作品タイトル不明
渚の提案
「あ、もしもし、佑馬君? ……バイトしたい? うん、もちろんオッケーだよ。うんうん、割のいい仕事が希望だってことだね。実は今ちょうど単価の高い仕事を依頼されていてどうしようかなって思っていたんだけど、佑馬君が来てくれるなら引き受けてみようかな」
清掃業の会社を自身で興して経営している元クラスメイトの渚。
そんな渚にバイトをしたいと電話で伝えた。
すぐに僕の電話に出た渚は、今まさにちょうどいい仕事が舞い込んできたところだと言う。
「ただ、ちょっと確認しておきたいことがあるんだけどいいかな?」
「ん? なにか条件でもあるの?」
「まあ、そんな感じかな。実はね、佑馬君も当然知っていると思うけど、ダンジョンがスタンピードを起こしたでしょ? で、その被害は都会のほうが規模が大きくて、ダンジョンから出てきたモンスターが壊した建物とかがたくさんあるんだよね」
「あ、なるほど。ってことは、もしかして割のいい仕事ってうちの近所じゃなくて都会での仕事ってことだね」
「そういうこと。瓦礫の撤去作業みたいな仕事が今はたくさんあるんだけど、都会の大手企業も手が回らなかったり、モンスターが現れるかもしれないから作業員が及び腰になっているんだ。ってわけで、単価が高い上に危険手当も狙えるんだ。けど、当たり前だけどその分危険もある。どうする?」
……危険手当が必要な現場か。
それを聞くと、さすがに少し怖くなる。
ただ、 探索者(シーカー) みたいにモンスターと戦えというわけじゃなくて、モンスターが出るかもしれない危険な仕事だよ、ということになるはずだ。
で、僕はアースソナーという探知ができるマジックアイテムを持っている。
これがあれば、周囲の気配を探ることができる。
その分、リスクも減らせるはずだ。
「やってもいいかな。ただ、日中の作業はともかく夜は家に帰りたいから、何日も現場に拘束されるのは避けたいかな」
「うん、それは僕も同じだよ。じゃあ、朝一から車で現場に入れて、夜には上がれる範囲のところの仕事を受けようと思う。さすがに楓は連れていけないから、僕と佑馬君の二人で行くことになるけど、スーちゃんは連れてきてね」
「もちろん。スーちゃんなら、たいていの現場はすぐに片付くよ。任せてよ」
「頼もしいね。よし、それじゃあ、仕事を引き受けるように連絡するから一度切るね。正式に受けたら報酬額についても伝えるから待っててくれないかな」
「おっけ。僕はいつでも行けるから、焦らなくていいよ。じゃあ、よろしくねー」
渚との話を終えて通話を切る。
その後、渚から折り返しの電話がきた。
が、その仕事の金額を聞いてびっくりする。
バイト料、五百万円――いったいなんの冗談だ?
どんな危険な現場なのかと思いつつも、あまりに魅力的な金額提示に僕はそのまま話を進め、その三日後には渚と一緒に現場へと向かうことになった。