軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第58話

翌日。

昨日同様にダンジョン攻略をし、ドロップアイテムの勝負も行った。

結果はまたしてもラルフの完敗であり、昨日に続いてヘスターが頭一つ抜けた一位。

俺は良くも悪くもない二位という結果に終わった。

まだサンプルは少ないから何とも言えないが、似通った結果に終わったことからも運が影響している可能性が高いと思っている。

能力判別では運というステータスはないが、もしあるのだとしたら運を上昇させる毒草なんてのもあるかもしれない。

悔しがっているラルフを横目にそんなことを考えつつ、俺達はボルスさんや【翡翠の銃弾】と別れ、ダンジョン横の冒険者ギルドでフェシリアを待つことにした。

昨日のあの後フェシリアと話し合い、すぐにでも大丈夫ということだったため、早速一緒にダンジョン攻略を行うことに決まった。

冒険者ギルド内にある椅子に腰掛けながら、フェシリアが来るのを待っていると……周囲がザワつき始めたのが分かった。

そのザワついている方に視線を向けると、先頭を歩くフェシリアとその後ろを歩いているヴィンセントの姿が見えた。

ヴィンセントは軽い感じでザワついている冒険者達にファンサービスのようなものを行っており、その姿を見てつい溜め息が漏れる。

昨日はフェシリア一人だけと言っていたのだが、ヴィンセントもついてきたって感じだろうな。

「お待たせして申し訳ございません。ヴィンセントがついてくると言って聞かなかったので、少しだけ遅れてしまいました」

「そんなに待っていないから気にしなくていいが……ヴィンセントは連れてきて欲しくなかったな」

「おいおい! 本人がいる前で言うことじゃないだろ」

声のトーンも表情もおちゃらけているのだが、ヴィンセントの目は一切笑っていない。

小さなことではあるのだが、こういうところが非常に苦手。

「ヴィンセントも俺のことが嫌いだろ? 何でついてきたんだ?」

「嫌いじゃないぞ? 苦手なだけだ」

「どっちも変わらないだろ。で、なんでついてきたんだ?」

「俺もラルフと一緒に攻略する約束していたからついてきた――ってのは建前で、フェシリアを引き抜かないように忠告しに来た。フェシリアはクリスと会ってから随分と変わったからな。髪の毛も切る始末だし、今日も急に攻略を休むと言ってきた」

「くだらない心配ですね。無理やりついてきたと思ったら……ヴィンセントはそれだけのためについてきたのですか?」

昨日は何の予定もないようなことを言っていたが、実際は今日になって探索を断ったのか。

いつもと変わらない様子に見えるフェシリアだが、暴露されたのが恥ずかしかったのか耳まで赤くなっている。

「そりゃ心配だろ。フェシリアに抜けられたら、【月影の牙】は上手く回らなくなるからな」

「安心してくれていい。俺はフェシリアを勧誘する気はないからな」

「…………なるほど。嘘ではないみたいだな。それなら別に構わない。さて忠告もしたし、嫌われ者は帰るとするか」

「俺は嫌いじゃないですよ! 今度また探索に行きましょう!」

「はっはっ! ラルフは本当にいい奴だな! また色々教えてやる!」

ヴィンセントは笑いながらラルフの頭を撫で回した後、早々に冒険者ギルドから立ち去っていった。

謎に嫌われていると思っていたが、警戒からきていると分かったのはよかったかもしれない。

……もちろんそれだけではないだろうが。

「……すみません。色々とお騒がせしました」

「別に大丈夫だ。フェシリアも色々と大変だな」

「ええ。本当に大変です」

性格の系統でいえば、フェシリアは俺寄りの性格。

ヴィンセントとは馬が合わないことの方が多そうだし、『大変です』という言葉にも重さを感じる。

時間もないことだし、とりあえずヴィンセントのことは忘れて攻略に向かうとしよう。

未だに耳が赤いし、ヴィンセントが言っていたことについては触れないようにしつつ、ダンジョンについてを聞きながら本日二度目のダンジョンへと向かった。

「さて、ダンジョンに着きましたがどうしますか? クリス達が先導して、私が後ろからアドバイスを送る形にしますか?」

「いや、フェシリアが戦っているところもみたいから、ロザの大森林を探索した時のように合同パーティのような形で進もう。その中で、適宜アドバイスしてくれると助かる」

「分かりました。それでは早速私が戦いますね」

そう言うと、フェシリアは無数の火の玉を自身の回りに浮遊させた。

恐らく【ファイアボール】だと思うのだが、一つ一つに意志があるかのように不規則に浮遊しており、その火の玉は魔物が現れた瞬間にホーミングしながら飛んでいく。

魔法なのだが魔法とは違った感じがあり、非常に興味深い攻撃方法。

どうやって操作しているのか気になるな。

「凄い魔法だな。この魔法は上級魔法か?」

「そうですよ。魔物が持つ魔素に反応して自動的に攻撃する魔法です。――と、魔法のことは一度置いておいて、ダンジョンのことを説明させてください。まず魔物が出現する場所とタイミングには規則性があります。この魔法を使うと分かりやすいので見ていてください」

魔法のことも色々と聞きたかったのだが、フェシリアが語りだしたダンジョンについての情報はそれ以上に興味深いもの。

俺は絶対に聞き漏らさないようフェシリアの解説に集中し、個別指導のような形でのダンジョン攻略が行われたのだった。