軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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「帝国のお姫様が何かのきっかけでディアナん所の父親を見初めたのかは分かっていないが、恋心を募らせたんだろうなぁ。だが、お姫様には3つのハードルがあったんだ」

「3つも!?」

「そうだ。3つだ」

メンバー全員がゴクリと唾をのみ込み、闇王様の話の続きを待っている。

かく言う私もだ。

「まず、やはり身分だな。子爵というのは如何に言っても低い。皇族の一員が結婚する相手としては不適切なんだ。政略結婚としての旨味はゼロだ。そして2つ目は、相手が外国人という事だ。自国の貴族であれば、まぁ、子爵は無理だとしても伯爵くらいまでなら降嫁しても許容範囲なんだが、外国人がお相手ならもっとハードルが高くなる。自国の貴族なら何等かの理由をでっちあげてでも陞爵させる事が可能かもしれないが、基本他国の貴族の陞爵に口は出せない」

「そうだね。例えば子爵であっても著しい活躍があって、褒美として陞爵させるって事も王家には出来たかもしれないけど、それには外国のお姫様の気持ちを射止めたってだけでは実現不可能だしね」

「セシリオの言う通り、子爵家にはこれといって実績がなかったんだ」

「うわぁぁ。じゃあ、お姫様はどうやってディアナ様の父上の所へ嫁入りしたんだろう?」

フェリーペが横からチャチャを入れたが、闇王様は先に3つ目のハードルを説明したいみたいで軽く無視して話を進めた。

「それよりも3つ目のハードルの方が高かったからな」

「え?もっと高いハードル?」

アドリエンヌ様は本当に驚いたのだろう、きょとんとした後それが何なのか気になってソワソワしていた。

「子爵は既に国内の貴族と結婚していて、後継ぎとなる息子も居たんだよ」

「「「えええー!?」」」

全員が、そう本当に全員が驚きの声を上げた。

ランビットが貴族の正室や側室の事に詳しくないのか、確かめる感じで「それって、お姫様は自分が正妻になり、元々の正妻は第二夫人になるってこと?」と聞いて来た。

「そうだ。普通なら正妻が第二夫人に降格で、お姫様が正妻になるのだが、実際にお姫さんは今も第二夫人だしな」

「アディ、それって帝国はそれを許さないのでは?」

「帝国だって許したくなかっただろう。でも、事を起こしたのは肝心のお姫様だから、帝国としても文句は言えないらしいぞ」

「「「え?」」」

「子爵に薬を飲ませ無理やり関係を持って、子爵館に乗り込んで来たらしい」

「「「えええ!?」」」

ううううう。吐き気がこみ上げて来た。

痛い!胸が痛いよ。

聞きたくないよ。

ああ、痛い・・・・。

この話、みんなは破天荒なお姫様の方に驚いているんだろうけど、私は違う。

前世で結婚していた私は、たった一度だけだけど夫に浮気をされた事がある。

浮気と言っても夫が率先して浮気をしたわけではない。

プロジェクトチームのメンバー数人との泊りがけの出張だったのだが、その中に件の女子社員が交じっていたらしい。

プロジェクトが成功し、打ち上げでしこたま飲んだとのこと。

気づいたら朝になっていて、既成事実は出来上がっていた。

夫は、「あの体調では薬でも盛られたのでなければ関係そのものを持つ事はできないはずだ。それに一切記憶が無いのもおかしい」と言っていた。

自分も周りも酔っていた事、それから急に気持ち悪くなって男女の部下1名ずつに付き添われて宿泊した部屋に戻った事までは覚えていたらしい。

でも、普通なら事が起こせる状態ではなかったはずだし、普段からその女子社員の事を何とも思っていなかったし、夫自身も夫婦の仲を壊そうなんて思ってもいなかったので浮気する気なんかゼロだったと申告されても、私としては「はい、そうですか」とはならなかった。

ただ単に酔ってたからなのか、デートレ〇プドラッグなのか、睡眠薬みたいな薬なのか、それとも男性の機能を高める薬だったのかは知らないが、当時の私には男性が女性に薬を盛るのなら犯罪が成立するが、反対ならば関係を持つ事自体が難しいと考えていたので、夫に全くその気がないのにそんな事態になったとは信じられなかった。

そこへもって来て私たち夫婦には子供はいなかったのだが、たった一晩の過ちで相手が妊娠してしまうという事態が持ち上がってしまった。

夫は、DNA検査の結果を見て認知はしても私と離婚して相手の女性と結婚する気はなかった。

実際に私が離婚を申し出て別れた後も、彼はその女性と結婚もしなかったし、付き合いもしなかった。

折角生まれた息子とは顔も合わせてなかった様に記憶している。

まぁ、私と別れた後もずっとそうだったのかどうか本当の所は分からないけどね。

共通の友人からは、離婚後、彼は再婚もしていないし、誰とも付き合っていないと言われたけれどね。

だから、私がこの話を聞いて最初に思ったのは、子爵の第一夫人の気持ちだ。

そして、自分の意思を無視されて無理矢理関係を持たされた子爵の気持ちだ。

こっちの2つの方が私にとっては聞くだけで苦しいのだ。

「それで事情が事情なので、皇帝は娘を子爵に差し出し半ば無理矢理子爵に圧力を掛けて結婚させたけれど、第一夫人と跡取り息子はその地位をはく奪しないという子爵からの条件を呑まざるを得なかったんだ」

「え?というと帝国のお姫様は第二夫人で、どれだけ子供を産んでも跡取りには出来ないってこと?」

「跡取り息子が死ねば他の子供が後継ぎになるので、子爵は長子をそれはそれは猫かわいがりしているらしいぞ」

「アディ、それでも一緒に住んでいれば帝国のお姫様はいくらでも跡取り息子に手を出せるんじゃないか?」

「子爵もそれを危惧したんだろうな。結婚後、帝国のお姫様は田舎の屋敷に閉じ込めて、生まれた子、ディアナは母親であるお姫様と一緒の館に閉じ込め、存在しないかの如く扱って来たらしい。お姫様とは結婚式後は顔すら合わせてないって聞いてるから、ディアナは下手をすると自分の父親の顔すら知らないかもな」

「え?っていうと、ディアナ様はしょの・・・・お姫様が無理矢理・・・・な時に出来た子ってことでしゅか?」

闇王様は無言で頷いた。

「正妻だって貴族であるなら政略結婚のはず。正妻の実家と正妻に見返りを渡せば普通に結婚できていたかもしれないのに、どうしてそんな手段を取ったんだろう・・・・」

「セシリオ、それは身分差が原因だと思うぞ。帝国側に利が一つもないから、お姫様も我儘を通すためなりふり構わずだったんじゃないかなぁ」

何なのー!その壮絶な犯罪の話は!

これって最初は帝国のお姫様の恋心から始まっているんだよね?

それが一つの家庭を壊し掛け、結局は自分と自分の子を生ける屍状態に追い込んじゃったんだよね?

「帝国の第三皇子が留学することになってお付きの者となり、漸く貴族の一員としての体面を保つ事が出来る様になったんだ。まぁ、それもディアナだけで、母親の方は未だに田舎の屋敷から出してもらってないみたいだけどな。だからディアナは俺たちオルダル国貴族全体を嫌っている可能性がある。」