作品タイトル不明
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「以上で大聖堂前広場、デュエル全ての結果が出ましたっ! では、最後にテーブル番号17と18についての最終結果を発表しまーす!」
「「「「「おおおおおぉぉぉ!」」」」」
一瞬、聴衆が大きく沸いたが、次の瞬間には結果を聞き逃すまいと耳を澄ませ、広場は異様な静けさとなった。
「……」
男性司会者が周りを煽るかのような口調で私たちのデュエルの結果を発表すると言いながらなかなか発表しない。
焦れた聴衆の一部が「早く発表しろー!」と大声で詰め寄れば、男性司会者はニヤリと悪い笑顔を浮かべた。
大げさな動作で口を拡声器の前に動かす。
発表があるとまた水を打った静けさに戻る聴衆。
「2回戦に進めるのわぁぁぁぁ」
「「「「ゴクリ」」」」
「……」
再び聴衆が焦れる直前になって、男性司会者が発表した。
「『ホットドッグ屋』、『リスの宿』の両方だぁぁぁぁ」
「「「「「うわぁぁぁっぁぁぁぁ」」」」」
結局、両方とも2回戦に進めるのだ。良かった……。
「また、あんたと戦えるんだね。次は勝つよ!」
隣の調理台から手が伸びてきた。
その手を握って握手する。
次の対戦も参加者番号で決まるのなら、このおばさん料理人との試合になる可能性が高い。
さて……次は勝てるだろうか?
そう思いながら持参した包丁を仕舞い、もう一度調理台を確認して汚れを残していないことを確認すると、舞台から降りた。
2回戦は明日なので、また王城前の広場に朝集合となる。
「ナスカ、今日は色々とありがとう。あなたがいなければ、これ程手際よく料理できず、失格になっていたかも知れないわね。明日もよろしくね」
「滅相もないです。お嬢様の手際や味付けとか、たくさん勉強させてもらって嬉しいです! 明日もよろしくお願いします!」
聴衆でごった返す広場を避けて、裏道を歩きながらフローリストガーデンまで歩く。
そこまで行けばユーリが待っていてくれるので、今度は夫婦でゆっくり歩いて家まで帰るつもりだったんだけれど、レストランに着くと心配顔の母さんに引きずられ父さんたちの家に連れて行かれた。
「勝負はどうだったの?」
「もちろん、勝ちさ。そうだろう?アウレリア」
母さんの心配と父さんの信頼。
それに胸を張って応えることができて良かった。
一歩間違えば、勝者は『リスの宿』だったかもしれないのだ。
「え? なら、そのライバルと明日も対戦するかもしれないの?」
「う~ん。どうなるかは全然分からないんだけど、今日は3つの広場に参加者番号順に調理台を宛がわれたので、明日もそうなる可能性は大きいかもしれない……」
「しかし、アウレリアの料理に対抗できる人がいたんだなぁ……」
ユーリがしみじみとおかしなことを言っている。
「そりゃぁ、何年も料理しているベテラン料理人には負ける可能性があるよ?」
「いやぁ、お前の料理はそんじょそこらの料理では太刀打ちできないくらい旨いじゃないか」
へぇ~。ユーリはそう思ってくれてたんだ。
ちょっとこそばゆいよ。
「お嬢様は、今回、一度も使ったことのない食材での勝負だったのですよ」
ナスカが意気込んで説明してくれる。
「なのに、『リスの宿』の料理人は出身がその食材を食べる地方の人だったから、引き分けなんですよっ。普通の食材ならお嬢様の圧勝ですよ!」
父さんも母さんも優しく笑ってナスカの意気込みを聞いている。
「明日も勝つといいわね。応援してるわ」
母さんがそう言うと、父さんもその横で頷いている。
「じゃあ、明日があるから、私たちはそろそろ帰ります。ナスカ」
「はいっ!」
「明日もよろしくね」
「もちろんです!お嬢様」
翌朝、真っ青な空の下、昨日と同じく城前の広場に昨日の勝者たちと野次馬が集っている。
昨日と同じ尊大な態度の城の勤め人が舞台に上がった。
「本日は昨日の勝者42組の参加者が三つの広場で対戦を行う!試合を行う広場や対戦相手は、横の掲示板に張り出されている。各自確認の後、試合会場まで移動のこと。以上!」
「お嬢様、今日の対戦相手は昨日の『リスの宿』でしょうか……?」
ナスカは少しナーバスになっている。
彼女なりに昨日の対戦相手は強敵だと思っている証拠だろう。
あまり馴染みのない食材を知っていたことを除いても、パースニップの使い方や、審査員の口に入るまで如何に料理を美味しく保つかなどに心を砕いてた様子をみても、相当できる料理人だと思う。
掲示板前の参加者の人数が多少減った頃に漸く動いて確認をする。
『参加者番号34 大聖堂前広場-14 対戦相手:参加者番号5 ハリスタ子爵家調理長』
「今度の対戦相手は貴族家の料理長なんですね」
「そうみたいね……」
昨日も使った道を通って大聖堂前広場へ。
舞台は昨日と同じ大聖堂前広場だが、様子はずいぶん違う。
昨日の敗退者の調理台はすでに撤去されていた。
そのせいか、広場の舞台はやけに空間が目立つ。調理台の間隔もゆったりと取られ、今日は火口も二つずつ。
同じ場所のはずなのに、どこかがらんとして見えた。
恐らくだけれど昨日の敗者分の火口を、隣の調理台から移動させたのだろう。
これで複数の料理を一度に作らなくてはいけなくなっても対応しやすい。
聴衆も昨日と同じくらい来ている。
隣の調理台にはまだ参加者が来ていない。
貴族家の料理長……ルイージさんを思い出すなぁ……。
彼と同じくらい調理できる人なら、結構な強敵だよね。
すぅ~と深く息を吸う。
さあ、いよいよ2日目だ!
やるぞぉぉ!