軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第755話 シャンダール天空国強襲⑦※他者視点

原獣の園の竜人たちと現地の獣人たち2万人ほどの人員を、メルスは転移させてきた。

ほとんどが竜人たちで、既にエクストラスキル発動状態となっており、一斉に投擲系のスキルを発動する。

『け、この程度の攻撃で俺たちがやられるかよ!! 軽いぜ!!』

キンキン

竜人の1人が全魔力を込めた1本の槍が、バスクの半裸の上半身に当たった瞬間、圧倒的な耐久力と耐性に耐えきれず爆散した。

降り注ぐエクストラスキルは上位魔神や魔神王バスクにはダメージが通らないようだ。

魔神相手にもほとんどダメージは与えられず、進行を止められない。

最前線で戦うステータスが30万を超えるバスクが、竜人たちの攻撃を弾きながら陣形深くで戦うドゴラたちとの攻撃にも応戦している。

上位魔神は20万で神級、魔神は10万で亜神級のステータスがある。

ステータスもそうだが、物理攻撃のダメージを減らす耐性のバフの効果で、魔王軍は全体的にステータス以上の耐久力を誇る。

ロザリナは神界闘技場で神技を既に使ってしまっており、ソフィーやルークの大精霊たちの加護やスキルがあるわけでもない。

マクリスのロイヤルオーラなどの覚醒スキル、特技を振りまいて戦っているのだが、ステータスは武器や魔法具含めて5万もなく、魔神のステータスの半分以下でバフも少ない。

超神合体ゴーレムが解除された戦力を補う思いでメルスの作戦で竜人たちを呼んだが、魔王軍の侵攻に勢いがまし、歯ぎしりをする。

メルルは神技を使い果たし、超神合体ゴーレムは解除してしまった。

それどころか超合体も解除して25体のゴーレムとダンジョンマスターディグラグニが地面に転がる。

「おい、もう一度、超神合体だ! メルル!!」

「……無理だよ。クールタイムは1日だし」

『極めて厳しい状況です』

神技2つの合わせ技な上に25人のドワーフに体力限界まで使っての魔導砲(極大)によって全てのゴーレムにがたが来ているのか、速やかに立ち上がることもできないようだ。

『修復率55%……。60%……。65%……』

新たに転送してもらったユニットである「パワーポッド」によってガンディーラは損傷した自らの回復に努めている。

原獣の園の要塞にいる竜人は10万を超える。

2万には歯が立たないと判断し、次の転移のタイミングを図る。

『2陣、3陣と竜人たちの! 神々も応戦に必ず来る。守りを優先して……』

まだまだ呼べる竜人はいる。

メルルたちが戦線離脱に近い状況の中、メルスは新たな指示を出そうとする。

『少しよろしいですか?』

『ん? って、んあああ!? 大精霊神様!!』

メルスが次の作戦を立てようとしたところで、真横から声が聞こえる。

竜人たちのエクストラスキルの遠距離攻撃が当たらないよう、かなり上空にメルスはいる。

数十の召喚獣と共有したどの視界にも入らず、いきなり横から声を掛けられ元第一天使らしからぬ仰け反って驚いてしまう。

『……たしかに苦戦しているようですね。昨日ぶりですが、こんなに早く天空国に呼ばれるとは思いませんでしたよ』

『戦線に来ていただいたのですね……』

同時に召喚獣たちの共有した視界に大精霊神イースレイたちの情報が流れてくるのだが、あまりの状況に確認できず横へ顔を向いてしまう。

驚愕して声が漏れるメルスの横には、昨日、第一天使ホマルに対して神力を与えた大精霊神イースレイがいた。

『とんでもない状況だあね』

『既に魔王軍の計画は進んでいるってことだよ。はは』

イタチの姿をした精霊神ファーブルの声に自嘲気味の乾いた笑いで答えたのはモモンガの姿をした精霊神ローゼンであった。

だが、シャンダール天空国にやってきたのはそれだけではない。

