軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第二十二話 実力を教えよう

◎ウィンラードの街 バトロア工房

「親方〜! 武器売ってぇええ!!」

「ガハハ、オメエの買える額じゃあねえよ」

「ちぇっ」

開口一番の声にガハハ笑いで拒絶される。風音はむぅと口にした。

「何を漫才してるんですか」

その横でキンバリーがため息を吐いている。

狂い鬼と300の仲間たち討伐の告知が出た日の翌日。そして討伐開始の前日。風音は1人、親方とキンバリーの前に来ていた。

「ユミカは一緒ではないのですね」

そのキンバリーの疑問に答えたのは親方だった。

「あいつにゃあ、ジンライのとこに行ってもらった」

「牙の槍兵殿のところに?」

「ユミカならヤツのところに行きゃ一日でも成果が出ると思ったからな」

その言葉にキンバリーは「さすがにそれは…」と言いかけたが風音が何も言わないのを見てその口を閉じる。

「ま、ユミカのことはいいさ。今カザネに聞きたいのはおめえさんがどこらへんまでやれるのかってことなんだよ」

「直球だねえ」

風音の茶化した言い方に親方もへっと笑う。

「試験試合のことな。キンバリーがおめえさんとの戦いは距離次第だっつってたろ。んでキンバリーはランクはBだが実力だけで言えばAに届く。となるとカザネ、お前にもランクAの働きを期待したいってのが正直なところなんだがよ」

「親方、もしかしてずいぶんと余裕ない?」

風音の言葉に親方がヒゲをさすりながら口にする。

「以前に狂い鬼に壊滅させられたパーティの生き残りの二人が情報を集めてたらしくてな。こっちが招集かける前にその情報が出回っちまってよ。バックれたのが多いんだよ」

本人たちは悪気ないんだろうけどよお…と、親方は口にする。

(ガーラさんたちか。運悪いなぁ)

風音は心の中で舌打ちする。

「そんな逃げ出した連中などランク剥奪してやればいいんです」

「ま、そういうわけにもいかねえのよ。表向きは知らなかったで済ませられちまうしな。と、話が脱線したな」

「うん。私がどの程度やれるかって話だよね。10匹程度なら引き受けるけどそれ以上は無理かな」

その言葉にキンバリーが目を見開く。親方はそれを聞いて懐から小瓶を取り出した。

「それは?」

「マナ・ポーションだ。これをくれてやったら倍は行くか?」

「行くね」

風音は即答する。オーガは魔術に対する魔力抵抗値が高いが風音のファイア・ヴォーテックスはそれを貫いてコアまで届く。オーガの動きは鈍いので的であるしコアは普通に心臓部にあるのでダメージが通る魔術を持っていればそこまで怖い敵ではない…というのが風音の考えだ。

「事も無げに言いますね」

キンバリーでもそこまでは言えない。オーガの腕力と生命力は1対1でも苦戦する。本来熟練のパーティで引き受けられるのは2体程度だろうとキンバリーは考えている。クラスCなら6人のパーティ2つで1匹引き受けるのが限界だろうと。

風音は戦争があるので兵士が動かせないという話を弓花にしていたが、実際には街に駐留している兵は参加する。数は700だがその大半の兵の実力はランクC以下だ。冒険者は現状で集まっているのが200ほど。

「ただ親方、こっちはまじめな相談なんだけど戦力として期待するんなら杖は貸してほしいかな」

「そういやオメエ。持ってなかったよな」

魔術師の杖は魔力の増幅器であると同時に大気のマナを吸収し消費量を抑える機能もある。

「お金なかったしねえ」

「しゃーねえな」

親方は考え込んで、そしてキンバリーに指示を出す。

「キンバリー、家の店に行って一番いいヤツもってこさせろ」

「了解しました」

キンバリーはそういうと部屋から出ていった。

「成功報酬にくれてやる」

「了解。負けたら返すよ」

「おうよ」

と、そこまできて風音は自分の用件を思い出した。呼ばれたついでにやってもらおうと思っていたのだ。

「ああ、そうだ。親方、私の得物を手入れしてほしかったんだけどこの工房でできる?」

「あん。まあ、それぐらいなら俺がやってやんよ。どれ、見せてみろ」

「ん…」

風音は鞘ごと腰から抜くと親方の前の机の上に置いた。

「そういや前から随分と古いもんだなとは思ってたんだが」

そう言って親方が鞘から剣を抜く。

「こりゃまた、年代ものだな」

「分かるの?」

「古い意匠だからな。レプリカとも年季が違うし千年前ぐらいの代物だろう。よくこんなの残ってたな」

「ああ、まったくだね」

「それにこりゃあ、製造法が今と違うな」

親方がふむと髭をさすり、机の上にある呼び鈴を鳴らした。

「はい。親方、なんのようでしょうか?」

10秒と経たないうちにモンドリーが部屋に入ってくる。

「あ、モンドリーさんだ」

「カザネ、こんにちは」

「おう、モンドリー。ちょいとこいつを見てくれ」

「なんです。この剣は」

「カザネの持ち込んだもんだ。白剣と同じ流れを汲んだものだと思うんだが」

(白剣?)

風音は聞き慣れない名前に首を傾げる。

「確かに。普通に打ったものではないようですけど」

「モンドリー、おめえならこいつを解析するこたぁ可能かい?」

「難しいことを言いますね」

そう言うとモンドリーはいったん考え込んだ後、そのまま口を開いた。

「解析は可能です。白剣もそう何度も借りられるものでもないですし、この剣には価値があると思いますよ」

親方はそれを聞いて風音と向き合う。

「カザネ、ものは相談なんだが」

「金はいいから剣をくれ」

風音は即答だった。

「む、しゃあねえなあ。モンドリー、おめぇの研究所のあれあっただろう。12番。あれ持ってこい」

「12番?」

風音は「なんだろう?」と親方とモンドリーを見る。

「12番ですか。確かにあれなら実戦でも耐えられますが。いいんですか?」

モンドリーが風音と風音の剣を見る。

「とりあえず持ってきてくれ」

親方はそう指示をしてモンドリーを取りに行かせた。

「なんなの?」

「ま、戻ってきてのお楽しみだな」

親方は楽しそうにそう言って「お茶飲むかい?」と尋ねた。