軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

後日譚 第36話

懐かしの借家を後にし、俺を先頭に中央通りへとやってきた。

パーティーをやるって言っていたが、適当に肉や飲み物を買っておけばいいんだよな?

正直ラルフが急に言い出したことで、何をするのか全く分かっていない。

「イルダは何か買いたいものはあるのか?」

普通に精肉店や青果店を回ろうと思っていたんだが、ラルフに便乗して騒いでいたし率先して買い出しに行くと言っていたからどこか行きたい店があるのかと思って尋ねたのだが……。

「靴が欲しいニャ! 軽くて丈夫なやつ!」

「……いや、そうじゃなくて、パーティーで何か食べたいものがあるのかを尋ねたんだよ」

「食べたいもの? うーん、ヨーグルトが食べたいニャ!」

わざと言っているのか、本心で言っているのか。

ラルフ以上に話が通じない相手に困惑し、俺は助けを求めるように副ギルド長に話を振った。

「……ヨーグルトも買うとして、副ギルド長は何か食べたいものはあるのか?」

「やっぱり私も強制参加なのですね……」

「もう参加するって言ったんだから諦めてくれ。それで何か食べたいものはあるのか?」

「うーん、普通にお肉とかお魚ですかね? バーべキューでもやるんでしょうか?」

「あっ、魚は食べたいニャ!」

「なら、無難に肉と魚は買っていこうか。二人は良い店を知っているのか?」

「知らないニャ! ご飯の買い物はいつもルディ任せニャ!」

なんで買い出しに行くと言い出したのか小一時間問い詰めたいところだが、家を使わせてもらっている訳だからグッと堪える。

もうイルダに頼るのは諦め、副ギルド長と二人で決めることにした。

「行きつけのお店ならありますよ。一人暮らしなので頻繁に買い物には行くんです」

「なら、店選びは副ギルド長に任せてもいいか?」

「ええ。私がいつも行っている店でいいのならご案内します」

ここからは副ギルド長に先導してもらいながら、俺達は買い物を行った。

精肉店から始まり、青果店、鮮魚店と回って、最後は酒屋。

俺達はあまり酒を飲まないのだが、パーティーの時くらいはラルフとヘスターも飲むだろうからな。

副ギルド長も酒は好きなのようだし、楽しくパーティーを行うなら必需品。

「ここがオックスターで一番品揃えのいい酒屋です! 私が一番来るお店と言っても過言ではありませんね!」

「急にテンションが高くなったな。お酒も好きそうだし、酒選びも副ギルド長に任せていいか?」

「もちろんです! お酒こそ私に任せてください!」

「ちなみにイルダは酒は飲むのか?」

「飲まないニャ! あんな苦くて不味い飲み物を飲む奴なんて全員馬鹿ニャ!」

酒好きを公言している副ギルド長の前で、更に酒屋の目の前で大声でそ言い放ったイルダ。

完全に声量を間違えているし、これがラルフだったら引っ叩いていたところ。

「急に大きな声を出すな。店内にも聞こえていたみたいで、ほとんどがこっちを見ているぞ」

「だって事実だニャ!」

「イルダさんは本当に規格外ですよね。この視線を浴びながら買い物したくないですよ」

完全に副ギルド長と同意見だが、ここで店を変えるという選択は取れない。

周囲の目を気にしないように意識し、俺達はささっと酒を買って店を後にした。

正直イルダがいて大変ではあったが、副ギルド長がいてくれたお陰で買い物はちゃんとできた。

というか、イルダと二人で買い物に来ていたら本気で地獄だったな。

咄嗟の判断で副ギルド長を巻き込んだが、我ながら最高の判断だったと思う。

「もう買い忘れはないよな? イルダの要望だったヨーグルトも買ったし」

「酒屋でジュースも買ってもらったし大丈夫ニャ! うぷぷ、酒屋なのに美味しそうなジュースがあったのは良かったニャ!」

「そうか。ヨーグルトとブドウのジュースしか買ってないけど、それで満足してくれたなら良かった」

「それよりも、お金は全部クリスさん持ちですけど大丈夫なんですか?」

「もちろん。大量に買ったと言っても大した額じゃないし、ルディ達には場所を借りていて、副ギルド長には無理やり来てもらっている訳だしな」

これぐらいのお金なら全額負担させてもらう。

そのために王都を出立する前に依頼をこなしてきたんだからな。

「ありがとうございます。それでは遠慮なく楽しませてもらいますね」

「ありがとニャ! クリスは太っ腹なのニャ!」

「ああ、一切の遠慮はいらない。それじゃ家に戻るとしよう。残っているメンバーが準備をしておいてくれていると思う」

「帰るニャ! 多分、エイミーとカルビンも戻っているニャ!」

「ん……? エイミーとカルビンっていうのは、ルディとイルダの仲間なのか?」

「そうニャ! 二人とも無口だから面白くないと思うニャ!」

「補足させてもらいますと、エイミーさんはイルダさんの妹です。カルビンさんは体格がしっかりしているタンクですね」

副ギルド長の補足で人物像はなんとなく想像できた。

イルダの言う無口がどこまで信用できるか分からないが、イルダの妹って時点で信憑性には欠ける。

ここにシャンテルも加わる訳で、これ以上うるさいのは避けてほしいところだが……。

何はともあれその二人に会うのも楽しみだし、早く帰って食材を届けるとしよう。