軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

白黒つける

ハルカとしては、当人同士が好き合っているかどうかなんていうのは確認する必要がないことだと思っていた。

二人の仲がいいのはよく知っているし、本人たちも結婚をすることは構わないのだ。あとは今は何が問題になっているかという話だった。

サラのやったことは、問題以外の部分をクローズアップしてしまっただけである。

その結果、アルベルトがコリン以外と結婚をする気がないなんて言うものだから、それにあてられてしまっただけだ。コリンもちょっとだけ顔を赤くしているから、やっぱり結婚自体は別に構わないとしか思えない。

「つまり、その……。二人は結婚するなら自分たちのタイミングで、と思っていたのに、そこに割り込まれて嫌がっているだけなんですよね」

「そうなんですか? じゃあさっきアルさんはどうして、お互いに好き合ってるという言葉を否定したんですか?」

ハルカの確認にサラがまたまぜっかえすようなことを言う。

するとアルベルトが顔をしかめたまま訂正を入れた。

「否定してねぇよ、わからねぇから、いやって言っただけだろ」

「わからないとは?」

「だって俺、コリンに好きって言われたことねぇもん。こいつ昔俺のおやじのこと好きだったし、年上好きだぞ」

「へ? そ、そうなんですか、コリンさん?」

むすっとしたアルベルトがそう言うと、コリンに一斉に注目が集まる。

「え、いや、どうかなー? た、確かに昔はドレッドさんかっこいいと思ってたけど……。ほ、ほら、アルのお母さんの話聞いてからは諦めたし……?」

「ほらな」

「そ、その、つまり、アルさんは好きってことですか……?」

「お前さ、好きとか嫌いとかばっかりじゃねぇだろ。コリンは俺の夢に付き合って冒険者になってんだよ。俺が責任取って守るのなんて当たり前だろ。俺がコリン以外選ぶのはおかしいだろ」

「…………あの、その、アルさん私静かにしてます。さっきはごめんなさい」

アルの真正面からの言葉を聞いて、サラは端に寄って小さくなった。思っていた好き嫌いとは違ったけれど、そこに確かな強い意志が宿っていたことが分かったのだ。知ったような口をきいたことが恥ずかしくなってしまったのかもしれない。

「でもコリンが俺を好きかは別の話だろ。だから親たちに勝手に決められるのは不本意だって言ってんだよ、俺は」

結局不貞腐れたような顔に戻って沈黙したアルベルトにモンタナが声をかける。

「僕は、今でもいいと思うですけど」

「なんでだよ」

「なんでかはコリンに聞くです」

「モン君!?」

「なんです?」

「いや、ほら、それはちょっと……」

「言いたいことがあるならちゃんと言った方がいいです」

指を忙しなく動かしていたコリンは、その場にいるそれぞれの顔を見てから俯いた。

「……私、別にアルに付き合って冒険者になったわけじゃないし。そんな風に思われるのはちょっと違うかなって」

「じゃあなんだよ。お前、小さいときは怖がりだったじゃん」

「…………ドレッドさんの恋の話が素敵だったから」

「やっぱおやじの話じゃんか」

「違くて!」

「何が違うんだよ」

「だから! 冒険者になって、お互いを守るような関係って素敵だなって思ったの! アルと私は許婚みたいなものだったけど、どうせ冒険者になったら私なんて置いてくじゃん。それで知らない人と仲良くなって、帰ってこないんじゃ寂しいじゃん! だったら一緒に冒険いった方がいいじゃん。アルのお父さんとお母さんみたいな関係になったらずっと一緒にいられるじゃん!」

コリンは立ち上がってそこまで一気に言ってから「ああもう!」といって顔を伏せて両手で覆い、じたばたと足を動かした。

今度はアルベルトの方がぽかんとした顔で固まっている。

「……つまりさ、お互いに相手を他人に預ける気はないってことなんでしょう? ただ今までそれを伝えてこなかっただけで。互いの気持ちを確認しあわないまま話が進んじゃってるからもやもやしていたってことじゃないのかな?」

「そですよ」

眼を合わせない二人が答えない代わりに、モンタナが振り返ってイーストンの言葉を肯定した。

「もしかしてですけど、お二人のご家族はそれをわかっていらっしゃった、ってことないでしょうか? 以前お話をしたときには、無理強いをするような方々には思えなかったんですが……」

「どうかな。どちらにしても二人の気持ちがはっきりしたところで、改めてご両親と相談してみてもいいと思うけどね」

ハルカとイーストンが現実的にこれからどうするか考え始めても、当事者二人は目を合わせずにちょっと顔を赤くしている。しっかりと考えていたくせに、いざ相手の気持ちを聞いて照れてしまっているらしい。

「そう言われてみれば……、コリンって私に男性の好き嫌いを聞く割に、自分ではあまりかっこいいとか好きとか言わないんですよね。なんだかしっくりきました……」

「ハルカぁ、もうそういう話一回やめてー……」

コリンは顔を隠すのをやめて、隣に腰かけているハルカの膝にダイブする。

ハルカはその頭をそっと撫でながら呟く。

「そうですね、私も二人が別の相手と一緒になる姿は想像がつきません。だからこそ、ちゃんと納得して話を進めるために、もう一度ご家族とお話をしましょう。お邪魔でなければ同席しますから。ね、コリン、アル」

「……うん」

「おう……」