作品タイトル不明
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「父親に無視されて、貴族なのに貴族として扱われなかったとしたら、ディアナ様の気持ちも分からなくもないかな?」
「いや、メグさん。それは違う。帝国のお姫様がウチの国の子爵の意思を無視して関係を持ったとしたら、それは帝国がオルダル国を軽く見ている事の証拠であり、そんな者がこの国に来て歓迎されると思ったら大間違いだ。曲がりなりにも貴族の出であれば、そこら辺はちゃんと理解していないとおかしい」
「それはそうなんですけど・・・・。でも、ディアナ様は何もしていないし・・・・」
「それはそうだけど、貴族が複数妻を持つのは色んな理由が考えられるんですけどね、何のためにもならない妻を欲する貴族はいないんですよ。家に力がある妻なら大歓迎。実家に力がなくても優秀な子供を産めたり、綺麗で貴族本人に恋心を抱かせてくれ日常的に幸福感を味わわせてくれるなど、大きくても小さくても良いけれどその貴族本人、或いはその貴族家そのもの、できればその両方に良い影響を与えてくれる方なら娶っても利になりますが、貴族本人の意思をまるっと無視して、得にもならない関係を強要されるとなれば疎まれるのは必須ですよ」
「セシリオの言う通り。恐らくその姫様を牢等に幽閉するでもなく、殺しもしなかったのは後ろに帝国がいるので遠慮しての事だろうけれど、姫さんが健康で生きているのなら、帝国としても子爵やウチの国に対して文句は言えないからな。だから最初からこうなる事は分かっていたハズなのに、あっちのお姫さんにはそれが分からなかったか、一度結婚さえしてしまえば自分の方を振り向いてもらえるという計算があったのか、そこは本人に聞かなければ分からないがな」
「こういう話を聞くと一概にディアナ様を嫌う事が出来なくなっちゃいますよね・・・・」
メグは優しいからそういう発想になっちゃうんだろうね。
確かにディアナ様はそういう意味では可哀そうだと思うよ。
でも、子爵様やその正室や息子の気持ちは考えないのかな?
そして欲しくもない子供を突き付けられた子爵は?
その子供が目に入れば、正妻の心は穏やかではいられないでしょうに・・・・。
結局、噂話として聞いたので特に討論するでもなく部活を終えて皆寮へ戻った。
勇者様はしきりとディアナ様を慮っていたけれど、私は改めてディアナ様を嫌いになった。
親世代の話について、彼女に罪はない。
罪が無いどころか、彼女も被害者なのだ。
それは良く分かる。
でもね、元帝国のお姫様なら田舎の館に閉じ込められていたとしても、一般の平民よりは良い生活をさせてもらってるはず。
寝る所や着るもの、食べるものに困ったりはした事がないはず。
だってディアナ様の両手は綺麗で、家事なんてした事がないのは一目瞭然だったものね。
親に疎まれるっていうのは可哀そうだけれど、偶にある話だと思う。
中には親に疎まれるうんぬんの前に毒親が親ってケースもあるだろう。
この世界なら、平民の中にはネグレクトなんて良く見られる現象なのだ。
だって親が満足に食事や仕事がない状態っていうのも珍しくないのだもの。
だからこそ、王都にだってあんなに広いスラム街があるのだし、そういう所で生まれた子は大きくなる前に儚くなってしまう子も一定数いるのだ。
そんな過酷な世界なのだ。
もちろん、食べる事ができているから、着るものがあるから、寝る所があるから、親に無視されて平気かと言えば、平気な子供などいないだろう。
だからディアナ様も大変だったんだと思う。
でもね、何があったとしてもアドリエンヌ様はディアナ様に危害を加えた事は無いはずだよ。
だって学園で会ったのが初めてだったと思うしね。
以前はその存在すら知らなかったって言ってたくらいだから、多分そうだ。
この国の貴族が嫌いなら、近づかなければいいだけじゃん?
呼ばれてもないのに自分から他人のクラブの部室に来て、悪意全開にして良い訳じゃない。
だから私はディアナ様が嫌いだ。
何より私にとってはアドリエンヌ様や、あややクラブのメンバーの方がディアナ様より大事だもん。
そして何より、親世代の話が私の前世と被る所が多く、子供の出来なかった私たちに対し、例の女子社員は子供という武器を突き付けて来た。
夫は引き取る心算は一切無いと突っぱねてくれたけれど、それでも私は子供を儲ける事ができなかったという後ろ暗さとでもいう感情を拭い去る事はできなかった。
件の女子社員が何を思って妻帯者である夫と関係を持とうと思ったのか、私には謎だ。
子爵の正妻さんはまだご自分の子供が居たから、何とか乗り切れたのかもしれないし、乗り切れていないのかもしれない。
重婚が当たり前のこの国の貴族に生まれるということは、伴侶を別の人と分かち合うと言う事に慣れざるを得ないのよね。
私は平民で良かったと心底思うよ。
まぁ、平民だって打算で結婚しているカップルは多いけどね。
現世では結婚しなくても良いと思ってるくらいだもん。
自分の事業があるしね。
無理に結婚しなくても、自分の財産があると選択肢が多くてありがたいよ。