軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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午前中最後のチームは1年生の下級貴族で作られており、私のサイドエフェクトが知らせてくれたチームである。

全員がひよこの仮装なのだが、このチームのリーダーである背の低いペペ君のお姉さんが音楽クラブに所属しているらしく、『ひよこチームのテーマ』という曲を作り、彼らがスタート台に登るとそれを音楽クラブで演奏しはじめた。

身内が音楽クラブに居るという伝手をめいいっぱい活用したってことで、ちょっとズルいかなとも思うけど、人脈があるのもその人の能力の内だからね。

まぁ、良しとしよう。

でないとメリハリの無いイベントになっちゃうしね。

いやぁ~、しかしすごい才能の持ち主が出て来たなぁ。

ひよこチームのメンバーは、自分たちのテーマ曲に合わせて可愛くお尻を振ってみせたり、しむ〇んの髭ダンスの様なコミックな動きをしながらスタート台中を駆けずり回る。

機体で飛ぶ前に、一人はピースサインの様なものをしながら湖に飛び込んだりと好き放題やっているのだが、観客は大笑いだ。

一人がダイブしてしまうと失格になるかもという不安をジェスチャーで表し、ペペ君が大げさにMCと解説の私たちが居る方を向いて大げさに謝るジェスチャーをするという凝り様だ。

メンバーの誰かが台から落ちたら失格というルールを設定していなかったので、今回ひよこチームを失格とする事はできないのだが、来年からはNGにしないと救命胴衣を着けていても危ない事は危ないからね。

そしていよいよひよこチームの細く長い長い翼を付けた機体に風魔法を持つメンバーが乗り込み、飛び立った!

直ぐに湖面すれすれまで落ちたのだが、なかなか湖には落ちる事なくスイーっとゴールであるブイに向かって飛んで行く。

「伸びる、伸びる、飛行距離はぐんぐん伸びてますね」

飛行距離としては多分最長なんだと思うけれど、ブイを通り過ぎてもまだ飛んでいる。

「ひよこチーム、飛行はとても順調ですが、ブイとの距離を競う競技なので、これ以上ブイから離れてしまうと不利になるかもしれませんね」

「そうですね。なんとかしてブイの方へ戻らないと負けちゃうかもしれませんね」

私の話にすかさずセシリオ様が合いの手を入れてくれる。

めっちゃMCをやり易くなるので、貴重な人材だよ。

「フント先生、こういう場合何か良い風魔法がありますか?」

「急に止まるとか、方向を転換するのに良い魔法と言う事でしょうか?」

「そうです」

「やり方はいろいろ考えられますが、今ここでそれを言ってしまうと、ひよこチームだけ得をするということになるのではないでしょうか?」

「そうですね。では、しばらくはひよこチームの機体を固唾を呑んで見守りましょう。それにしても手に汗握るって感じです。機体を方向転換できるでしょうかっ!?」

私がそうMCで状況説明をしていたら、ひよこチームの機体に変化があった。

「あっ!ひよこチーム!ゆったりと機体を方向転換させています。フント先生、これはどうやって方向転換に漕ぎつけたのでしょうか?」

「これは片翼のみに風魔法で方向性を持たせた強めの風を当てているのでしょう。あ、そろそろブイにまた近づきますね」

「先生、この機体の飛行距離はもしかしたら今まで最長かもしれませんが、どうしてこの様に長く飛ぶ事が出来るのでしょうか?」

「いろんな要因があるのでしょうが、まずはあの長く細い翼ではないでしょうか?後、機体の軽量化が徹底されていると思います」

「軽量化の徹底とは?」

「例えば、コックピットの周りは安全のため太目の素材を使っていますが、翼の部分は風の抵抗だけを受け入れれば良いとし、できるだけ軽めの素材で作っているみたいですね」

「詳しい解説をありがとうございます。長く飛ぶには軽い方が良いということ、翼の形状も非常に重要な点である事が分かりましたね。ああ、スタート台にひよこ達が横一列に並んで機体を応援していますね。なんとも可愛いしぐさのオンパレードです」

飛んでいる間は皆の視線は当然機体に集まるのだけれど、このひよこチームはエンターテイメントを知り尽くしているというか、そういう事を思い付く事ができる人物が居る様で、少数しか見ていなくても楽しめる様に手を尽くしてるのが見て取れた。

このチームは1年生チームだけれど、来年も是非参加してもらわねばっ!

「着水しましたー!セシリオ様、かなりゴールの近くに着水した様に見えましたが、いかがですか?」

「そうですね。僕が見ていてもかなり近いと思います。優勝候補の1つと言って過言ではないでしょう」「なるほど!1年生だけのチームなのにとても優秀ですね」

「そうですね。飛行も優秀ですが、仮装の方もテーマソングを携えての参加というのは今までなかった事なのでちょっとびっくりしましたが、嬉しい驚きでしたね」

「本当にそうですね。さて、皆さま、午前の部はこれで終了です。1時間半後に午後の部を開始致します。昼食は場内の出店をご利用頂いても、持参して頂いたお弁当を場内でお召し上がり頂いても良いのですが、会場を一度出てしまいますと、再入場にはまた入場料が掛かってしまう事をご了承下さい。それでは美味しいランチを楽しんで下さい。イエーイ!」