作品タイトル不明
396.目がキラキラ
「おはようございまーす。」
「へい、らっしゃい。……おっ、ジョアン様かい?」
と、元気な声はネルパパ。
「まぁまぁ、ジョアン様?お綺麗になって〜。」
と、いつもの優しい笑顔のネルママ。
2人にも双子ちゃんを紹介して、来店した件を謝る。
「すみません。急なお願いで。」
「いやいや、構わないよ。まぁ、確かに昨日の夜に連絡もらった時は驚いたが、ちゃんと準備は出来てるよ。」
と、苦笑しながら話すネルパパ。
量が量だけに、昨日の夜、前もって連絡を入れておいたので、どうにか数は揃ったらしい。
「えーっと、ホタテ、ブリ、ヒラメ、タラ。ブリとヒラメは、下処理したが、タラは希望通り鱗だけ取ったが、良かったのかい?なんなら今から内臓取るけど?」
「ありがとうございます。タラは、メソ汁にするんですけど、内臓も美味しいんですよ。」
「「「内臓を食べる!?」」」
ネルパパ、双子ちゃんが驚く。
「はい。今日はちょっと時間ないですけど、次来た時にお教えしますね。冬には、最適な身体の温まるスープですよ。」
「おう。まぁ、ジョアン様が言うんだから間違いねーな。じゃあ、その時は宜しく頼む。」
「ジョアン様、佃煮は今だとこれだけになりますけど……。」ネルママが用意してくれたのは、小魚とシジミとアサリだった。それを陶器の入れ物に入れた物が5個ずつ。
「わぁ、充分ですよ。ありがとうございます。」
ネルパパとネルママに代金を支払い、串焼き屋に戻る。
「おっ、姫さん。ちょうど焼けたところだ。」
お土産分をしまい、双子ちゃんと共に齧り付く。
「「「んー、美味しいー。」」」
「ガッハッハハハ。やっぱり兄弟だな。そっくりだ。」
「だって、こんな美味しいもの王都にもないですよ?」
「そりゃ、そうだろ。ここのは新鮮なものだけ扱っているしな。」
串焼き屋にも代金を支払い、双子ちゃん達はまだ滞在するからまた来ると言い、屋敷へと戻った。
私は、屋敷に戻ると
厨房へと向かう。
バンッ「やっほーー。」
「「うわっ!!」」ガチャガチャ。
ランチの準備の為に、厨房にいたテリーとドリーが驚いて目をまん丸にし、ボウルやらを下に落としていた。
「お、お嬢さん、勘弁して下さいよー。」
「驚きすぎて心臓が口から出そうでしたよー。」
落としたものを片付けながら、2人は言う。
「あははは。ごめんごめん。あれ?マックさんは休み?」
「はい。寮にはいるんで呼んで来ます?」
「ううん。大丈夫。ランチは私が作ろうかと思って。」
「「やった!!」」
テリーとドリーがハイタッチをする。
冷蔵庫とパントリーを確認して、パエリアとビシソワーズにしようと思った。
「じゃあ、テリーさんはジャガトを皮剥いて、タマオンは薄切りで。ドリーさんは、パエリアに使う野菜の準備して。」
「「了解。」」
その間に、私はパエリア用の魚介類の下処理をする。それが終わると1番大きいフライパンに、クラーケンと野菜を炒めて潰したトメットを加えて煮詰める。煮詰まったら、エビ、アサリ白身魚、水、塩、サフランを加えて強火にかけ、ひと煮立ちしたら魚介類を取り出す。煮立たせたスープに米をサラサラとふり入れ、強火で5分炊き、さらに弱火にして12分かけて炊き上げる。仕上げに10~20秒ほど強火にかけておこげを作る。最後に、取り出した魚介類を戻して盛り付け、くし形切りにしたリモンとパセリをのせて完成!
「意外と簡単すね。」
「そうだよ。魚介類は何でも良いし、肉系でも美味しいよ。」
「じゃあ、今度肉系でやってみます!」
ビシソワーズは、ジャガトとタマオンをバターでしんなりするまで中火で炒め、コンソメスープでジャガトが柔らかくなるまで中火で煮る。その後は、鍛冶屋のスティーブさんが作ってくれたミキサーで攪拌する。それを、再び鍋に戻してミルクを入れ、沸騰直前になったら、塩こしょうで味を整える。粗熱が取れたら冷蔵庫に入れて、冷たくなるまで冷やせば完成。
「いや〜このミキサーって便利ですねー。」
「でしょう?スープは、ジャガトの代わりにカボキン(カボチャ)でも、 甘露芋(サツマイモ) でも出来るし。フルーツとミルクでジュースとかも出来るよ。」
「へぇ〜。凄いっすね。」
「試しにナババ(バナナ)のシェイクでも作る?」
「「ナババのシェイク!?」」
作り方は簡単。ナババとミルク、ハチミツ、氷を入れてミキサーで攪拌するだけ。
「「うっま!!」」
「食欲のない時でも、簡単で飲みやすいよ。」
「うん。確かに……って、今度は何作ってるんすか?」
「ミックスジュース。」
関西生まれだった前世の母が良く作ってくれた、思い出の味。通常は、缶詰のフルーツを使うけど、この世界にはまだないので、私が作った甘露煮で代用する。材料は、コミランジ(みかん)の甘露煮、モーモ(モモ)の甘露煮、ナババ、ミルク、氷。ミキサーに2つの甘露煮とナババ、ミルク、氷、そして甘露煮のシロップを少し入れる。あとは、攪拌するだけ。
「ん〜これこれ。美味しい!」
「これも美味っ!!」
「俺、こっちの方が好きだ。」
ランチを皆んなで取り、私と契約獣だけ先にジェネラルへと帰ってきた。デビュタントを迎えて、私の転移出来る距離や人数は増えた。ファンタズモなら余裕で行けるようになった。ただ、ファンタズモの屋敷の場所が他の領民の家に近い為に、街道にしているけど。
「スノー、疲れた?」
スノーに【アクア】の水を準備しながら聞く。
『いいえ。確かに久々の遠乗りだったけど、まだまだ大丈夫よ。』
「じゃあ、一緒に王都行く?」
『えっ!?私も?』
「うん。久々にゼクスに会いたいでしょ?」
『いいの!?行きたいわ!』
「じゃあ、準備してくるから待っててね。」
『もちろんよ!早くね!!』
「はいはい。」
久々に番いのゼクスに会えるからなのか、スノーは目をキラキラさせていた。そして、さっさと準備しろというような視線に、私は苦笑しかない。