軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第547話 精霊王の祝福

ローゼンがファーブルと共に、この精霊の園に残るという言葉にルークは拒否の意思を示した。

「ずっといっしょにいたよな。なんでそうなんだよ! ちゃんと説明しろや!!」

『ルーク……。あたいらには精霊の園でやらないといけないことがあるさね』

ファーブルは耳が項垂れ、ルークの言葉にショックを受けているようだ。

見た目相応に子供のところもあり、自らの思いを口にする。

(この世界は神にするのも、神から奇跡を貰うのもタダではない世界だからな。元々、神と一緒に冒険していることがおかしいってことか。精霊王の祝福がなくなってしまうのか)

ローゼンはエルフの祈りによって精霊神となった。

ファーブルはダークエルフの祈りによって精霊王となり、神界で亜神級の霊獣を狩り、精霊神へと至った。

神となるのは、時間も労力も対価も求められる世界だ。

神から何か奇跡を貰うときにも対価は必要だ。

不作で飢饉の起きた国の王は豊穣神モルモールに緑豊かな国にしてほしいと願い、対価に国でとれる果物は全てモルモの実となった。

暴れる邪神の尾から帝国を守りたいと水の神アクアにお願いをしたプロスティア帝国の皇子は、対価に聖獣となった。

神の試練とも言うべき、課題や問題、対価は様々だが超えるのは至難の業だ。

今回、アレンたちは大精霊神の問題を解くことによって、これまでの人々が払ったことのない対価を支払った。

神の領域にある精霊獣を倒すことには大きな意味があった。

エルフやダークエルフの生存が危ぶまれるほど、大きな対価を支払うよう、あえて誘導した者がこの場にはいる。

(俺一回死んだんだけど。フォルマールもか。勝算はどれほどあったのか)

大精霊神に謝罪を求められたのに、それを拒否し、反感を買う態度を示した。

初めて大精霊神と会った時のやり取りからアレンは違和感を覚えていた。

アレンがローゼンを見ると、ローゼンはソフィーを見つめていた。

ソフィーは軽く頷いてルークの説得に向かうようだ。

「ルーク、そのような悲しいことを言ってはいけません。ファーブル様も辛いのです」

「え? だけど……」

「神には神の、人には人のあるべき場所があるのですよ」

「そうだけどさ。もっと早くに言ってくれてもいいだろ」

仲間たちがルークを取り囲んでいく。

ルークの対応をソフィーたちに任せることにする。

(今回の一件はどこから予定していたことなのかな。そういえば、勇者が俺のスキルが知りたいって言ってたな。予定というか予見か。先見の力ね。全てはこの時のためなのか)

アレンは学園にいたころのことを思い出す。

勇者ヘルミオスは精霊王だったローゼンの言葉を聞いて、学園までアレンに会いにやってきた。

結果、勇者との協力関係のお陰で、魔神レーゼル戦では大いに助かった。

さらに、魔神レーゼルと戦う際に進んで助力をしてくれて、上位魔神キュベルが出てきた時は、闘いに発展しないようけん制をしてくれた。

さらに、S級ダンジョンの最下層ボスのディグラグニ、邪神教の教祖グシャラや上位魔神バスクなどの脅威で全滅しなかったのは、精霊神ローゼンの力がとても大きい。

何故ソフィーについてきたのか、分からなかった。

もしかして、今、この時が答えなのかもしれないと思う。

アレンはローゼンの元に歩みを進めた。

「ローゼン様、大精霊神の意思が変わらないうちにお力を頂けると助かります」

まずは当初の目的のソフィーとルークの強化をお願いする。

ルークは、我儘は言ったものの何のためにここまで頑張って大精霊神の問題を解いてきたのか理解していた。

アレンが話を進めるが、説得に応じる姿勢のルークはこれ以上何も言わないようだ。

『もちろんだよ。ファーブル、じゃあ始めよう』

『……あいよ』

ローゼンとファーブルがソフィーとルークの前に並び浮き上がり、小気味よく腰を振り始めた。

天から降り注ぐ光の雨粒の1粒1粒がソフィーの未来を祝福しているようだ。

(精霊王の祝福か。ソフィーも泣いているな。そうか、俺たちをずっと導いてくれてたんだな。孤独に戦ってくれていたのか)

