軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

こたつでぬくぬく(2)

「「ただいまー!」」

扉を開けて、二人が家の中に飛び込んできた。

「うぅ。夕方は冷えて大変だぞ……」

「これから、まだ寒くなるんですよね……」

「それは聞きたくないぞー!」

二人は寒そうに体を擦りながら、元気のいい声を聞かせてくれる。今日も無事に帰ってきてくれて、ホッとした。

「おかえり。寒かったでしょ。ゆっくり、温まってね」

そう言いながら、洗浄魔法をかけて二人を綺麗にする。汚れが落ちた二人はホッとした表情になり、ある一点を見つめて固まった。

「なんか、あるぞ」

「あれはなんでしょう?」

二人はこたつを不思議そうな目で見つめていた。

「ふっふっふっ、よくぞ気付いてくれました。これは冬の必需品、こたつだよ」

「「こたつ?」」

「こたつの中に熱石を入れて温めているの。だから、中に体を入れると、凄く温かいんだよ」

「そうなんですね。こたつの回りがもこもこしていて、見た目からも温かそうって思います」

「気持ちよさそうだな」

こたつを説明すると、二人は興味深そうにこたつを見た。この顔はワクワクとしていて、早く入りたいと思っていそうだ。

「今日はこたつに入りながら夕食を食べるよ」

「何っ!? 中に入りながらか!? どうやって、食べるんだ!?」

「絨毯の上に座る感じになりますよね。それで、あの布団の中に体を入れて……」

「そう、そんな感じで食べるよ。今、準備するから待ってて。あっ、絨毯の上に乗るときは靴を脱いでね」

簡単に説明をすると、私は急いで料理を器に持った。アツアツの煮込み料理とパン、それに秘密の美味しいデザート。

私がこたつの上に料理を準備すると、二人はソワソワした様子で話しかけてきた。

「じゃあ、一緒に入るぞ」

「うん。待っててくれて、ありがとう」

「どんな感じでしょうね。楽しみです」

待っていてくれた二人と視線を合わせると、私たちはこたつの布団をめくり、体を中に入れた。その瞬間から、温かい空気が体を包み込み、冷えた体を温めてくれる。

「「……はぁ~」」

すると、二人が気が抜けたように息を吐きだした。

「なんだこれ、凄いぬくいぞ。部屋の温かさとはまた別物だ」

「なんていうんでしょうか、この温かさ。冷えた体をすぐに温めてくれる、この感じ……」

二人はうっとりとした表情でもぞもぞとこたつの奥深くまで入り込んでいく。しっかりとこたつ布団の中に入ると、その表情がもっと緩んだ。

「布団にも包まれていて、最高の環境ですね。これで食事を取るんですか? 癒されすぎてどうにかなってしまいそうです」

「あー、冷えた体が温まっていくー。これ、堪んないぞー」

「気に入ってくれて良かったよ。この中だと、冷えた体もすぐに暖かくなるからいいよね。それに、食事も同時にとれる」

「温まりながら食べる食事は美味しいでしょうねぇ」

「よし! 食べるぞ、食べるぞ!」

「「「いただきます!」」」

三人で温かいこたつに入りながら夕食を食べ始めた。煮込み料理をスープですくって食べると、内側からポカポカと温まってくる。

「美味い! それに温かい! こたつに入りながらの食事、凄くいいんだぞ!」

「えぇ、心地いいと美味しいを両方味わえるなんて贅沢ですね」

「だね。体が温まっていく感じ、とっても心地いいよね」

「これなら、何杯でも食べれそうだぞ!」

「それはこたつとは関係ないじゃないですか」

勢いよく食事をかきこむクレハを見て、イリスは呆れたようにため息を吐いた。

温かい空間に包まれながらの食事はいつも以上に心地よく、いつもよりも明るい声が響いた。温かさは心地よさを運んでくれただけじゃなくて、楽しさも運んでくれた。

「はぁー、ごちそうさま! お腹もいっぱい、温かさもいっぱい。幸せな時間だったぞ」

「ごちそうさまでした。温かいだけで、いつもより美味しく感じました。こたつって凄いですね」

「おそまつさま。じゃあ、二人はもう体は温まった?」

「食事とこたつのお陰でポカポカだぞ!」

「ポカポカになったけど、まだこたつの中に入っていたいです」

二人はこたつから離れないぞ、と言わんばかりにこたつの中に潜った。そんなにこたつのことを気に入ってくれて嬉しい限りだ。だけど、もう一つ楽しみの残してある。

「今日はデザートもあるよ」

「何!? デザートか!? どんなものだ!?」

「アイスクリームを用意したよ」

「……アイスクリーム? 寒い日なのに、冷たいものを食べるんですか?」

「温かい物じゃないのか? 冷たいものを食べると、また体が冷えるぞ」

寒い日に冷たいデザートを食べることが理解できないのか、二人は不思議そうにしていた。

「大丈夫、今は体がポカポカだから美味しく感じるよ」

だが、食事とこたつで温まった体で食べるアイスクリームは堪らなく美味しい。それを経験させるために、アイスクリームを作ったのだ。

私は食料保管庫から保存しておいたアイスクリームを取り出し、こたつのテーブルに並べた。

「さっ、食べてみて。いつもよりも美味しく感じるよ」

私が笑顔で進めてみると、二人は信じられない顔をしてアイスクリームを一口食べた。その瞬間、二人が驚いた顔になる。

「うまっ! 体が温かいから、アイスクリームの冷たさが気持ちいい!」

「これ、真夏に食べるアイスクリームと同じ美味しさを感じます!」

「今は冬なのに、寒いのに、どうしてこんなにアイスクリームが美味しく感じるんだ!?」

「外の寒さなんて関係ないんですね。自分の体がこんなに温かいからこそ、感じる美味しさだと思います!」

二人はとても驚いた様子だった。そうでしょ、そうでしょ。食事とこたつで温まった体で食べるアイスクリームは美味しいでしょ。

「冬なのにアイスクリームが美味しく感じる……。これって贅沢なんじゃ!」

「ですよね! 普通なら夏にしか味わえない感覚なのに、冬に味わっているんです!」

「そこがいいんだよ。冬なのに、アイスクリームを美味しく食べるために温まった体で食べる。気持ち的にいい感じでしょ?」

「あぁ! この感覚、よく分からないけれど……良い!」

「なんだか、とっても贅沢な気分です!」

二人は賛同するように何度も頷いた。その様子を見て、私はとても満足した気持ちになった。

「少し火照った体がアイスクリームで冷やされて、もう一度温まる。この気温の上下、心地いいです」

「温かくなったり、冷たくなったり、忙しいけど……悪い気分じゃないな!」

「気持ちが分かってくれて嬉しいよ。とりあえず、アイスクリームがなくなるまで、この心地よさは続くね」

「あー! がっつきたいけれど、長く味わいたい! なんか、もどかしい!」

「私はゆっくり味わいます。温かいと冷たいの、両方体験出来て楽しいです」

こたつを囲みながら、冷たいデザートを食べる。それはいつもよりも楽しい食卓になって、会話が弾んでいった。

今度はみかんでも用意しようかな?