作品タイトル不明
378.フレッド殿下の提案
「では、リバークス侯爵の方は引き続き、ラムディール殿下並びにイデア殿の捜索を。その他の者は、今後、相手がどのように動くかわからない。心しておくように。」
「「「「「「「「「「御意に。」」」」」」」」」」
陛下、王妃様、宰相様が会議室を辞し、リバークス侯爵、お父様、レルータ伯爵は場所を移して今後の捜索方針を決めるそうだ。そして、会議室に残ったのは、アルバート殿下、キャシーちゃん、攻略対象者とそのタッグパートナー、そして私達騎士科の女生徒。
「で?従僕見習いの具合は?」
と、アルバート殿下。
「はい、既に回復しております。念のため、弟、妹、従僕見習い全て学院を休ませてます。」
「そうか、なら良いが。」
「あの、兄上。これは、相談なんですが。」
「なんだ?フレッド。」
「キャサリーヌ嬢が俺の婚約者だと思い、キャサリーヌ嬢の誤情報を流したり、ジョアンの所の従僕見習いを襲撃しているわけですよね?であれば、キャサリーヌ嬢は兄上の婚約者だと件の男爵令嬢にわからせたらどうでしょう?」
「確かに……だが、そうなると今度はエレーナ嬢が狙われる可能性があるぞ?」
アルバート殿下が言うと、皆んなエレーナ先輩を見る。エレーナ先輩とフレッド殿下は、顔を見合わせ頷く。
「「承知の上です。」」
2人が声を揃えて言う。
「ですが、我々とて騎士科の人間です。日々の鍛練を怠ってはおりませんし、襲撃されたとしても自衛できます。」
と、フレッド殿下。
「私も、自衛においては貴族令嬢の中でもトップクラスと自負しております。それに、仮に我が家の者が襲撃された場合は、使用人も含めて家族が嬉々として報復致しますわ。」
「「「「「「「「えっ!?」」」」」」」」」」
エレーナ先輩のご家族、お父上様のディーゼル侯爵家は、お父様の上司で魔物討伐団団長だったドミニク・ディーゼル様、お母上様は、お母様の上司で魔術師団団長だったレティ・ディーゼル様。エレーナ先輩のご兄弟は、お兄さんと弟さんがいるそうだ。しかも、お兄さんは私も一度会ったことのある、近衛隊の錆色の短髪に濃灰の瞳のゴツいイケメンのメルヴィンさんだった。弟さんは、私と同窓生らしいが、一般科ではBクラスで見たことあるかもなぁ〜程度。今は、魔術科に在学中だそうだ。しかも、武力系の家柄にしては珍しく、魔術師というより魔道具師希望らしい。
もちろん、ディーゼル家の私兵団も使用人も、我が家と同じように腕の立つ人で構成されているそうだ。
「このまま、キャサリーヌ様がフレッド殿下の婚約者だと思われ狙われるよりは矛先が私とディーゼル家に向いた方が良いのではないでしょうか?」
「それに、婚約者を間違えているのは件の男爵令嬢ぐらいであって、他の者達は知っております。であれば、さほど混乱はないかと思われますが……どうでしょう?」
エレーナ先輩とフレッド殿下の言い分はもっともであった。確かにキャシーちゃんとカッター公爵家よりは、武力的にも申し分のないディーゼル侯爵家の方が対応できる。
「わかった。だが、私の一存で決めることは出来ない。陛下に話してみる。それまでは、動かぬように。」
そう言って、アルバート殿下とルーカス様、そして近衛隊が会議室を出て行った。
「フレッド殿下、エレーナ様、本当によろしいのですか?」
と、申し訳なさそうなキャシーちゃん。
「ああ。最初からこうしておけば良かったんだ。……ジョアン、申し訳ない。俺が判断を遅らせたばかりに、関係のないランペイル家の従僕見習いに怪我をさせてしまった。」
フレッド殿下が謝罪の言葉と共に頭を下げる。
「フ、フレッド殿下!?頭を上げて下さい。謝罪は受け入れます。でも殿下が悪いわけではありませんし、ザックも既に完治してますから。どうか気になさらないで下さい。」
「ありがとう。」
ようやくフレッド殿下が頭を上げてくれる。
「これから、どうなるんだろうな。」
ノア先輩が呟く。
「あー、殿下の婚約者が人違いとなるからな。周りに当たり散らすんじゃね?「どうして教えてくれなかったのー?」とか言って。」
と、ヴィー。
「「「「あり得る。」」」」
私、ベル、エレーナ先輩、クロエ先輩は声を揃えて言い、キャシーちゃんは無言で頷いてる。
「「「「「「「「「は?」」」」」」」」」
私達は、飴ちゃんが勝手にフレッド殿下とラムディール殿下を間違えて勝手に盛り上がり、その後、勘違いが発覚した時に私達に、なぜ教えなかったと噛みついて来たことを話した。
「えっ?俺?ラムディール殿下に似てる?」
全員が首を横に振る。
「髪色が同じってぐらいじゃないですか?髪型も瞳の色も年齢も違いますし。」
「まず、耳の場所も違うけど。」
ノア先輩とヴィーの言葉に、皆んな頷く。
あれ?でも、ゲーム内でフレッド殿下の容姿がわかるわけだから、間違えるはずないのに……。
どう言うことだろ?
「どうしたの?ジョアン。」
横にいたベルが、俯きながら考えていた私に聞く。
「あー、ごめん。ちょっと気になったことがあって。……ごめん、ちょっと離れるね。」
私はそう言って、会議室を出た。会議室の前には近衛隊のユージンさんが警備として、他の隊員と共に立っていた。
「あれ?ジョアンちゃん、どうした?」
「あっ、あの、お父様達がどこにいるかわかりますか?」
「ランペイル辺境伯様なら、たぶんリバークス侯爵様の執務室だろう。場所がわかりにくいから、案内させるよ。レオ。」
「はい。」
ユージンさんに指示された近衛隊の人は、先日、実践訓練でチラッと見た人だった。
紫色の髪の毛に、紺色のタレ目の小柄の男性。
「レオ・サノックと申します。……いつも妹がご迷惑をお掛けしております。」
「妹さん?サノック……あっ、もしかして、レベちゃ……レベッカ様の?」
「はい、そのレベちゃんの兄です。」
「わ、私こそ、お世話になっております。」
「いやいや、妹が色々とスミマセン。その……本とか。」
「あー、いや、まあ。あはは。」
私達の会話に、首を傾げるユージンさんには後で説明してもらうとして、レオさんに案内してもらう。