軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

闇王もといユーリの新聞王への道5

「つまりお前の言う営業マンとはこういう事か?」

デルへの研修の最後にオレなりにリアの説明を纏めてみた。

・客になりそうな人、店へ広告を出さないかこちらから声を掛ける。

・その際、客のメリットとデメリットをはっきりと告げる。嘘は厳禁。

・客商売なので身なりはキチンと整える。但し色味は地味目が良い。

身なりには、服にアイロンが掛かっている事、草臥れていない靴を履く事、爪の間にゴミが詰まっていない事や髪は定期的に洗っていたり、歯は毎日磨いているか等の清潔感に関する事も含まれる。

・相手が遮って来たら被さず、話すのを止め、ちゃんと相手の言い分を聞いてから反論等をすること。

・自然な笑顔を心掛ける。

・話すより聞く能力の方が大事。

「こんなもんか?」

「デルさんは、ユーリと同じ様に感じましたか?」

「はい、私もユーリ様がおっしゃった通りに理解しています」

「なら、お二人ともちゃんと営業マンの心得を持っていると言えます。お客様はそれぞれ性格や好みが違います。中には乱暴に話す人もいるかもしれません。こちらがいくら利益が出ますと相手の事を親身になって思っていても、けんもほろろな対応をされる場合もあります。私が説明した事は基本であり、相手によっては臨機応変にお客様との接し方を変えなければならないケースもあります。そこは営業マンの腕の見せ所です。デルさんはこれまで大きな商店の店先で働いていらっしゃったので、お客様のあしらいは問題無いと思いますが、何か問題が起こったら独りで解決しようとせず、ユーリなどに相談して下さいね。デルさんの後ろにはちゃんと新聞社が付いているのですから」

「はいっ!」

研修が終わってみると、たった1日だったのにとっても疲労感を感じる。

それくらい濃い内容だった。

リア、此奴は色んな事を知り過ぎている。

何をどうすれば良いかを知っているのだ。

オレと同じ年なのに、何故こんなに迷いなく様々な事業を進められるのだろうか?

そしてその時々、或いはその仕事に必要なエッセンスみたいな事を言語化できるこの能力はどこから来ているのだろうか?

勿論、此奴だって失敗もするし、悩みもするだろうけれど、別格なんだよ。

そこら辺の年寄りよりモノを知っている気がするよ。

この特性は此奴のスキルから来てるのだろうか?

此奴を追い越す事は出来るのだろうか?

知らず知らずのうちに此奴をじっと見ていたんだろう、不思議そうな顔でこっちを見て来る。

マジで絶世の美女だから、じっと見られると何か照れるな。

デルが明後日から営業業務を始めると言うことで、明日の午前中は営業会議だ。

どの辺りの商店が顧客になりそうか、リアも含めて話し合うのだ。

まずはこのヤンデーノから始めて、鉄道と此奴ん所のホテルに泊まりながらあっちこっちの駅町や駅村を回ってもらうのだ。

ただ、駅村も最近は大いに発展しており、どこも駅町と言って良いくらいの規模なんだが、駅名に村が付いているので未だに村って呼ばれているだけだな。

「リア、今夜は何を食べさせてくれるんだ?」

デルたち従業員が帰り支度を始めたので、うっかり皆の前で聞いてしまった。

「え?」

「あ、いや・・・・」

「何かリクエストあります?」

「う~ん、何でもいいけど、肉がたっぷり入ってるのがいいかな」

「わかりました。みなさんもよろしければ食べて行かれますか?」

オレがみんなの前で食事の話をしたので、此奴もみんなに気を使ったんだろう。

「あああ、アウレリア様のお料理はとぉぉっても美味しいので頂いて帰りたいんですが、家族が待っているので、とても残念です」とメリッサが断った以外は、デルも含めてみんながウチで食事をして行く事になった。

メリッサにはお家でデザートにとケーキを渡したみたいだ。

「うわぁ、ありがとうございます。フローリストガーデンと同じ料理が食べれると家族も喜びます」とホクホク顔で帰って行った。

「では、すぐに作りますので、みなさんはしばらく事務所でお待ち下さいね」とオレん家の台所、つまり勝手知ったる他人の家ってやつでさっさと料理をしに、オレのプライベートエリアへ行ってしまった。

オレん所に来ると必ず料理してもらっているから、此奴は新聞社のスペースもオレの家のプライベートなスペースもよく知っているし、勝手に入って来られる。

ウチの使用人たちは此奴をウチの女主人的な感じで接しているしな。

15分もすると最初のアミューズを持って来てくれた。

「「「わぁぁ、おいしそう!」」」

3種類のアミューズはセロリにブリーチーズを載せたもの、ゴボウの素揚げ、プチトマトのカプレーゼがウチの家の何の変哲もない白い皿に並べられているのに、料理のお陰でとても高級な皿に見える。

続いてほうれん草のポタージュ、ゴロゴロと大きめに切られた色とりどりの野菜の上に鴨の肉がスライスされて載せてある。

「こちらのオレンジソースを掛けて食べて下さいね」とソースは別盛の様だ。

最後に出てきたのはケーキだった。

「時間がなかったのでベイクドではないけど、一応これもチーズケーキなんですよ」と、ベリー系のフルーツでお洒落に飾られたケーキが配られた。

「いやぁ、これは本当に美味しいですな」

「いつもありがとうございます。アウレリア様が来て下さった時は美味しい物が食べれて嬉しいです」

「モグモグモグ・・・・」

みんな口々に礼を述べている。

オレは毎回此奴が来たら此奴の作る料理を食べられるが、従業員は時々なのに此奴が来たらお零れを期待してすぐには事務所を後にしない。

で、今日みたいに時々お零れに与っているんだよな。

デルもとても嬉しそうだ。

期せずしてデルの歓迎会の様になった。

まぁ、親睦も兼ねてこういう機会を持てて良かったかもしれない。

しかし、幼い頃から胃袋を握られていると言うか、此奴の料理以上に美味しいものを食べた事がないので、作ってもらえる機会は絶対逃せない。

みんなが食べ終わって帰り支度をしている時にこっそり、「台所に点心を置いているので、おやつにでもどうぞ」と小声で言って来た。

オレが好きな物を作り置きしてくれるのも何時もの通りだ。

此奴には、これからもずっとオレの好きな物を作って貰いたいなぁ・・・・。