軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

闇王もといユーリの新聞王への道4

「アウレリアお嬢様、おはようございます」

「おはよう、メリッサ」

「こちらが新しい雇用人ですか?」

「ええ、今からユーリの面接を受けてもらって合格したら、ここで働く事になるデルさんです」

「ここで事務をしているメリッサです。よろしく」

「はい、よろしくお願いします。デルと言います。面接に合格して早くメリッサさんたちと一緒に働ける様に頑張ります!」

キラキラ金髪をオールバックにして平民にしては高めのお洋服を着込んだ30代の男性。

これぞ営業マンと言った雰囲気を醸し出しているのは広告関連の業務に特化してもらいたいデルと言う男だ。

新聞を安価に大量に売りさばくのに広告が果たす役割は大きい。

言うなれば収益の殆どは新聞代ではなく広告料から捻出するつもりだからだ。

まぁ、これもリアからの受け売りなんだけどな。

リアが連れて来てくれた広告専門の営業マンが使えるやつだと嬉しいなぁと思っていたら、リアとダンヒルさん、護衛2人と先ほどメリッサへの挨拶を終えたデル何某がオレの事務部屋へ入って来た。

「リア、みなさん、おはよう」

「「「おはようございます」」」

「ユーリ、広告関連の業務をしてもらう候補者のデルさんです。早々だけれど面接を始めちゃってもいい?」

「ああ。リア、お前も同席してくれ」

オレの要望に応えリアも同席しての面接が始まり、一通り質問をして得た感触は頗る良い。

このデルと言う人物の家族や知人、そしてその人となりを調査してもらった所、危惧する点は一つもなかった。

まぁ、リアがここに連れて来た事自体、もうほぼほぼ決まりの様な物だからな。

リアんところと、オレんところで二重にスクリーニングを掛けていて何も引っ掛かっていないので、面談の感触が良ければ即採用だ。

と言う事で即採用となった。

「ユーリ様、どうぞよろしくお願い致します」

「新聞の発展は広告を如何に取ってくるかにかかっているので、よろしく頼む」

「はいっ!それにしてもユーリ様はあの大公様の精鋭であるアウレリア様を愛称で呼ぶ事の出来る仲なのですね」といたく感心している様子。

貴族でなくなったオレよりも、大公様の精鋭の中でも突出して成功しているリアの方が有名で、そして此奴は平民の憧れの的だ。

まだ年若いのに数々の事業をこれでもかっ!と言うくらい成功させているからな。

リアに言わせると「私ってミダスの手を持っているってとこかなぁ」なんて訳の分からない事を言っていた。

つまり触るもの触るもの何でも黄金に変える能力だと言っていたから、まぁ、リアの事を表す表現なのだろう。

一緒に新聞を造り始めてはや3ヶ月半、オレはアウレリアをフェリーペの様にリア呼びにする事にした。

学生時代はフェリーペがリアの事を狙っているのはモロ分かりで、貴族であるオレたちにも牽制してくるくらいの力の入れようだったからなぁ。オレたちはリア呼びを遠慮してたんだよな。

まぁ、リア本人も貴族であるオレたちとは一歩距離を置いていたしな。

リア呼びをすればリア本人が落ち着かなかっただろうと言うのもある。

リア呼びを始めたからか、最近ではリアの口調も貴族に対するそれではなく、気心の知れた相手にする口調になって来ている。

まぁ、正直言ってそれはとても嬉しい。

しかしフェリーペがリアと結婚せずに他の平民の娘と婚約するとは思わなかった。

しかもリアはそれを当たり前の様に受け止めていたって事は、リアの方はフェリーペを男性として見ていなかったって事なんだろうなぁ。

フェリーペが如何にしてリアを諦め、他の女性と付き合いだしたのか不明だが、もしかしたら親から言われての政略結婚なのかもしれんなぁ。

貴族でなくとも大きな商家では結構普通に政略結婚とかあるからなぁ。

婚約と言えばアドリエンヌの方も無事、従弟のトルマルとの婚約を白紙にする事が出来た様だ。

まぁ、その後すぐどこやらの伯爵家の長男と婚約させられたみたいだが、トルマルと婚約するよりは良いだろう。

血の繋がったオレを平気で死に至らしめようとする御仁だ。

あいつと結婚しても碌な事にはならなかっただろう。

どっちにしても親や夫の都合の良い道具として扱われるのではなく、お前に多少の自由をくれる男が相手である事を祈るよ。

おっと考えが横道に逸れてしまった。

これから広告獲得についてリアからデルにしっかり説明してもらうのだが、オレも一緒にその研修を受けた方が良いと思っている。

未だに多くの事をリアから学んでいるのだ。

何せ新聞って物自体が今までこの世界に無いもので、オレたちが初めて作っているからな。未知な事だらけだ。

「では、研修を始めたいと思います。メモの用意は良いですか?」

「はいっ」

デルは張り切っている。

オレは無言でリアに頷いて見せただけだ。

「新聞は薄利多売です。薄利多売の意味は安い物を多く売って少しだけ利益を出すと言う事です。但し、利益は少額でも数を売れば合計金額は可成りのものになるはずです。例えばパンは毎食どの家庭でも食べますよね?毎日消費するものなので安くて美味しい物をどの家庭の主婦も探します。パン屋は安いパンを大量に売って儲けを出しています。でも、貴族が着る一点物のドレスなんかは、生地選びからデザイン、そして縫製まで多くの手間を掛けて作られ、そのお値段は平民では考えられないくらい高いです。ドレスの場合は1着売って莫大なお金を得ますが、同じドレスは二度と作りません。新聞はパンと同じ売り方になります」

デルの奴、要点だけをメモっている様だ。

頭が良い証拠だな。

ノートの方ではなくリアの目をしっかりと見ている。

その点も評価できるな。

「薄利多売の新聞がちゃんと定期的に利益を得るには、安く売っている新聞からより、その新聞に載せる広告料、つまり広告を出したい人から大金を得る事ができたら経営が楽になると言うのは分かりますよね?」

相変わらずリアの話には既知ではない単語が多く混じっている。

「利益と言うのは儲けの事で、経営と言うのは商店を営み儲けを出す手腕の事だ」と横から解説してやると、漸くデルの奴が頷いた。

オレが解説した事で、リアも説明しながら、どの単語がこの世界で認識されていないのかに気を配る様になった。

と言う事は、今までの諸々の研修では リ(・) ア(・) 語(・) 彙(・) で研修をしていたと言う事か・・・・。

まぁ、その都度質問されていたみたいで、大体どの語彙がこの世界で認知されていないかは本人も掴んでいる様だが、その単語に代わる長い説明を何度も繰り返すのは嫌みたいだ。

この単語は技術用語として覚えて下さいとか言ってるよ。