軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第57話

とりあえずフェシリアは紅茶を用意してくれ、俺とヘスターをソファに座らせてくれた。

酒場とは思えないほど居心地が良く、非常に落ち着ける空間。

「この場所はいいな。周りの音も全然聞こえないし、集中して本が読めそうな場所だ」

「しっかりと防音をしていますので。【月影の牙】の一員としてこの場所に来なくてはいけない時が多いので、私が無理やり改修して作りました」

「フェシリアが作った部屋だったのか。道理で書斎室のような造りになっている訳だ」

「かなりのお金を要しましたが、作って大正解だったと思ってます。酒場に来るのが苦ではなくなりましたからね」

そう言いながら、フェシリアは楽しそうに笑った。

酒場のオーナーからしたら、勝手に一部屋作られた上に酒場感のない部屋で迷惑だろうが、その分の金は払っているだろうしWin-Winの関係なのだろう。

「いいですね。所謂、アジトみたいな感じで少しだけ憧れます」

「ヘスターもクリスにお願いして、拠点を作ってもらったらいいと思います。二人の実力があれば簡単にお金は稼げるでしょうし、決して難しい話ではないですよね?」

「……まぁ難しい話ではないだろうが、いつかは作れたらいいな」

今現在【翡翠の銃弾】が住んでいる、エデストルで借りた一軒家のような場所にまた住みたいという欲はある。

……ただ、俺にはまだやり残していることがあるし、ラルフも世界一の冒険者になるって夢があるからな。

クラウスへの復讐を達成したからといって、落ち着ける時間を作れるのはもう少し先。

お礼参りの旅の一環として、今回はダンジョン攻略も行っているが、ダンジョン攻略が終わったら王都に戻ってバラバラに活動することになるだろう。

だから……俺達で動くことができている今を楽しまないとな。

「……どうしたのですか? 急に神妙な面持ちになりましたが。変なことを言ってしまったでしょうか?」

「いや、変なことは言っていないから気にしないでくれ。それよりも本題に入ろう。このままだらだらと喋るのもいいが、先にするべきことを済ませたい」

「本題……? 顔見せ以外に何か用があって来たのですか?」

少し困惑しているフェシリアを見ながら、俺は王都で買ってきたプレゼントを取り出す。

フェシリアに買ってきたのは、可愛いデザインのタリスマン。

効果はオックスターの神父に渡したものと同じ効果で、魔力が微量ではあるが回復する効果がある。

ダンジョンを拠点としているヒヒイロカネランク冒険者だし、もっと良い効果を持つアクセサリーを持っていてもおかしくはないのだが、フェシリアでなくとも装備できるし悪くはないプレゼントのはずだ。

「世話になったからプレゼントを持ってきた。よかったら受け取ってほしい」

「私にプレゼントを買ってきてくれたのですか? ……ありがとうございます。あまりいい態度を取っていなかったので受け取り辛いのですが、ここは遠慮なく受け取らせて頂きます」

そう言うと、笑顔でプレゼントを受け取ってくれた。

受け取ってすぐに開封するのは、フェシリア的にはしたない行為と思っているようで机の端に寄せただけだが、中が気になるようで視線をチラチラと向けながら体をソワソワとさせている。

「別に中を見ても構わないぞ? ただ、そんな大層なものじゃないから期待しすぎないようにしてくれ」

「……いいのでしょうか!? そういうことでしたら、遠慮なく見させて頂きます!」

待ってましたと言わんばかりにプレゼントの箱を手に取ると、綺麗に包装紙を剥がして開封した。

箱の中から出てきたのは、可愛らしいデザインのものとはいえタリスマン。

フェシリアの反応が少し怖かったが、笑顔が崩れていないことから喜んでくれてはいるようだ。

「これはペンダントでしょうか? 可愛らしいデザインですね」

「まぁそんな感じのものだな。微量ではあるが魔力回復の効果があるから、多少は実用性のあるものだと思う」

「ありがとうございます。大事に使わせて頂きますね」

「ああ。大事に使ってくれたら嬉しい」

「お返しとして、私からも何かプレゼントを返したいのですが……クリスとヘスターは欲しいものはありますか?」

嬉しい提案だが、プレゼントを受け取ってしまったらお礼にならなそうだからな。

フェシリアのプレゼントは何だか凄そうだし、下手したら俺達の方が得をしてしまうまである。

「プレゼントはいらないな。その代わり……一緒に冒険するか、手合わせをお願いしたい」

「私もそっちの方が嬉しいですね。フェシリアさんとはまた一緒に冒険したかったですし、手合わせもしてみたかったので!」

「ふふ、金銭や損得勘定ではなく、私そのものを求められている気がして……なんだか嬉しいです」

「いや、完全に俺達に得だからお願いしているんだが……嬉しく思ってくれているならいいか。フェシリア的にはどっちがいいとかあるのか?」

「どちらでも大丈夫ですよ。一緒にダンジョン攻略でもいいですし、手合わせでも受けて立ちます」

どっちでもいい――か。本当に迷うな。

手合わせもしてみたいし、一緒にダンジョン攻略もあり。

いや、ここはダンジョン攻略をしてもらった方が恩恵は大きいか。

フェシリアの実力も見ることが出来る上に、ダンジョン攻略をメインに行っているヒヒイロカネランクのダンジョン知識も得られる。

そうと決まれば、早速ダンジョン攻略を手伝ってもらう方向で話を進めさせてもらおう。