軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

広域探知

「地脈への同期完了。アースソナー広域展開」

自室に一人でいる僕が独り言をつぶやく。

僕は魔力を左腕につけている腕輪に流し、その能力を発動する。

通常であれば、僕の魔力と腕輪についている緑色の宝石の魔力とを共鳴させるようにし、混ざり合った魔力を周囲へと展開し、その魔力の波を感じ取ることで、地上や地中の状況を感知する。

だが、今の僕はそれをさらに一歩進めた使い方をしていた。

それは、アースソナーにもう一つの魔力を介在させる使い方だ。

その方法とは、地面に流れる地脈の力を借りるというものだった。

お地蔵さんから始まり、古びた寺社仏閣や道祖神、あるいは古墳やら古くからある川やご神木など様々な場所を廻り地脈を再生させてきた。

そして、その地脈の流れは僕の自宅にも流れている。

通常であればアースソナーの魔力の波は地面の土に広がっていくのだけれど、それだと探知できる範囲はあまり広くはない。

探知範囲を広げるために魔力の波を地脈へと載せてみたらどうだろうかという、ただの思いつきが、予想以上にうまくいった。

僕が住む町を超えるほどの広範な範囲を地脈の力を利用して探知する。

まるで地面の下に張り巡らされた見えない回線に、自分が接続しているみたいだった。

この利用している地脈は僕が現地に出向いて再生させただけあって、その地脈が通る地形はだいたい覚えている。

すでに頭に入っている地形をなぞるように、魔力の波が反応を示す点を探し出す。

探しているのは地上にいるモンスターだ。

ダンジョンのスタンピードという未曾有の出来事があり、地上には凶悪なモンスターが解き放たれた。

日本は初動の対応が比較的うまくいき、スタンピードを抑え込むことができた。

だが、それでも取り逃したモンスターはいる。

それらは討伐されない限り、地上でも活動し続ける。

そんな危険なモンスターが自分の住む土地に現れないかと心配で、こうして地脈を利用した広域探知を行っていたのだ。

「うん。範囲内にモンスターはいないみたいだね」

世界中でとんでもない事態になっている。

だが、僕の周りでいえばまだ大きな被害はないと言える。

なぜなら、僕の家から通える範囲にあったダンジョンは以前消滅したからだ。

消え去ったダンジョンからモンスターが出てくることはないことは自明だろう。

おかげで家族や知り合いが被害にあったりはしていない。

ただ、ダンジョンというのは日本国内だけでもいくつもある。

よそのダンジョンで起こったスタンピードで、そこから討ちもらしたモンスターがこの地に来ることだって十分にある。

というか、すでに何度かそういうことがあった。

もっとも数は少なく、その時は現場にいた警察官や 探索者(シーカー) が対応し、怪我人が出たくらいの被害で済んだそうだ。

今日のところはモンスターの気配はなし。

ひとまず胸をなでおろす。

が、どうしても不安が残る。

できればもっと広範囲で探知できたほうが安全を確保できるような気がする。

ただ、自分の足で移動できる範囲の地脈はだいたい再生できたと思うんだよな。

歩きだけじゃなくて自転車も使って広範囲を回ったから、実は結構なエリアをカバーしている。

だけれども、まだまだ範囲を広げておきたい。

バイクの免許でも取ろうかな?

見た目も自己評価も完全に中学生だけど、戸籍上は免許を取れる年齢だ。

調べてみると、車の免許は取得までにそれなりの日数がかかりそうだ。

しかし、バイクの免許なら割と短時間で取れるみたいだ。

それを知った僕は、そのための金策をすべく渚に電話し割のいい現場でのバイトがないかを相談することにした。