作品タイトル不明
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「おい、今日は点心はないのか?」
ガスペール先生が不満そうに口を尖らせる。
「はぁ~」
この大きな溜息はフェリーペだ。
「先生さぁ、出て来るものに文句言うのなら、今度からおやつ無しにしてもいいし、欲しいものが食べたいならお金取るよ」とちょっと意地悪な笑顔を浮かべフェリーぺが先生を追い詰める。
グッジョブ!
「あっ、いや、別にこのポテトチップスって言ったか?薄い芋を油で調理した物でも美味しいぞ。うん、上手い!」と先生は慌ててポリポリと食べ始めた。
普段は太々しいまでに我が道を行く先生だけど、部室へ入室する権利は顧問だと言う事で先生にある。
でも、事、おやつに関しては材料費一切を出してくれている闇王様と、調理を一手に引き受けている私に発言権があるので、こういう風に強く出られると結構引いてくれるのだが、常日頃の態度はおやつについても横着なんだよね。
この辺の態度の切り替わりに関するキーワードは、どうやら『お金』だと思ってるんだ。
偶にいるよね~。
金は出さないのに口を出す人って。
ガスペール先生が正にそれだ!
担任だけど、この先生、反面教師って意味で良い先生と言えるよ・・・・。
「よしっ!みんなおやつは食べ終わったな。じゃあ、作戦会議室でドッジボール大会の話を詰めよう」と闇王様のやる気は高い。
いつの間にか食べ終わって姿が見えなくなっているガスペール先生以外は、みんな作戦会議室へ移動した。
「練習試合の日程は誰が管理してるんだ?」
「あ、私です」と勇者様が言うと、「そうか・・・・」と闇王様がちょっと戸惑った様子。
なに、なに?
勇者様と直接話すのは恥ずかしいのですか?闇王様。ぷふふ~♪
にやけそうな顔をしっかり引き締め様と思うのだけど、口の端がヒクヒクしてしまう自覚がある。
急いでノートの方を見る様に俯いて誤魔化した。
何かね、いつもちょっぴりエラそうな闇王様が、思わぬ時に勇者様から声を掛けられると一瞬固まるのが面白いんだよね。
ゴンスンデの時は皆を出し抜いて一人でメグん家に行ってたのにね。
やっぱり思わぬ時にっていうのが『ドキっ』とする原因かしらね?おほほほ。
「では、練習試合の日程をボブに板書してもらいますね」と、メグからボブへメモ紙が渡された。
最近、ボブの板書の字が可成り綺麗になって来た。
チョークの扱いに慣れたのかな?
さささっと練習試合の日程が書かれていた。
冬休み前にいくつか練習試合を熟していたので、今残っているのが1年生の4チームのみだ。
2年生から上は去年やってるからね、1年生だけカバーすれば良いって考えだ。
今週に1試合、来週に2試合、再来週に1試合、来月は本番だ。
「で、フェリーペ、実行委員会の方はどうなってる?」
「はい。昨年度の実行委員が今年も何人か委員になっているので、その者達から新しい委員へ、何をしなければいけないのか説明させています。で、2年~4年のチームが独自にやっている練習試合に参加して、審判の練習をしてもらっています。会合は食堂で本番までに後2回開く予定です。最後の会合の時はアドルフォ様たちにも参加して頂いて、一言、委員たちへ労いの言葉を掛けて頂く様よろしくお願いします」
「分かった。セシリオもアドリエンヌもそれで良いな?」
「「はい」」
「で、アウレリア関係のファティマはどうなった?」
この案件も委員会が関係するのでフェリーペが答えてくれた。
「最初からブツブツ文句は言っていますが、無事委員になれたのでちょっと落ち着いた感じです。委員長にしろとまだ言ってますが、4年がいるのに1年がリーダーになる事はあり得ないし、去年も委員長という役職は設けなかったので、今後も設けるつもりはないと説明しています」
「で、納得した様子か?」
「いえ。でも不服であれば、アドルフォ様へご自分で相談して下さいと伝えたら、一旦は黙りました」
「ああ、その話は冬休み前に聞いていたな。まだ、オレの所へは来ていないし、多分来ないだろう。下の身分の者がおいそれと上の身分の者に抗議するのは難しいからな」
そうなのだ。
ファティマ様のモンテベルデ家は伯爵家だが、闇王様のクラッツオ家とは家格が違うし、ファティマ様ご自身も妾腹なので嫡男の闇王様よりはぐんと地位が下がる。
ましてやこのオルダル国は男尊女卑が酷く、爵位を継ぐ事が出来るのは男子のみという事からも、女性であるファティマ様がアドルフォ様に因縁めいた事は言えないのである。
ざまぁざます!
ということで、今日のあややクラブはドッジボール大会の話に終始した。
大公様の宿題についての進展は、また明日以降に報告しよう。
さて、そろそろ寮に帰ろうと4人で部室を出ようとしたら、闇王様が寄って来て、「明日は点心を頼む」と小声で言って、私たちより先に部室を出た。
ガスペール先生のリクエストに応える気にはなれないけど、食費を全額出してくれてるパトロンである闇王様のリクエストなら、応えないとね!
フェリーペたちも点心が欲しいと横から言って来てるしね。
ん~、じゃあ、明日はまだまだ寒いので水餃子あたりを作ってみようかなぁ~。