作品タイトル不明
289.誕生日パーティー②
「さあ、可愛いジョアン。踊ろう。」
お父様に手をとられ、ホールの中央へ行く。やっぱり、ファーストダンスは私だけなんだ……。
「よ、宜しくお願いします。」
曲が流れ始め、お父様のリードに従う。
「こうやって、ジョアンと踊れる時が来るなんて嬉しいよ。」
「わ、私は緊張してます。」
「クックク、そうだね。もう少し肩の力を抜けば良い。」
「はい。」
「うん、良くなった。それで……本当に騎士科に進むのかい?」
「はい。小さい頃からの夢ですから。」
「そうか……。」
その後は、たわいもない話をして一曲踊り終わる。
あとは、壁の花になってベルとお喋りしてようとお父様のエスコートで戻ると、満面の笑みでノエル兄様が待っていた。
そしてそのまま、再びホールへ。今度は皆んなも踊り始める。
「苦手だと言う割に上手だよ、ジョー。でも、もう少し僕に任せて大丈夫だよ。」
「は、はい。」
「そうそう。良くなったよ。」
「ノエル兄様、リードが上手いから。」
「そう?ありがとう。じゃあ、このままもう1曲ーー」
「はい、次は俺な。それに2曲続けては婚約者だけだろ?」
ノエル兄様が2曲目を踊りだそうとした瞬間、ジーン兄様が側へ来た。
「ふぇっ?続けて?」
「お祖母様の鍛練よりは楽だぞ。」
「うぅ〜。精神的に鍛練の方がましです……。」
踊り出すと、意外とリードが上手いジーン兄様。
「なあ、ジョー、来年度の騎士科、女子はジョアンとベルちゃんだけって聞いたけど?」
「あー、そうみたいです。」
「……大丈夫か?」
「もちろん!楽しみでしょうがないですよ。」
「まっ、ジョーなら大丈夫だな。でも、何かあったらすぐ相談しろよ。」
「うん。ありがとう、ジーン兄様。」
ようやくベルの元に戻ってジュースを飲んでいると、エリック様がやって来た。
「ジョアンちゃん、俺とも踊って貰えませんか?」
と、手を差し伸ばされる。
「あっ、はい。私で良ければ喜んで。」
「エリック兄様、変なことしないで下さいね!」
「するか!」
エリック様はベルに文句を言いつつも、ちゃんとエスコートしてくれる。
「今日は、本当におめでとう。初めて会ってから、もう8年か。早いね。」
「本当ですね。」
「騎士科は、女子が少ないけど負けずに頑張って。それと、ベルのこと宜しくね。」
「もちろんですよ。」
「……それにしても普段と違うからかな?今日はとっても綺麗だ。それに、いい匂いがするし……。」
「えっ、あっ、そのっ、エリック様?ち、近いです。よ、酔ってますよね?」
「そんなに飲んでないよ?本心だ……うっ。」
「おい!酔っ払い!!ちょっ、来いや!!……ジョアン、ちょっとごめんね。ヴィンス様、すみません。」
鳩尾に入ったパンチに悶えているエリック様を連れて、ベルはホールを出て行った。どうやら、私を心配してくれて近くでヴィーと踊っていたようだった。
「えっ?ベル?」
「クッククク。さすが、ベルちゃんだな。……では、素敵なお嬢さん私と踊って頂けますか?」
「うふふ、はい、喜んで。」
「ヴィーもちゃんと踊れたんだね〜。」
「何言ってんだよ、俺主席だぞ。って、言っても4年の時にダンスの修了証書貰ったから、久々だけどな。」
「えっ?修了証書貰ったらやらなくて良いの?」
「ああ、その分ギルド行けるぞ。」
「じゃあ、頑張る!」
「あっははは、じゃあ、もう少し力を抜いて俺に身体預けろよ。」
「えっと、こう?」
ノエル兄様やジーン兄様だと、素直に身体を預けることできるんだけど、従兄弟になると……。ちょっと恥ずかしい……。
「んで、顔は相手を見ないと。修了証書なんて貰えないぞ。」
「う、うん。」
「ぶっ。ジョアン、顔真っ赤。クッククク。」
「う、うるさい。み、耳元で話さないでって。」
いつものように揶揄ってくるヴィーがムカつく!
……でも、最近気づいた。顔が前世の推しグループのメンバーに似てること。だから、変に意識してしまうこと……。
「なあ、ジョアン。騎士科で何かあったら、すぐ言えよ。最後の年でジョアンと一緒になるからと思って、主席死守したんだからな。」
「ヴィー……。ありがとう。」
「……。」
「どうしたの?」
「……お前、それ反則。」
「はっ?」
「……真っ赤な顔で涙目、上目遣いの合わせ技で、続けて首傾げるって……何なの?その攻撃力……。ってかジョアン、香水つけてる?何かいつもと違う。何か……良いかも。」
「ひゃっ。ちょっと、近いよ。」
「良いじゃん。いい匂いだな。俺、これ好きだわ。」
「ちょっ、ヴィー。こ、これ、フウゴが作った香水でドーラちゃんの葉を使ったらしくて。だ、だからだよ!」
「ドーラの葉?……マジか。フウゴ、やるな〜。だとしても、俺は好き。」チュッ。
「へっ!?」
えっ?今、チュッってした?おでこにチュッって……。ヴィーが?私に?何で?どうして?チュッ?はーーー!?
「ジョアン?クッククク……唇にして欲しかったか?」
「……。」
顔が上げられない……。
「ヴィーーンス!!」「「ヴィーー!!」」
お父様とノエル兄様、ジーン兄様がヴィーに向かってやって来るようだ。どうやら一部始終を皆んなに見られていたらしい。穴があったら入りたい……。
「ゲッ!ヤベッ。ちょっ、ジョアン、転移しよ、転移。」
「無理!」
「あっ、伯父上、ノエル兄、ジーン兄、誤解だって、誤解。イテテテテテッ……いつも以上にジョアンが可愛く見えたから、つい……。イテテテテテッ……す、すみませんでした!ってか、フウゴの香水が悪いんだって。」
「「「はー!?」」」
ようやく顔の赤みが引いた私が説明をし、香水をサーチした。
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[フウゴの香水:ジョアン SP(スペシャル) ]
ジョアンがより魅力的になる一品。
ジョアンの為に、マンドラゴラ、ドーラの葉を【アクア】の純水で煮出し、抽出したエキスと花などを調合した香水。
調合師:フウゴ・ランペイル
効能:可愛い…25%増し
綺麗……40% 増し
エロさ…35%増し
使い方:手首や首筋につけるだけ。
1日1回、1プッシュまで。付け過ぎ注意。
補足:親、兄弟には効果なし。既婚者にも効果なし。
効能は、フウゴ次第で変動可能。
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「「「「「……。」」」」」
恐るべし、我が弟……。
「ジョー、この香水、騎士科で禁止な。」
ジーン兄様の言葉に、首がもげるんじゃないかというぐらいに頷いた。
フウゴとライラは、既に寝てしまった為に、明日お父様が香水についてよーく言い聞かせることになった。