『全くひどい状況ポンね』

『神々の神域を荒らす者たちを裁くコンね。ルプト様はよく状況を伝えてくれたコンね』

狸の姿をした精霊王ポンズが、空を滑空し浮いている。

狐の姿をした精霊王コンズは、燃える尾を回転させながらヘリコプターのようにホバリングしている。

2体とも既に戦闘態勢に入っているのか全長10メートルを超えた戦闘モードの巨大な姿をしている。

そして、100体に達するほどの大精霊たちが上空に浮いている。

『はぁはぁ……。ど、どうやら危機的な状況は守り切ったようですね』

精霊王ポンズの頭の上には第一天使ルプトが息を切らしている。

どれほどの交渉をしたのか大精霊神が戦力となる精霊たちを総出でやってくるほどの状況に、メルスが口を開き問いただそうとするが、大精霊神は発言を止めた。

『今は全ての生命の循環を守るため、一刻を争うとき。世界の規律が乱れようとしています』

『……戦いへの参加ありがとうございます。では私もなすべきことを成します』

大精霊神の言葉に思考を戦いに向け、メルスは転移してこの場を去った。

メルスにもローゼンにも目を合わさず、魔王軍を見つめ大精霊神が口を開く。

『私は私のなすべきことがあるということですね。世界の息吹!!」

神力が無数の水玉に変わり、戦闘する竜人たちに降り注ぐ。

「な、なんだ!? ち、力が!!」

メキメキ

戦闘中の竜人たちが内側から生命力があふれてくるのを感じる。

広範囲にステータスの強化と共に負ったケガもメキメキ回復させていく。

騒ぎたつ竜人たちを見ることなく、控える精霊神たちに視線を送る。

『……ローゼンさん、始めなさい』

『はい、精霊神の祝福! はは!!』

パロロロロッ

大精霊神の言葉にローゼンは自らの神力を行使する。

ローゼンが上空から精霊神の祝福を振りまくと、金色の雨が降り始めて全員のステータスが上昇する。

竜人、獣人、神界人はさらに驚きと歓喜の声が広がり、上位魔神や魔神たちは困惑と動揺が広がる。

『皆もありったけの加護を、理を守る者たちに振りまいてあげなさい』

『了解ポンね』

『承りましたコンです』

大精霊神の言葉にポンズとコンズ、そして大精霊たちが竜人たちに加護を振りまきステータスを上昇する。

そこへ来て、メルスが速やかに戻ってくる。

今度は超神合体ゴーレムが力尽きたタイミングの陣形の強化と時間稼ぎではない。

『第2陣! 第3陣を連れてきた!! 攻撃は指示後だ!! 待機せよ!!』

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

「うおおおおおおおおおおおおお!!」

メルスがすぐに各人2万、計4万の竜人たちを第1陣の後方に扇状に配置し、エクストラスキル発動のタイミングを指示する。

竜人たちはかつてないほどのバフが降りかけられ、士気は最高潮に達した。

『じゃあ、あたいたちは敵の牙をそぐだあね。皆もいくよ!』

ファーブルは、ドロドロのヘドロの姿をした毒属性や光を通さない影が立ち上がったような姿の闇属性の大精霊たちを引き連れる。

『精霊神の障壁!!』

ガンディーラを中心に半径1キロメートルに渡って魔神たちの足元を全て覆うようにファーブルや大精霊たちが一斉にデバフをかけ始め、弱体化を図る。

アレンの仲間たちもガララ提督たちも沸き立ち始めた。

「やった!! また神技が使えるよ! みんな!!」

「本当ね!! じゃあ、もういっちょ歌うわよ!! 人魚の 歌姫(プリンセスオブマーメイド) !!」

メルルやロザリナも自らのスキルや神技のクールタイムの解除を感じたようだ。

仲間たちは強化され、魔神たちのステータスや耐性を下げ続ける。

ガララ提督は「精霊神の祝福」のエクストラスキルリセットを何度も経験している。

