作品タイトル不明
336.ご対面
「大変お待たせ致しました。私の契約獣でございます。ご挨拶を。」
『ジョアンの契約獣、フェンリルのパールでございます。』
『僕はジョアンの契約獣、カーバンクルのロッソだよ。』
『俺も姐さんの契約獣、ホワイトデーモンオウルのメテオっす。』
パール達が挨拶をすると、事情を知らない人は言葉を話すことに驚く。
ガタッという音がする方を見ると、ティガー公爵令息とバギーラさんがパールの方を向いて、片膝をついていた。
「フェンリルのパール殿、私はアニア国で宰相補佐を務めておりますティガー公爵家嫡男、ガドラ・ティガーと申します。この度、ジョアン嬢の計らいでパール殿にお目通りが叶い、大変嬉しく存じます。」
『あ……はい。えっと……ジョアン。』
「ティガー公爵令息様、パールが困ってしまいます。頭をお上げ下さい。」
「いや、しかし……。わかりました。パール殿、失礼致しました。」
ティガー公爵令息とバギーラさんが席に着くと、パールもようやく私の後ろから出て来た。
「ジョアン嬢、申し訳ない。トニーからも、あまり仰々しくするとパール殿が困るからと言われていたにも関わらず……。」
「いえ、それだけフェンリルがアニア国にとって崇める対象なのは理解しました。」
「ええ、そうなのです。出来ることなら、是非パール殿にはアニア国にーー」
「ティガー宰相補佐殿。それ以上は、ご容赦頂けるだろうか。」
「「「「っ!!」」」」」
アルバート殿下が、ティガー公爵令息の言葉を遮って話を止めた。
うわっ、久々に見たわ。腹黒様の絶対零度の視線。
しかも、今回は威圧を出してるわ……。他国に対して、大丈夫なの?でも、アルバート殿下のお陰で助かった……。
「アルバート殿下、その……申し訳ない。パール殿もジョアン嬢も、申し訳なかった。先程の事は、聞かなかったことにして欲しい。」
「わかりました。パールも良い?」
『ええ、大丈夫よ。ただ、1つだけ……私はジョアンの側からは、絶対に離れないわ。だからと言って、ジョアンとランペイルの家族に害をなすようであれば、その時は絶対に許さない!!』
「「「「「「っ!!」」」」」」
「パール……。」
『僕も、その時は絶対に許さないよ。』
『俺もっす。』
『ワレ モ ユルサナイ』
「き、肝に銘じます。」
契約獣と契約獣希望者から、口々に言われたティガー公爵令息は顔を青くしながら返事をした。
「あっははは。ジョアン嬢は契約獣達に愛されてるな。」
「はい。嬉しい限りです。」
その後、バースとテトを紹介した。ティガー公爵令息に、孤児だったこと、誘拐された時のこと、このまま我が家で働きたいということをバースとテトは頑張って伝えていた。平民で孤児の2人にとって、公爵家の令息で自国の宰相補佐の肩書きを持つティガー公爵令息は、雲の上の人のようで、緊張しながらもちゃんと自分達のことを話していた。お父様も私も、2人のことは責任を持って、手助けすることを約束した。
ティガー公爵令息からは、よろしく頼むと頭を下げられて、バースとテトは再び恐縮していた。
その後王城に戻り、アニア国御一行は一足先にエグザリア王国を出立した。来訪した時に、出迎えの儀に参加していなかったから知らなかったが、アニア国の使者達はワイバーンで来訪していた。なんでも、ワイバーンに騎乗して戦う竜騎士も存在するらしい。
「竜騎士……格好良い。」
「ジョアン、竜騎士はアニア国に行けば簡単に会えるぞ。パールを連れて行けばな。」
「嫌ですよー。絶対面倒なことになるじゃないですか。」
「クッククク、まあな。ただ、パールがはっきりと断ったから、大事にはならんとは思うがな。」
アルバート殿下は、そう言うが未だに不安ではある。でも、帰り際のトニー君が、手紙を書くと言ってくれたのは嬉しかった。
「そう言えば、あのギガトレント契約してみたらどうだ?それとも、何か理由があるのか?」
「いや、これ以上契約獣が増えるのは……。」
「大丈夫だ。既に規格外なんだから、増えても誰も驚かない。」
「というか、なぜそんなに勧めるのですか?」
「あー、その契約するところを見てみたい。」
「「えっ?」」
さすがに私もお父様も耳を疑った。
「まさか……それだけ?」
「そうだが?」
「殿下……さすがにそれは……。」
お父様も、何て言って良いか困ってる。
「あっ、いや、あれだぞ。個人的な事ではなくて、魔術師団としての興味だぞ。」
「……。」
「何だ、ジョアンのその疑ったような目は。」
「いえ……。わかりました、契約します。アルバート殿下の時間のある時で構いません。……だから、ルーカス様の元へ。仕事溜まっているんじゃないですか?ずっと、こちらを見てますよ。」
「げっ……。わかった。では、時間が空き次第文を飛ばす。」
そう言うと、側近のキャシー兄ルーカス様の元へ早足で戻って行った。それを見たルーカス様は、私達の方に微笑みながら会釈をした。
「はぁー、結局、契約することになったかー。」
「ジョアン、良かったのか?」
「お父様。大丈夫です。ギガトレントもずっと我が家でトム爺やマイクの手伝いをしていたんですし、そろそろだと考えていたんですから。」
「そうか。ジョアンが良いなら良いが。」
そう言って、優しく頭を撫でてくれる。
どんな時でも、お父様は優しいわ。
ギガトレントの名前、考えなきゃな〜。
「ところで、明日なんだがレルータ伯爵が話をしたいと言うんだが。」
「話?私とですか?今回の件で?」
「いや、ソバーの話だよ。」
「ソバー?あっ、ソバ。はい、わかりました。」
「そうか、ではレルータ伯爵に文を飛ばしておこう。」
ちなみに、サエルミラ嬢とエデーン侯爵は、レルータ伯爵の所に何泊かしてからエルファ国に戻るそうだ。エド曰く、なかなか会えないからとレルータ伯爵夫人が招待したと。
ところで、私って学院ずっと休んでるけど大丈夫なの?
デビュタントの翌日に、バースとテトに会ったのが先週でしょ?来週には、行けるかな?
ってか、テスト近いじゃん。えっ?ヤバくない?