダンジョンの天井とかを掘っているときに見つけた魔石鉱脈のもので、大きさが結構大きいからだ。

初めて楓ちゃんがスライムを生み出して手に入れた魔石は小さなかけらみたいな大きさしかなかった。

逆に考えると、大きなサイズの魔石を入れたことでビッグサイズのスライムを生み出すことができるんだろうか。

「君、僕と一緒に来るかい?」

新たに生まれたスライムにそう呼びかけると、プルプルと震えて僕のほうへと近づいてきた。

とりあえずこの子は渚に渡してみようかな。

スーちゃんほどのゴミ処理能力はなくても、普通のスライム十匹分以上の働きをしてくれそうだ。

僕はこの子にスラちゃんと名前を付けて、連れ帰ることにした。