軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

半壊ビル撤去作業

「ここか。本当にめちゃくちゃになっているね。さっさと作業を終わらせて帰ろうか」

自宅から一時間半ほど、高速道路を使って移動した。

さらに高速を降りてからもしばらく走り、ようやく現場に到着する。

そこは、写真で見た時以上に強烈なインパクトを放っていた。

大きな鉄筋コンクリートのビルの壁に大穴が開いていて、今にも倒壊しそうな状態になっている。

この近くにはまだモンスターが出てくるかもしれない危険なダンジョンがあるとのことだが、このビルを撤去してはたしてこの土地を再利用できるのかどうかは疑問だ。

今後も次々とダンジョンからモンスターが出てくるのであれば到底不可能だろう。

そんなことは、僕だけでなく多くの人がわかっているはずだ。

きっと、この現場の仕事を振っている大本の組織の人たちも、この地を有効活用できるか確信を持てないまま、それでも作業を進めようとしたのではないだろうか。

そういう意味ではこのような現場に渚の会社のような零細末端企業が手を出せる機会はそうそうないに違いない。

こんなおいしい現場に来ることができたのは、言い方が悪いかもしれないがスタンピードが起きたためであると言えるだろう。

しかし、僕がこの現場を見てめちゃくちゃになっていると言ったのは、半壊したビルの状態を見てではない。

付近にモンスターがいないかどうかを調べるためにアースソナーを使って周辺を探知しての感想だ。

ここに来るまでの道中でも時々使っていたが、僕の住む地域よりも都会にあたるこの場所は地脈の流れがめちゃくちゃになってしまっている。

僕の住むエリアもひどかったがそれでも崩れかけた蜘蛛の巣みたいな状態で、地脈の痕跡というのは多少読み取れたものだ。

だが、ここは違う。

本当に地脈が完全にボロボロになってしまっていて、ひどい有様だとしか言いようがない。

大昔からある環境を原型が残らないくらいに開発しまくってできた都会という土地というのももちろんあるだろう。

川の流れは洪水対策で人間の好きに変えられてしまったことだろう。

丘になっていた部分などもあったのかもしれないが、それらも住宅地やオフィス街として使うために崩されて平地化されてしまっていると思う。

森どころか緑もあまりないくらいだ。

また、ここに来るまでに僕らも使った高速道路の敷設も地脈を断絶させる一因となったはずだ。

人が住みよい都市へと環境を作り替えたことが、古来より存在した地脈の流れをことごとく破壊したのではないだろうか。

だが、それでも探知自体はできた。

アースソナーを使用して周辺にモンスターがいなさそうだということはわかる。

地脈を再生させた地元のように超広範囲を探知できているわけではない。

けれど、すぐに襲われるような場所にモンスターがいない。

となれば、今のうちに仕事を済ませてしまおう。

再度、アースソナーを使用する。

魔力の波が現場の半壊ビルへと広がる。

アースソナーの力でコンクリートもで造られたビルの構造体、そして内部の状態まで把握できた。

見た目はいつ倒壊してもおかしくないように見えたけれど、さすがに鉄筋鉄骨を使っているだけはあって、それが支えとなり、ギリギリで崩壊を免れているようだ。

「スーちゃんは体を大きくしながらあのビルの中に行ってくれないかな。まずは中に残っている荷物を全部食べ重量物を減らして倒壊するリスクを減らそう。あのビルの中にある荷物とかって全部処分してもいいの?」

「うん、大丈夫だよ。ここはオフィスビルとして複数の会社が入っていたけど、すでに必要なものは全部運び出しているから」

「すっごい今更だけど、この倒壊しそうなビルは全部食べて更地にしたらいいって理解で大丈夫なのかな? それやっちゃうと清掃業ってより解体業みたいな感じになりそうだけど」

「許可はもらっているから佑馬君の好きにやっていいよ。ただし、条件は周囲の建物に影響を与えないようにってことだね」

「オーケー。俺とスーちゃんに任せておいてよ。すぐにきれいにしちゃうからな」

今日はお掃除屋さんじゃなくて建物解体のガテン系ってわけだ。

やるべきことを確認し終えた僕は、まず半壊ビルの中をスーちゃんとともに回り片づけていく。

それが終われば、次はビルの上部からなるべく支えを抜き取らないように気を付けて食べていく。

ビルが倒れないように、時々アースソナーを使って状態を確認しつつ作業を進める。

そうして、スーちゃんは半壊ビルを崩壊させることなく、きれいさっぱりと食べつくしていったのだった。