軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第35話

早速打ち解け、俺達は家の中に招いてもらえることになった。

ちなみに綺麗にされていた庭の手入れはルディがやっているらしい。

「うっわ! 本当に懐かしい! 俺達が住んでいた頃と中は全然変わってないぞ!」

「本当だな。そのまま帰ってきたような感覚さえある」

「そんなに昔のことじゃないのに懐かしいですね。あっ、スノーも覚えているみたいですよ」

ここまで大人しくしていたスノーだが、家の中は覚えていたのか尻尾をブンブンと振り回しながら、家中を嗅ぎ回り始めた。

あまり迷惑にならないように遠くには行かせないようにしつつ、俺も久しぶりの借家を懐かしみながら歩かせてもらう。

「内装が良かったので、ほとんどそのままの形で残っていますよ。流石に部屋の中は違いますが」

「正直、玄関からリビングまでを見られただけで、十分すぎるくらい懐かしむことができている。入れてくれてありがとう」

「いえいえ。家の中を見せるぐらいなんてことはないですよ。お茶を淹れますのでどうぞ座ってください」

人の家を三人と一匹揃ってキョロキョロしながら、通されたテーブルに着く。

キッチンから獣人のイルダがやってきて、俺達の前に紅茶を置いてくれた。

「何しに来たのニャ? ルディの友達?」

「さっきも聞いたと思うが、この家に住んでいたことがあったから見させてもらってるだけだ」

「前住んでいた家を見る? ギルド長が連れてきただけあって、随分と変わっているニャ!」

「そんなことないだろ! イルダだっけ? イルダも思い出の場所とかあるだろ!」

「あるけど、昔住んでいた家とかはどうでもいいニャ! 好きなご飯屋さんとかは行きたくなるニャ!」

「いやいや、それと似たような感覚だ! この家で美味いもんをたらふく食べた思い出とかもあるしな! ……思い出したら、本気で腹減ってきた! あのさ、二人にお願いがあるんだが聞いてもらってもいいか?」

思い出話から急にお願いへと話題を変えたラルフ。

俺の予想が正しければ、この流れでパーティーを行っていいかのお願いをするだろう。

もう少し世間話をしてから頼み事をしてほしかったところだが、急すぎる話の切り替えですっ飛ばしたため、止める時間もなかった。

「私達にお願いですか……? 依頼とかでしょうか?」

「いや、依頼とかの話じゃない! 今夜、この家でパーティーを開かせてくれないか?」

ラルフ側の立場でありながらも、俺は第三者目線で話を聞いていたんだが、やっぱりぶっ飛び過ぎているお願いだよな。

ルディも何を頼まれたのか理解できなかったようで、目を白黒させて呆けてしまっている。

「パーティー? 人の家でパーティーをしようとしているのかニャ! ぷっぷっぷ、やっぱり変わっているニャ! でも、面白そうだからありなのニャ!」

「本当にいいのか!? イルダにルディ、ありがとな!」

「……い、いや僕はまだ何も――」

「でも、私達も一緒にやらせて欲しいニャ!」

「もちろん構わないぜ! 家を使わせてもらう訳だし、パーティーなんか人数が多ければ多いほど楽しいしな! みんなでパーティーやろうぜ!」

「やったニャ! パーティー! パーティー!」

ルディの言葉を遮り、ラルフとイルダではしゃぎ始めてしまった。

もはやパーティをやらないという選択肢は取れないようで、ルディも諦めたように肩を落とした。

「いきなり訳の分からないことを頼んですまないな」

「いえ。イルダも乗り気になってしまいましたし、パーティー自体は楽しそうですからね。ただ展開が早すぎて困惑してしまいました」

「お互いに大変だな」

「ですね。イルダのノリに合う人を始めてみたかもしれません」

ラルフとイルダは既に手を取り合いながら、パーティーと叫んでアホみたいに踊っている。

流石に初対面の人の家ではしゃぐのは止めてほしいところだが、注意しても直る訳じゃないし諦めるしかない。

「パーティーをやると決まったら、早速準備をしないとな! 買い出しを行わないといけない!」

「買い出しは私が行くニャ!」

「じゃあ俺も買い出しに行こうかな! 他の皆はここで準備をして――」

「流石に駄目だ。二人には任せられないから、ヘスターか俺がついていく。ラルフは残って準備係だな」

「ラルフ一人にさせるのは怖いですし、料理もできる私が残った方がいいと思います。クリスさんに買い出しをお願いしてもいいですか?」

「分かった。俺とイルダで買い出しに――」

そこまで言いかけて、イルダと二人きりはしんどいと即座に悟った。

誰かを巻き込みたいが、ルディは残った方がいいだろうし……。

「副ギルド長もついてきてくれ」

「えっ!? 私も行くんですか? というか、パーティーに参加する流れでしょうか?」

「ああ、もちろんだ。拒否権はないぞ」

「うぅ、仕事が残っているのですが……せっかく久しぶりに戻ってきたのですし、仕事は後回しですよね。分かりました! 私も買い出しに行きます」

「ああ。それじゃもう行くか?」

「すぐ行くニャ! ルディ、こっちはよろくニャ!」

「どんどんと決まっていって……なんか嵐を見ている気分です」

そんなルディの呟きは、周囲のはしゃぎ声によってあっという間にかき消された。

同情する気持ちはあるが、決まった以上は全力でやるというのが俺のポリシー。

未だ呆けているルディは他に任せ、イルダ、副ギルド長、俺という訳の分からない組み合わせで買い出しに向かったのだった。