初めて見たのは魔神レーゼル戦で絶体絶命な状況で救ってくれたときの事だった。

S級ダンジョン最下層ボス、邪神教、海底の底の上位魔神たちとの戦いで何度も救われた。

今回の精霊獣戦でも、勝利に導いたローゼンの精霊王の祝福がソフィーに降り注ぐ。

我慢しているのはルークだけではなかった。

この場に残り、神樹の種を芽吹かせるために残ると言ったローゼンを思い、ソフィーは大粒の涙を零す。

「あたいからもだよ。ルーク、受け取っておくれ」

「おう」

ルークの足元に漆黒の沼のような物が現れる。

ヘドロのようなものが現れて、涙で目が腫れたルークを包み込む。

(おどろおどろしくてソフィーの祝福の方がありがたく見えるな)

「アレンどうだ? エクストラモードになれたか?」

「ああ、なったぞ。ソフィーもな」

魔導書を見ると、確かにソフィーとルークに経験値欄が追加されており、エクストラスキル欄が無くなっている。

無事にエクストラモードになったようだ。

『はは。次は神器だね。神器「精王之杖」だよ。受け取ってほしい』

『あたいからは神器「精王之勾玉」だあね。神界から見守っているから、しっかりするんだよ』

「うん」

ローゼンとファーブルは手元に神力を込め、具現化させた神器の形を変えていく。

ソフィーには、木でできた厳かな雰囲気の杖が渡される。

ルークには黒曜石でできたような見ためで、漆黒の刃のついた勾玉が渡される。

『私からも課題を解決した褒美を与えるのが筋というものです。問題はないですね?』

(お? 褒美のおかわりはいくらあってもいいからな)

様子を見ていた大精霊神イースレイも、更なる褒美の意思を示す。

『え? ええ、もちろんよ。相応の神の試練であったと思うわ。どんな褒美にしたか、綺麗にまとめてくれていると助かるわ……』

創造神エルメアへの今回の一件の報告をまとめるよう言われたルプトは、少しでも楽がしたいようだ。

これからのことを思うと、ショックが大きすぎてルプトは項垂れている。

『では、ソフィーさん、ルークさん、神技を1つずつ差し上げましょう』

「ありがとうございます」

「なんだよ。気前がいいじゃないか!!」

「もうルーク!」

カモシカの頭の角が光ると、光がソフィーとルークに移っていく。

流石に失礼だとソフィーがルークを窘める。

こうしてソフィーは神技「神秘の泉」、ルークは神技「呪詛の霊言」を獲得した。

【名 前】ソフィアローネ

【年 齢】52

【加護①】精霊神(加護大)

【職 業】精霊師

【レベル】60

【体 力】3128+12000

【魔 力】4438+12000

【霊 力】16438

【攻撃力】2619+6000

【耐久力】2512+12000

【素早さ】3866+12000

【知 力】4481+12000

【幸 運】4087+12000

【加護②】全ステータス10000上昇、顕現速度3割上昇、魔力消費3割、精霊意思疎通範囲3倍

【神 技】精霊神の祝福〈1〉、神秘の泉〈1〉

【スキル】精霊師〈6〉、水〈6〉、雷〈6〉、空間〈6〉、光〈6〉、真御霊〈2〉、弓術〈6〉、神技発動

【経験値】0/6億

【名 前】ルークトッド

【年 齢】17

【加護①】精霊神(加護大)

【職 業】陰陽師

【レベル】60

【体 力】3180+12000

【魔 力】4449+12000

【霊 力】16449

【攻撃力】3629+12000

【耐久力】2523+12000

【素早さ】3881+12000

【知 力】4493+12000

【幸 運】3099+6000

【加護②】全ステータス10000上昇、顕現速度3割上昇、魔力消費3割、精霊意思疎通範囲3倍

【神 技】精霊神の障壁〈1〉、呪詛の霊言〈1〉

【スキル】陰陽師〈6〉、火〈6〉、毒〈6〉、時〈6〉、闇〈6〉、真怨念〈2〉、弓術〈5〉、短剣術〈3〉、毒沼津波〈1〉、神技発動

【経験値】0/6億

(うむ、確かに苦労して達成しただけのことはあるな。ソフィーとルークがむっちゃ強化された。フォルマールに至ってはそれ以上か。神器が2つもあるし)

