軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

338.交渉

私とエド、ミラちゃんが先にダイニングルームで待っていると、家令さんに案内されたお父様達がやってきた。

「おぉ、コレがあのソバーなのか?」

「はい。クレープのようなモノがガレット。スパゲッティのようなモノは、蕎麦と言います。スープにつけながら食べて下さい。ナミダサビをお好みでどうぞ。付け合わせは、海老と甘露芋のフリットです。」

フリットは、いわゆる天ぷら。私としては、かしわ天や半熟卵が好きだけど、今回はストレージにあった海老と甘露芋だ。甘露芋を出したのは、もちろんランペイル領産をアピールしたいから。

皆んなに食べ方を教えて、いざ実食!

「「「うっま!」」」「「美味しいわ。」」

「「「美味いな。」」」

それぞれ、感想を言ってくれて、私は一安心。

エド兄弟は、蕎麦とガレットをお代わりしてまで食べてくれた。

*****

食後に、再び応接室に戻る。

「いや〜、ソバーの食べ方が色々とあるとは知らなかったよ。」

「ええ、本当です。……ジョアン嬢、食べ方について教えて貰う事は可能だろうか?」

「えーっと……。」

エデーン侯爵は食べ方の多様に驚き、レルータ伯爵はレシピなどを教えて欲しいと言う。でも、私では判断出来ず、お父様の方を見ると無言で頷くだけ。要するに、自分で交渉するようにと言う事。であれば、答えは決まっている。

「はい。ソバーの活用についてはレシピも含めてお教え致します。その代わり、お願いしたいことがございます。」

「ソバーの活用についての報酬だね。言い値でお支払いしよう。」

「いえ、お金は結構です。その代わり、定期的にソバーをランペイル領に輸出して頂けませんか?そして、ランペイル領でもソバーを育てる事をお許し頂きたいです。」

「ほお、目先の金貨よりも定期的なソバーの輸入を望むと。」

「ええ、知識で得たお金よりも、今後のエデーン侯爵様やエデーン領との良きお付き合いの方がとても魅力的ですわ。」

「わっははは。ジョアン嬢は、交渉が上手いな。良いだろう、定期的な輸出をしよう。金額についてはもう少し考えさせて貰いたい。」

「ありがとうございます、エデーン侯爵様。では、正式な契約書類を後ほど、お持ちします。その間に、他の品物についてもプレゼンしても宜しいでしょうか?」

「ジョ、ジョアン?」

何やらお父様が焦っているけど、今は私のターンだ。

「良いだろう。何だい?」

「はい、まずはこちらを。」

ストレージから、準備していた物を出す。それをエデーン侯爵に渡す。

「これは?」

「枕ですわ。通常、枕の中には綿が入っていますが、これはソバーの殻を入れてあります。先程、食べて頂いたものは全てソバーの殻を取り除き、石臼で粉にした物。今後、そのようにして食べる事を考えると、ソバー殻が多く産廃することになります。ですので、私が提案するのは、ソバー殻の活用法です。」

「なるほど。確かに今までは粥にするだけであった為、ソバーの殻もさほど出なかったが、そば粉にするようになるとソバー殻が多く出ると言うことだな。」

「はい。この枕は、活用法の1つです。」

「しかし、ソバー殻を枕にするには、交渉材料としてはいささか弱いのではないか?ただ袋に入れるだけだろう?」

「ええ。しかし、このまま入れるだけでは虫が湧きます。」

ガシャ。「「「「「「「「えっ!!」」」」」」」」

虫が湧くと言うと、エデーン侯爵は枕を手放し、他の皆んなは驚き枕を凝視している。

「皆様、大丈夫です。こちらは、ちゃんと処理をした物になります。私が、交渉したいのはその処理方法。そして、他にも活用法がありますので、そちらを交渉材料とさせて頂きたいのです。」

「しかし、私にはそのソバー殻の枕の良さがわからないのだが?それが、わからなければ交渉する価値もないだろう?」

「ソバー殻は通気性が良く、熱がこもりにくいという特徴もあります。ただし、適度な吸湿性ももちあわせているため、寝ているときに出る汗をスムーズに放出してくれます。特に夏季など気温が高い時期にソバー殻の枕を使用すれば、涼しくて快適な睡眠を実現できるでしょう。汗をかきやすい人にもおすすめですわ。そして、高さを調節しやすい為、枕の高さが体にあっていない場合の頭痛や肩こりなどの症状は軽減されます。」

「確かに、夏季の寝苦しさがなくなるのは魅力的だ。」

「ええ、枕の高さ調節も楽ということは、万人受けするのでは?」

エデーン侯爵とレルータ伯爵が、色々と考え始めたのを見て、私は紅茶を飲む。

隣に座っているお父様が小声で話しかけてきた。

「ジョアン……。活用法が受け入れられた場合の報酬はどうするつもりなんだ?あまり無理を言ってはいけないよ。」

「大丈夫ですわ、お父様。そこもちゃんと考えております。営業担当者からも許可を得ておりますわ。」

「営業担当者……マギーか……。なら、大丈夫なのか?」

「うふふふ。」

「ジョアン嬢、ソバー殻の他の活用法も聞かせて貰えるだろうか?それによって、こちらも考えよう。」

「ありがとうございます、エデーン侯爵様。詳細はこちらでは省かせて頂きますが、ソバー殻の活用法としては、先程の枕、そして土壌改良に適しております。」

「土壌改良……。」

「はい。確かに、ソバーは痩せた土地でも育てる事が可能ですが、土壌改良をして作られたソバーの方が品質は良いものになりますわ。」

「確かに……。それをソバー殻で出来るのであれば、産廃費も抑えられると言うことか。」

「さようでございます。ですので、私の交渉材料は、ソバー殻の枕の処理方法と土壌改良できるソバー殻の肥料の作り方ですわ。」

お母様に、しっかりと交渉するように言われて来たんだから、ここは頑張らないと!!