軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

325.コード・レッド

応接室に行くと、お父様とお母様、そしてグレイとサラ、ザックが待っていた。私はお母様の隣へ、バースとテトは私の対面に座った。

「初めまして、私はジョアンの母のマーガレットよ。お腹はいっぱいになったかしら?」

「「は、はい。」」

「ふふふ、それなら良かったわ。」

「私は、ジョアンの父のスタンリー・ランペイル辺境伯だ。そんなに緊張しなくても良い……と言っても、難しいだろうな。早速だが2人には、話を聞きたいと思うが良いかい?」

お父様に言われ、2人は無言で頷く。

お父様が聞いたのは、思っていた通り先程私が聞いたことだった。先に私がグレイ経由で報告していたが、それの確認だと思われる。質問に対しては、ほとんどバースが説明していたが、攫われそうになったことはテトが頑張って説明してくれた。

その説明を聞いていたお父様もお母様も、時折眉間に皺を寄せたり、手をきつく握りしめている。

「……そうか。ありがとう、辛いことを思い出してもらって。しばらく我が家に滞在したらいい。色々と終われば、アニア国に帰ることも出来るし、もちろんこのままこの国で生活したければ、手を尽くそう。」

「「ありがとうございます。」」

「じゃあ、グレイ。2人を客室へ。」

「はい、かしこまりました。 旦(・) 那(・) 様(・) 。」

「「っ!!」」

グレイが返事をした時に、2人の耳がピクッと動き、顔色が悪くなっていた。

「どうしたの?大丈夫?」

私は心配になり2人に聞く。

「あの……男の人達が……話してた。船の中で。」

「男の人達とは、誘拐の犯人かい?」

「はい……。私達を……攫った人……。」

ポツリポツリと話すテトを、急かすこともなく聞くお父様。

「はい。確か……。」

その後、バースが引き継ぎ話した誘拐犯の話は胸くそ悪かった。

男① おい、ちゃんと生きてるんだろうな?

男② 大丈夫だ。今は寝てるだけだ。……にしても、獣人を奴隷にするって、貴族ってのは酔狂だな。

男① ああ、全くだ。でも、聞いた話だと、女の方は良くしてもらってる派閥の上にやるんだとよ。

男② 貢ぎ物か。だから、女の獣人を指定してたのか。

男① 自分の上で『 旦(・) 那(・) 様(・) ぁ(・) ぁ(・) 〜(・) 。』って言われたいんだろ。

男② あっははは、違いねぇーな。

「そうか……。ということは、計画犯は何処かの貴族か。……グレイ、コード・レッドだ。」

「「「「っ!!」」」」

私とお母様、サラ、ザックは息を呑む。

「はっ、只今。」

グレイは慌ただしく応接室を出て行った。

「ジョアン、2人を頼むよ。マギー、私はミーティングの後、アレクの所に行ってくる。後は頼んだ。」

「はい。お父様。」

「かしこまりました。お気をつけて。」

お父様は、うんと頷くと応接室を出て行った。

「さぁ、2人共今日は疲れたでしょう。寝泊まりする部屋に案内するわ。サラ。」

暗い空気を変えるように、あえて明るく話しかけ、サラに指示を出すお母様。

「はい、奥様。では、お部屋にご案内致しますね。」

「「は、はい。」」

「バース、テト、ゆっくり休んでね。また明日ね。」

そう言うと、2人は頷いてサラの後に続き応接室をで出て行った。

「お母様……。」

「ええ、わかっているわ。きっと、招集は王都の屋敷よ。ジョアン、ザック、あなた達はあの2人を優先しなさい。それから、事が済むまで学院を休む事になるわ。それまでは、ジェネラルから出ないように。」

「「はい。」」

《コード・レッド》

ランペイル家の隠語。緊急招集を意味する。

これを発動した場合、各地にいるランペイル関係者ーー家族、使用人、《影》ーーに連絡がいき、招集がかかる。

「お母様、私、ミューちゃんを送ったあと王都の屋敷で夜食の準備をして来ます。ザック、その間、2人をお願い。」

「わかった。」

トントントン「アニーです。ミューラ様をお連れしました。」

アニーちゃんに連れて来られたミューちゃんは、応接室に入ると、お母様に気づきカーテシーを取る。

「ご、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。ご無沙汰しております。辺境伯夫人。」

「お久しぶりね、ミューラさん。今日は、ジョアンのわがままに付き合わせてごめんなさいね。これは、謝礼とお詫びの品です。受け取って。」

机に出されたのは、謝礼金の入った封筒と布巻きにされたナニか。

「ありがとうございます。こちらは?……えっ、良いんですか?」

布巻きから出て来たのは、ヘアカットに使うハサミやカミソリ、櫛だった。

「良かったね、ミューちゃん。」

「うん。辺境伯夫人、ありがとうございます。」

「喜んでもらえて良かったわ。ジョアンもザックもお世話になっていますしね。これからも、ヘアカットをお願いするかも知れませんから、先行投資よ。ふふふ。」

王都の屋敷経由で、寮に送る馬車の中で、私からのお礼としてマジックバッグの小のポシェットタイプを渡す。

「可愛いポシェット。……えっ?コレって、マジックバッグ?」

「うん、ハサミとかカミソリとか普段も持ち歩きたいかな?と思って。」

「良いの?ありがとう。欲しかったの。」

「良かった。……あっ、思い出した!『騎士科の4姉妹』!」

「あっ、バレちゃった?」

「もおー、ビックリしたんだからねー。」

「あははは、ごめんごめん。まさか、あんなに人気出ると思わなくて。でも、これを機に、レベちゃんは作家を目指すって言ってたわ。」

「レベちゃんが?……まあ、確かに文才は認めるわ。」

「でしょう?」

馬車が寮に着いて、ミューちゃんが降りると、急いで屋敷に戻って貰った。