アレンはソフィーとルークのステータスを確認する。

加護(大)によって全ステータスが1万上昇している。

また、エクストラモードはフォルマール同様にレベル60からスタートのようだ。

理由は分からないが、この辺りはドゴラやクレナと仕様が違う。

顕現する大精霊のスキル名には「真」の文字は表記されないようだ。

レベル60のキャップが開放され、次のレベルまでの経験値の表記もある。

エクストラスキル「精霊王の祝福」「精霊王の障壁」は、神技「精霊神の祝福」「精霊神の障壁」へと各段にスキルのグレードが上がった。

さらに、大精霊神から神技「神秘の泉」「呪詛の霊言」を貰ったことも大きい。

後程、効果を検証することにする。

「ローゼン様、ファーブル様、そして、大精霊神イースレイ様、このような御力を頂き感謝の言葉もありません」

『アレンさん、大きな試練を克服した者には相応の代価を払うのは神の務めです。気にすることはありません』

アレンは真実の鏡の取っ手部分に取り付けられた宝玉を覗き込みながら、ここまでの流れを納得した。

ローゼンの言葉に、自らの人生に使命を持っていたことを確信する。

「ローゼン様、ファーブル様、神樹の種が芽吹く時も楽しみにしています」

草Sの召喚獣は早めによろしくお願いするとアレンは口にする。

『はは。精霊獣に飲み込まれていた時、ここまでファーブルと大きくしたんだけど倒すのが早すぎたね。もう少し待ってね』

アレンたちが精霊獣と戦っている間、ローゼンとファーブルは精霊獣の力を種に変えるため闘っていたようだ。

『もちろんだわさ。よいっしょ』

ファーブルは地面に置かれた大人の人間でも両手で抱えるほどの緑色の葉脈の種に抱き着く。

神力を使い紫色に淡く光り始めたファーブルがへばりついた種は、アレンたちの目線ほどまで浮かび上がり、フヨフヨと浮いている。

「……素晴らしい力を頂きました。これでも、まだ、私たちには勝算は程遠いですか?」

アレンは推察が合っているか核心に踏み込んでみる。

『……アレン君、君はきっと探求を止めないと思う。更なる精進を期待しているよ』

(なるほど、まだまだ分の悪い戦いではあるということだな)

ローゼンは神樹の種のファーブルと反対側にへばりつき、神力を使い緑色に淡く輝き始めた。

「ファーブル、魔王を倒したらまた遊びに来るからな」

『あいよ。ダークエルフの事も任せたよ』

「ローゼン様も無理をなされぬよう。エルフの王女として、私たちも成すべきことを成しますわ」

『はは。ソフィー君にはいつも期待しかしていないよ』

ローゼンはいつものように笑って見せると、眠りについた。

一件落着と思われるこの状況の中で、不満を爆発する女性が1人いた。

「ちょっと、何で私以外皆強くなってんのよ! 私も頑張ったのにおかしいんじゃない!!」

報酬タイムが終わり、セシルは今回の結果に不満げのようだ。

クレナやドゴラに続いて、ソフィーやルーク、フォルマールまで強くなってしまった。

ノーマルモードのセシルは置いてけぼり感が半端ないようだ。

(妥協はなし。力を求めよとローゼンも言ったことだしな)

アレンは大きく深呼吸をし、手の関節をポキポキと鳴らし始める。

「そうだな。セシルのためにも次は魔法神イシリスかな。腕が鳴るぜ!!」

やったるぜ感を前面に出したアレンは、山の上場から遥か先を見つめる。

アレンの言葉に魂が抜けかけている第一天使ルプトが吹き出しそうになる。

『ちょっと、何腕を鳴らしてんのよ! これ以上神界で暴れないでください! あなた方がしたことを分かっているのですか!!』

山は崩れ、大きな泉の源泉となった頂上の端で第一天使ルプトが絶叫し、仲間たちは苦笑する。

こうして、アレンたちの精霊の園での活躍は終わりを迎え、次の冒険に向けて行動を開始したのであった。