軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

395.誘惑に勝てない

トントントン「失礼します。」

と、ネイサンとザックがリビングに入ってくる。

「準備出来ました。いつでも行けますよ。」

と、ネイサン。

「ありがとう。じゃあ行きますか。」

私達が外へ出ると、馬車が二台用意してあり、その横にシン、メーガン、バース、テトが立っていた。馬車を引くのは、双子ちゃんの愛馬ライトとウインのペア、そしてブラウとノインのペア。ブラウは、一時期ファンタズモの屋敷にいたこともあり、番いと子供達を見せたいと言うのと、ライトとウインに遠乗りをさせたいという希望からこのメンバーになった。ブラウとノインの馬車に、双子ちゃんとネイサン、シン、メーガン。ライトとウインの馬車に、ザックとバース、テトが乗る。

ちなみに、私はスノーに単騎で行く。スノーは番いのゼクスが、ジーン兄様と共に王都に行ってしまい、一時期塞ぎ込んでいた。予定のない週末は、良くジェネラルを一緒に散策していたが、今回はスノーにとっても久々の遠乗りだった。

「「「「「「おはようございます。」」」」」」

御者兼護衛の私兵団メンバーがやって来た。今回は、ナットさん、ガンさん、マーティンさんとjr.のルー、デニス、そして男爵家出身のリチャード・ガルシア。焦茶色の長い髪を1つに結び、橙色の瞳の褐色の肌の青年。

「おはよう。今日から宜しく。」

私兵団メンバーは、今回同行してファンタズモでお祖母様の鍛練を受けるそうだ。御者台には2人座り、残り2人は馬での移動。

全員が馬車に乗り、馬に跨ると私はサラとベルデに声をかける。

「じゃあ、サラ行ってくるね。」

「はい。お気をつけて。」

「じゃあ、ベルデお願い。」

『かしこまりました。』

ベルデが馬車と騎乗組に向かって、何かを呟くと一瞬にして、私達は転移された。

サラは、私達がいなくなった場所に一礼をすると、屋敷へ入って行く。

*****

シュン。

一瞬で、ファンタズモの屋敷まであと1刻間ぐらいのところの街道に転移した。

「「「おぉー。」」」

「「「……。」」」

私兵団メンバーは、ファンタズモまで同時に転移した事に驚いていた。特に、jr.メンバーは初めての転移ということもあり、声を失い目をこれでもかと見開いていた。

「ぶっ……。ルー、大丈夫?」

「お、おう……痛っ。」

「ジョアン様に、タメ口きくな!」

隣に座っていたナットさんに、後頭部を叩かれるルー。

ファンタズモの屋敷に着くと、玄関ポーチにお祖父様とお祖母様が出迎えてくれる。その後ろには、セバスチャンさんとロッテンマイヤーさんもいる。

「聞いてはいたが、早かったな。」

と、お祖父様。

「おはようございます。お祖父様、お祖母様。」

「「おはようございます。」」

「おはよう。体調は大丈夫?」

と、お祖母様。

「はい。大丈夫です。」

リビングに通されて、ロッテンマイヤーさんが淹れてくれたお茶を飲みながら、ベルデを紹介する。

『先代様、大奥様、この姿ではお初にお目にかかります。ジョアン様の契約獣となりました、ベルデと申します。元ギガトレントです。至らない点も多々あるかと思いますが、日々精進してまいりますので、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。』

ベルデは、片手を胸にお辞儀をする。

「まあ、ご丁寧にありがとう。これから、ジョアンのこと宜しくね。」

と、お祖母様。

「なんと……あのギガトレントが、精霊とはなぁ〜。長生きするもんだな。」

と、お祖父様。

そして、先日起こったアレコレを話した。通常であれば、社交シーズン開始前にはジェネラルには来ているが、今年は先日まで旅行に行っていた。だから今年は、双子ちゃんが戻る2週間後に一緒にジェネラルに向かうそうだ。

「そう……。スタンから話には聞いていたけど……。」

「にしても、ジョアンは相変わらず無鉄砲じゃな。無事で良かったものの、どうなるかわからんわけではないじゃろ?」

お祖父様は呆れ顔で言う。

「……でも、ジュリー叔母様の付与があるアクセサリーもありますし、パール達もいたから……。」

「ジョアン、それは過信というものよ。確かにジュリーの魔術付与は完璧だし、パール達もジョアンを護るでしょうけど、イレギュラーなことがあるかも知れないのよ。そこを忘れてはいけないわ。」

「はい。今後は、気をつけます。」

その後、屋敷を出て、街へ向かう。朝市もやっている街は、既に多くの人が動いている。

今回は、時間がないのでネルさんの実家の魚屋さんにだけ向かう……はずだったけど、やっぱり誘惑には勝てなかった。

「おじさーん。下さいなー。」

開店したばかりの串焼き屋に声をかける。

「ん?姫さんじゃないか!どうしたね?こんなに早く、珍しいな。」

「久々に来たから、どうしてもおじさんの所の味が恋しくて。」

「くーっ。嬉しいこと言ってくれるね〜。おっ?もしかして後ろにいるのは?」

「あっ、紹介するね。私の弟と妹。双子なの。」

「初めまして、フウゴと言います。兄と姉から、ここの串焼きの美味しさを聞いていて楽しみにしてました。」

「初めまして、ライラと申します。私も楽しみにしてました。ようやく夢が叶いますわ。」

「なんだいなんだい、皆んな揃って俺を泣かせる気か?よーしっ、今日は俺のサービスだ。好きなもん言いな。」

「「わーっ。」」

「ダメですって!タダより怖いものはないですから!」

「ぶはっ……。相変わらずだな、姫さんは。」

「じゃあ、ここで食べる分はサービスして貰って、お土産分は買わせて下さいね。」

「おう、悪いな。じゃあ、まず坊と姫ちゃんは何食べたい?」

「僕は……エビを。」

「じゃあ、私は……これ。」

「ホタテだな。んで?姫さんは?」

「じゃあ、エビで。それから、お土産分は……エビ、ホタテ、ハマグリ……あっ、これクラーケン?」

「ああ、姫さんが前に食べ方を教えてくれたお陰でな。」

「じゃあ、クラーケンも。全部、20ずつって大丈夫?」

「に、20!?」

「難しいならーー」

「大丈夫だ!よし!時間は貰うがいいな?他に用事あるなら、焼いとくからよ。」

「ありがとう。じゃあ、また後で。」

串焼き屋を出て、魚屋に向かう。