軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

現場の観察

「ここが、ダンジョンが消滅した場所ですか。一目見ただけではただの洞窟のような感じに見えますね」

「そうです。もともとが入ってすぐの通路は洞窟型のタイプのダンジョンでしたから、おそらくはその影響なのでしょう。ダンジョンが消滅したとはいえ、この洞窟自体は少し先まで続いているようです。しかし、途中で行き止まりになっていて、モンスターも一切確認されず、ダンジョンは消滅したものであると結論付けられました」

テレビカメラの前で金剛寺さんと五条さんが二人で話している。

僕はといえば通りすがりの少年Aみたいな感じでテレビクルーの人たちの中に紛れていた。

撮影のために動き回っている人たちに紛れて慣れていない僕がうろつけば邪魔になるだろうと思い、周囲に気を配り、クルーの移動を妨げないように気を付けつつ、僕もダンジョン跡地を見ていた。

ダンジョンは完全に消滅している。

入り口部分こそ以前と同じように洞窟のような穴が開いているのだけれど、そこから先がきれいさっぱりとなくなっているようだ。

かつては、この出入口を 探索者(シーカー) が行き交い、近くにあったギルドの建物へと立ち寄っていたものだ。

だけど、その光景ももうない。

今はただの小さな洞窟にすぎないからだ。

しかし、本当にダンジョンが完全消滅したかどうかは誰にもわからない。

なぜなら、世界中で例がないことだからだ。

恐らくそうだとは言われているが、決定的な証拠はまだ見つかっていない。

だからこそ、国は完全に放置するわけにもいかず、ずっと周囲を封鎖して調べていた。

なので、このダンジョンの近くにあったギルドの建物もまだ残っている。

どうやら、一応人が詰めているみたいだ。

きっとスタンピードがあった時に対応しやすいように人を配置しているんだろう。

「桂様、こちらに来ていただけますか? 皆さま、ご紹介いたします。彼は十年前からこのダンジョンを知る人物です。桂様は今のこのダンジョンの姿についてどのように感じておられるのでしょうか?」

テレビクルーの中に紛れてうろうろしていると、五条さんから声をかけられた。

撮影中に呼ぶということはきっと僕もテレビに映るんだろう。

ちょっとドキドキしてきた。

軽く前髪を整えてから五条さんと金剛寺さんの近くに寄っていく。

「ダンジョンの入り口は前と変わらないですね。ただ、奥のほうは誰かが掘ったのかな? 壁の土が崩されていますね」

「ああ、それはダンジョン消滅後の調査のための採掘の結果だろう。ダンジョンの特性としてダンジョンの壁や土は非常に硬く掘りづらい。が、掘れないわけではなく、しかし掘っても一定時間の経過で元に戻ることが知られている。先日まで行われていた調査では行き止まりになった場所などを掘って地形が元に戻ればダンジョンは消滅したわけではないのだろうという予測のもとで採掘をしたが、再生は確認できなかったと報告が上がっているんだ」

「金剛寺様のご説明に合ったとおり、ダンジョンの壁や土は、きわめて破壊が困難な性質を持つことで知られています。決して壊せないというわけではありません。しかし破壊には膨大な労力が必要で、通常は壁を掘ることすら困難とされています。壁を掘れたということ自体がダンジョンが機能を失っていると考えても良いのではないでしょうか?」

なんだそれ。

確かにダンジョンの壁とかはめちゃくちゃ硬い。

けど、絶対に掘れないわけじゃないのは僕は誰よりも知っていると思う。

現に僕はホームセンターで買えるような普通のスコップでも掘っていたし、同じ中学生の渚も掘ることはできていた。

僕らにできて、ほかの人にできないなんてことはないはずだ。

ただ、それでも掘ったところが元に戻らないというのはダンジョンがその力を完全に失っている証拠になるというのは間違いないと思う。

やっぱりここは完全にダンジョンが無くなっているんだろうな。

じゃあ、地脈はどうだろう。

そう思って僕は改めてこの地でアースソナーを使い、地脈の流れを確認してみることにした。