配下のドワーフたちに向かって魔導盤を握りしめ、活を入れる。

「よっし、新しい石板に替えたな! 超合体(エクストリーム・ユニオン・ゴーレム) !!」

「おう!!」

「おう!!」

「おう!!」

先ほどの神技の重ね掛けの大技に魔導盤や魔導キューブにはめた本体用石板が損傷したため新しい本体用石板を既にはめた25人のドワーフが5体の超合体ゴーレムになる。

「よし、神技発動! 超神合体ゴーレムだ!!」

メルルが神技「 超神合体(エクストリーム・ゴッド・ゴーレム) 」を発動した。

5体の超合体ゴーレムが変形し1体の超神合体ゴーレムになる。

「よし、行くぞ!!」

そこへ超神合体ゴーレムの上空で日の光を遮るディグラグニが旋回している。

メルルの神技「迷宮主降臨」で呼んだディグラグニは強化外骨格としての合体が解除されたが、この場に留まっていた。

『おい、飛べ!! 俺が翼になってやるよ!!』

『背後に無数のエクストラスキル発動の光源の点滅があります。上空への移動を推奨します』

バフもデバフも万全の状態で今にも竜人の陣営がエクストラスキルを発動しそうな状況に、ディグラグニの言葉にタムタムが同意する。

第2ラウンド開始だと言わんばかりに頭役のガララ提督がガンディーラに向かっていこうと上空を飛ぶディグラグニと駆動室内に響くようにタムタムが声を掛けてくる。

「両足役! 飛翔だ!!」

「飛翔!!」

5人の両足役のドワーフが一斉に声を上げ、目の前に設置されたタッチパネルを操作すると足元から轟音を立てながらジェット噴射する。

『よし! 迷宮主合体(ディグラグニ・オン) だ!!』

「うん! ディグラグニオオオオオオオオオン!!」

ディグラグニの要請を受け、メルルが神技「 迷宮主合体(ディグラグニ・オン) 」を発動した。

魔導砲(極大)を発射して神技を使い果たしたが全く懲りておらず、笑顔で頭役のガララ提督に神技合わせ技のディグラグニとの合体を依頼する。

「ったく、仕方ねえ。もういっちょ無茶するとするか! 今度こそあのデカブツ野郎をぶっ潰すぞ!! 胴体役たちは接続信号発信許可だ!!」

「接続信号発信許可確認。……背部への接続信号発信」

ディグラグニが変形して両翼の巨大な翼に変わりつつあったため、胴体役のドワーフたちが背面への合体許可の信号を送る。

アダマンタイトの超神合体ゴーレムの背部に両翼まで合わせると300メートルには達しそうなオリハルコンに輝く金色の翼が装着される。

いくつもの大中小の砲門が左右に合わせ6門ついており、魔導砲も発射可能だ。

超神合体ゴーレムが上空に飛び立つと、竜人たちの陣形が魔王軍を直接視野に入れる。

『よし、放て!!』

『うおおおおおおおおおおおおおおおお!!』

メルスの号令に竜人たちが答えた。

バフの効いた遠距離攻撃がデバフの効いた魔王軍の陣形に万に達する刃となって降り注ぐ。

『ぷぎゃあ!?』

今度こそダメージが魔神たちに通り、肉体を損傷させていく。

『魔王軍損壊率40%超。……化身石発動』

ガンディーラはそういいながら化身石を使い、損傷した魔王軍の陣形を回復しようとする。

「うおおおおおおおおおおお! させるかああああああああ!!」

「魔導砲!!」

「魔導砲!!」

「魔導砲!!」

ジュッ

超高熱の熱線が化身石を蒸発させる。

上空を飛ぶ超神合体ゴーレム内にいる右腕役のドワーフ5人とタムタムで6台の砲門を操り、化身石ごとガンディーラと周囲の魔神たちを吹き飛ばす。

竜人たちと超神合体ゴーレムの遠距離攻撃が、弾幕となって魔王軍の陣形全体を轟音と共に炸裂する。

『魔王軍損壊率50%超。目標達成率15%未満……。危険水域。至急応援要請』

救難信号を送るガンディーラを、空中の超神合体ゴーレムと地上の竜人たちが攻め続けるのであった。