作品タイトル不明
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「第二回戦の課題はぁぁぁ、決められた食材のみで作る料理だぁー!」
「「「「わああぁぁぁぁ!」」」」
「ここにある箱は5つ!! 左から――野菜!野菜!野菜!肉・魚!そしてぇぇ……特殊食材!! 参加者は順番に前へ出て、各箱から札を一枚ずつ引き、その食材だけで料理してもらうぞぉぉ!!」
昨日と同じ男性司会者が昨日と同じように、ちょっと悪い笑みを浮かべている。
「ただしぃ!!調味料は自由!! 各舞台端にある4つの台に用意されたストックから、好きなだけ持っていけるぞ! 課題を熟す間は何時でも何度でも調味料ストック台へ行き、必要な物を調達できるという仕組みだぁぁ」
聴衆も参加者も『特殊食材』の箱に目が釘付けだ。
特殊と言うからには特殊なんだろう。
でも、どのくらい特殊なのかがミソだよね。
「ではいくぞぉ!! テーブル番号1!! 『ファルバルファル侯爵家 料理長』!!前へぇぇ!!」
ファルバルファル侯爵家の料理長は口ひげを生やしたやせ型の男性だ。
勿体を付けてゆっくりと司会者のいる舞台まで移動する。
「まずは箱から札を一枚! 引いたら映像機に掲げて見せろぉ!!」
あまりのゆっくり加減にちょっとイラだった様子の男性司会者が、ついに猫を被るのをやめたらしい。
高位貴族家所属の料理長相手でも、最初から最後まで煽りっぱなしで、会場のテンションを好き放題に振り回している。
「おっとぉ?手が止まっているぞぉ?迷っているのかぁ!?」
ファルバルファル侯爵家の料理長は、箱の中に突っ込んだ手をシツコク回している。
そうだよね。一度掴んだ札も、それで良いのかと思い始めたら、なかなか踏ん切りがつかないよね?
「時間は有限だぁ!! 早く引けぇぇ!!」
あ、司会者からダメ出しがでちゃったよ。
漸く料理長が一つの木札を箱から取り出し、男性司会者へ渡した。
「出たぁ!! 最初の食材は――じゃがいもぉぉ!!」
男性司会者は参加者がズラリと並ぶ舞台に設置されている大型スクリーンを見ながら叫んだ。
あら、結構普通の野菜だった。
その後も、男性司会者に急かされたファルバルファル侯爵家の料理長は全ての箱から一つずつ木札を取り出した。
「続いてぇ!! にんじん!! アーティチョーク!! さらにヒラメ!! そして最後は――猪のレバーだぁぁぁぁ!! 係の者が挑戦者たちの調理台へ食材を運ぶ仕組みだぁぁ。調理台で待てぇぇ。開始のベルまでは食材に手を付けないようにぃぃぃ! 守れない参加者は失格になるぞぉぉ。では、次! テーブル2番の『チョール子爵家 料理長』、前へ!」
こんな感じで若いテーブル番号の順番で食材の木札を得るため、参加者が司会者の居る舞台へ。
途中1回程、新しい木札が箱に入れられた。
紙と違って木札だと嵩張るので、箱の大きさと比べ木札が厚いのだろう。
次は対戦相手の『ハリスタ子爵家 調理長』だ。
私とそれ程年齢の違わない若い男性で、肌が少し浅黒く、目鼻立ちのはっきりとした美丈夫だ。
ただ、確実に外国人だと思う。
「出揃ったあぁぁ!『ハリスタ子爵家 調理長』の食材はぁぁぁ、玉ねぎ、キャベツ、かぼちゃ、鯉そして白子うぉぅぉぅぉ!」
うわぁ、鯉と白子かぁ。
敵ながら面倒臭い食材を引き当てたもんだ。
しかも、王都は海なし町なので、白子もそこまで新鮮でない可能性もある。
うわぁぁ。
「それでは『ホットドッグ屋』、前へ!」
最初の箱からは玉ねぎ、次はじゃがいも、三つ目からはリーキが出た。
これは順当だ。まぁ、リーキはポロねぎの一種だから玉ねぎと被っているといえば被っているけどね。
スープにも、焼き物にも全部合う食材。
問題は次と特殊食材だよね。
恐る恐る4つ目の箱に手を突っ込む。
前世のおみくじもそうだけど、最初に掴んだものに縁があると思っているので、最初に手に触れたものをハシッと掴む。
男性司会者に渡すと、ニヤリと笑った。
「マトン!」
うわぁ、マトンかぁ。
野菜3つがあまり強い味ではないから、肉で味が決まると思っていた。
だから、豚とか牛とか鶏を望んでいたんだけれど、癖の強いマトンとは……。
ラムならまだしも……。
調味料で何とかなるかな?
最後の『特殊食材』の箱へ手を突っ込む。
(神様!まともな食材でお願いしますっ!)
心の中で祈りながら、一つの木札を掴む。
「ヤギのチーズぅぅぅ!」
うわぁぁぁ。
その場で頭を抱え込まなかった自分を褒めてやりたい!
マトンが相当癖のある食材なのに、あのくっさいヤギのチーズもとはっ!
渋々と調理台のある舞台へ向かう。
もちろん足取りは重いよぉ……。
まずはマトンの臭み取りをどうするかだ。
普通なら塩を大量に塗して一晩掛けて臭みを除いた後、表面だけさっと焼いて臭みの素の油部分を捨てるか、お湯で湯通して、これまた表面だけ切って捨てるかなんだけど、これから貰える調理時間にもよる。どう考えても一晩なんて悠長な事は言ってられない。
やっぱり牛乳かなぁ?
調味料の台に牛乳があれば良いけど……。
歩きながらも調理のメニューや段取りを考えてしまう。
煮るよりは焼く料理の方が良いかもしれないけど、筋張ったマトン肉を食べれるようにするには蒸したり下茹では必要かもしれない。
ああ、オーブンがあったらなぁ。
グラタンとかで誤魔化せないかな?
漸く調理台に戻ると、隣のハリスタ子爵家料理長も頭を抱えていた。
鯉っていう癖のある食材だけでも問題なのに、そこへ白子だもんねぇ。
お互い、大変な食材を引き当てたものだ……。
じゃがいもとリーキを主体にして、マトンやヤギのチーズはできるだけ少量にするしかないかも?
味の決め手は玉ねぎの甘味?
よし! 調味料台に牛乳がある事を祈ろう!
大聖堂前広場の最後の参加者が食材ガチャをしている間、私の頭の中はマトンとヤギのチーズで頭がいっぱいだった。