作品タイトル不明
337.ソバー
翌日、午前中からレルータ伯爵のタウンハウスにお父様と共に向かった。
応接室に通されると、そこにはレルータ夫人、エド、エデーン侯爵、サエルミラ嬢、そして2人の若い男性がいた。
「ランペイル辺境伯、ジョアン嬢、ようこそ。本日は、ご足労頂き申し訳ない。」
「いや、こちらこそ昨日はジェネラルまでお越し頂きありがとうございました。」
「紹介しましょう。私の息子達です。」
「お初にお目に掛かります。レルータ伯爵が嫡男、アルミナス・レルータと申します。魔術師団に所属しており、ノエル殿には、学院時代からお世話になっております。」
アルミナス様は、レルータ伯爵に似た美男子。オリーブ色のゆるふわセミロングに、緑色の瞳。ノエル兄様と同級生で、魔術師団では同期らしい。
「お初にお目に掛かります。レルータ伯爵次男、イシリオン・レルータと申します。王城にて魔道具を製作しております。」
イシリオン様は、レルータ夫人とエドに似た美男子。ブロンズ色の寝癖に近い外ハネヘアで、茶色の瞳に銀縁のメガネをかけている。
「エドラヒルの上に娘もいるのですが、王城で侍女をしております。」
エドは、4人兄弟の末っ子だったんだ。
それにしても、エドファミリーとエルファ国の2人、ここまで美男美女が揃うのは凄いわ。眼福、眼福。
「早速だが、ジョアン嬢にソバーについて聞きたいのだが良いだろうか?」
侍女さんが紅茶を配り終えたところで、レルータ伯爵が話を切り出した。
「はい。どのような事でしょうか?」
「まず先日、ジョアン嬢はソバーは痩せた土地でも育つと言っていたね。それは、本当だろうか?」
「ソバーが私の知っているソバと同じ物であれば、その可能性は高いと思います。もし、ソバーがあればサーチ出来るのですが……。」
「ソバーなら、今回、私が妹に持って来た土産の中に入れていたはずだ。」
エデーン侯爵が、レルータ夫人の方に視線を送るとレルータ夫人は頷き、家令さんに持ってくるように指示をした。
家令さんが戻って来て、テーブルの上に置いた皿の中には、前世でも見たことがあるソバの実。
「では、サーチします。【サーチ オープン】」
「「「「「「「えっ!?」」」」」」」
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[ソバーの実]
植物。種まきをしてから70-80日程度で収穫でき、痩せた土壌でも成長し結実する。しかし、痩せた土地では結実するだけで収穫量は少ない。
産地:エルファ国、エデーン領。
材質:花の色は白。果皮色は黒、茶褐色。
食用:もちろん可。実を食用にする。
主に製粉して蕎麦粉として用いられる
食べ方:そば粥。蕎麦。そばがき。そば焼酎。
ガレット。
補足:ソバー殻は、枕にも最適。
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「あっ、やはり私の知っているソバと一緒ですね。」
「あの、いや、それよりも……サーチを表示できるとは……。」
レルータ伯爵は、サーチの表示について驚いていた。
「もしかして、ジョアン嬢は【サーチS】かい?」
「はい。」
「それは凄い。あのノエルが黙っていたと言うことは、よっぽどジョアン嬢が可愛いんだな。」
アルミナス様曰く、ノエル兄様が魔術馬鹿なのに、私のスキルについては一切話していなかったらしい。
「エルファ国では、どのように食べるのですか?」
「我が国では、茹でて味を付けて食べるぐらいだ。だから、先程表示されたような食べ方は知らない。」
エデーン侯爵が教えてくれた。
「もし、よろしければ、ソバーの実を使った料理を作りましょうか?その方が、わかりやすいですよね?」
「ジョアン嬢は、作り方がわかるのかい?であれば、ぜひ!」
レルータ伯爵にお願いされ、私を家令さんが厨房へ案内してくれる。
「で、何を作るんだ?」
一緒について来た、エドが聞いてくる。隣にはサエルミラ嬢。仲良くなって、先程、ミラちゃん呼びの許可頂きましたー。
「ん〜と、ガレットと蕎麦にしようかな?と。」
「どんな食べ物なんですか?」
ミラちゃんが、興味深々で聞いてきた。なんでも、食べる事が大好きなんだとか。だから、すぐ仲良くなれた。
「ガレットは、そば粉で作ったクレープ。蕎麦は、そば粉で作ったミェン。この前食べた、スパゲッティのようなものかな。ただ、蕎麦はスープにつけて食べるんだけどね。」
「「へぇ〜。」」
厨房へやって来て、料理長を紹介してもらい、やりたい事を説明した。料理長は、どこの誰かもわからない私の話を聞いてくれて、必要な物を準備してくれた。
後で、エドから聞いた話では、私が騎士寮で色々と料理を作っている事、レシピの特許を取っている事を知っているからだと。何故知っているか?それは、エドやレルータ夫人が話していたからだった。
ガレットの生地は、そば粉、水、塩を混ぜるだけ。クレープのように、フライパンに薄く引いて表面が焼けたら、ハム、卵、チーズをのせる。具材に火が通ったら、具材を包むように4辺を内側に折り込んで出来上がり。
蕎麦は、そば粉:小麦粉を8:2、二八蕎麦で作る。もちろん、小麦粉はレルータ領産。大きなボウルに、そば粉と小麦粉をふるいにかけながら入れる。粉を集めゆるい山にして、中央にくぼみを作り、水を入れ素早く混ぜる。大きなダマをほぐしたら、再度ゆるい山にして水を入れる。粉に水がまわり、粉が団子状になったら、1つの塊にまとめる。生地を捏ねて、水分が吸収されて滑らかになったら、のし台に打ち粉をふって、中央に置き、麺棒で薄く伸ばしていく。もちろん、生地にも打ち粉をしていく。薄く伸ばした生地を折り畳んだら、軽く板をおきながら、細く切っていく。あとは、茹でたら出来上がり。
今回は、蕎麦を味わってもらう為に、ざる蕎麦にした。麺つゆは、ストレージに入っていた物を出した。
あとは、皆んながどのような反応をしてくれるか、不安でもあるけど、私としては蕎麦を食べられるのが楽しみでしょうがない。