軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

精製必須素材は美味しい素材です

魔力精製業者から『仕上がりました』と連絡が来たのは3日後だった。

受け取りに行くと、小瓶に入った半透明の結晶が置いてあった。

持ち込んだときの青灰色の塊とは別物のように見える。

透明度が上がって、内側に光が溜まっていた。

「純度89%まで出ました。よく取れた方です」

「いくらになりますか」

「精製料を差し引いて、76,000円で引き取らせていただきます」

そのまま売却した。

壁から拾った石が76,000円になった。

「また持ち込んでください。あの密度の塊なら、これくらいの純度は安定して出せます」

「分かりました」

持ち込んだ塊と仕上がりがここまで違うのは、何度見ても面白い。

またこういう掘り出し物をみつけたい、そう思いつつ帰宅した。

昼ごろ、鷹坂から連絡が来た。

「新しく入ったメンバーが装備を一式購入したんですが、少し気になる点があって。査定をお願いできますか」

「今日の夕方でいいですか」

「助かります」

通話を終え、色々と用事を済ませた夕方。

俺はクランの事務所に出向くと、鷹坂が装備を3点並べていた。

剣、鎧、護符。全部で15万円ほどで購入したらしい。

前回同様に【鑑定】を順番に向けた。

汚染はない。偽造でもない。

ただ、品質が想定より一段低い。

「汚染や偽造は確認できません。ただ、この剣は希少度Cの中でも下位で、この価格は割高です。鎧も素材が一般流通品よりも品質が低く、公称の防御値には届かないと思います」

鷹坂が少しため息をついた。

「本人に伝えます」

「業者の問題か、本人が騙されたのかは判断できませんが、返品交渉は難しくないかもしれません」

「ありがとうございます。助かりました」

少し話をした後、査定料を受け取って事務所を出た。

夜、14回目の配信を始めた。

登録者は6,180人になっていた。

「今日はB4Fを中心に回ります」

『6,000人超えてる』

『いつの間に』

『おめでとう』

「気づいたら超えてました。ありがとうございます」

先週とは別の区画を進んだ。

B4Fの南側はあまり回っていない。

ダンジョンに入ってB4Fにたどり着き、周辺をうろうろとしていたところ、通路の分岐の手前に、小ぶりな石が転がっていた。

3センチほどの、ベースは灰色だが少し緑が入った石で、ぱっと見は目立たない。

何となくだが、鑑定スキルを走らせる前の『なんかある感』と言えばいいのか、独特の違和感を感じ取っていた。

「これ、なんだろう」

拾い上げて【鑑定】を向けた。

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魔素結石(小)

希少度:C

現在価値:低(単体)

備考:ダンジョン内に点在する微細な魔素の結集体

単体での用途・価値は低いが、同一鉱脈由来の複数点が揃うと精製時の価値が倍増する

現在地付近に同系統のものが複数存在する可能性が高い

推奨:周辺探索・同一個体の収集

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「単体だと価値が低いんですが、近くに同じものがあるかもしれないと出ました。複数集まると精製のときに価値が倍になるらしい」

『探して』

『宝探しじゃん』

『周り全部チェックして』

「やってみます」

周辺を丁寧に確認した。

通路の脇や壁の割れ目、段差の下など。

隙間を中心に探すこと数分。

「これかな」

似たような石がもう1つ段差の陰に入り込んでおり、さらに進むと3つ目が壁側に落ちていた。

「3点ありました。全部回収します」

ここまで見どころが特に無かった配信にコメントが沸く。

『やった』

『全部見つけた』

『回収屋の本領発揮』

3点まとめて【鑑定】を向けた。

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魔素結石(小)×3点

同一鉱脈由来:確認

精製後推定価値:14万〜18万円(セット精製)

備考:同一由来の3点が揃ったことで精製効率が大幅に向上

単体合計の2倍以上の価値になる

推奨:魔力精製業者への一括持ち込み

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「単体だと3点合わせても数千円なんですが、同じ鉱脈のものが揃うと14万〜18万円になります」

コメントが止まった。

『は?』

『数千円が14万に?』

『それ全部見逃してた石じゃないの』

「ほとんどの人が踏んで通り過ぎてると思います」

『怖い話だ』

『素通りしてたら終わり』

『回収屋の目が必要すぎる』

配信を閉じると視聴者は6,300人を超えていた。

コメントをスクロールしていると、『品川のダンジョン、最近行ってみたくなった』という書き込みが何件かあった。

配信が現地へ引っ張る力を持ち始めているような気がする。

それはうれしいことだが、同時に正体特定スレの動きも速くなるかもしれない。

「まぁ、悪いことではないか」

そんなことを思いつつ、配信を終了しダンジョンを後にした。