作品タイトル不明
290.舎弟
『『ジョアン、誕生日おめでとう。』』『ホーッ。』
振り向くと、そこには乾杯してから、私の側を離れていたパールとロッソ、そして何故か、白いフクロウがいた。
「ありがとう。えっと……どうしたの?そのフクロウ。」
『忘れたの?だいぶ前に、ゴブリンに捕らえられていた子よ。』
「えっ?あの、ホワイトデーモンオウル?」
『ホーッ。』
『なんかね〜、ずっとジョアンを探してたみたいだよ。僕たちがプレゼント探しに行った時に、再会したんだ。』
『私たちからのプレゼントは、外に置いてあるわ。』
パーティールームの窓から見ると、何かしら大きな物が置いてある。
「えっと……。あれ、何?」
『『マナバイソン。』』
「「「「「「「「はーー!?」」」」」」」」
《マナバイソン》
強靭な肉体から生み出される突進力と生命力は半端ない。肉が物凄い美味。
庭先のマナバイソンは、かなりの大きさだった。ともかく血抜きだけはしないといけないと、ケンさんたちチーム料理人が走って行った。
『物凄く美味しいのよ。』
『見つけるのに、ホワイトデーモンオウルにも手伝って貰ったんだ。』
『ホッホーッ。』
「あ、ありがとう。……えっと、そのフクロウさんはどうするの?」
『ジョアンに助けて貰ったから、恩返ししたいんだって。』
「恩返しって言っても、もうマナバイソンを見つけてくれたんでしょ?それで、充分だよ。」
ホワイトデーモンオウルは、ホーッと一鳴きすると私の周りを旋回する。通常なら止まり木として、腕を差し出すことが出来るが、ドレスアップをしているため肩も腕も止まらせられない
。
「ジョアン様。」
サラがタオルを差し出して来た。そのタオルを腕に巻き、差し出す。そこへホワイトデーモンオウルが止まる。ジッと見ていると
『ホーッ?』
と首を傾げる。
「可愛い……。触っても良い?」
そーっと手を出すと、逃げもせず目を瞑る。頭を触ってみると、もう、ふわっふわ。見た目のイメージとは違ってきめが細かい感じで、すべすべな手触り。そして体温がほんのりと伝わってくる。ホワイトデーモンオウルも嫌がることなく、頭を寄せてくれるところがなんとも愛くるしい!
「私といたいの?」
ーー俺を助けてくれたっす。このまま恩を返さなければ、男が廃るっすよ。俺は夜行性だから、夜目は効くし、音もなく飛べるし、耳も良いっすよ。森の事は何でも知ってるから、絶対役に立つっす!
「そこまで……。じゃあ、君はメテオ。」
そう言うと、ホワイトデーモンオウルはパーッと光る。
『えーっと、メテオっす。俺、ジョアンの姐さんとご家族の為に役に立ちたいっす。宜しくっす!!』
話せるようになったメテオは、皆んなに挨拶をした。舎弟っぽい口調に皆んな苦笑している。
「クッククク。姐さんって。ジョー、また契約獣増えたな。」
ジーン兄様が苦笑しながらやって来た。
「だって……。夜行性で音もなく飛べて、耳が良いなら偵察に向いているじゃないですか。それに、モフモフですよ。スノーやパール、ロッソとはまた違うモフモフなんですよ!」
「モフモフかも知れないけど……くー、やっぱりカッコいいな。羨ましいぞ、ジョアン。メテオ、俺、ヴィンス。宜しくな。」
今まで知らなかったが、ヴィーは猛禽類が好きらしい。メテオは、カッコいいと言われちょっと照れているように見える。
『ヴィンスの兄貴、宜しく頼むっす!』
「おう、任せろ。ってか、兄貴って呼び方良いな。」
ヴィーは下に兄弟がいないせいか、ミカからの “にーに“ 呼びや、メテオの “兄貴“ 呼びが気に入ったらしい。
ちなみに、ノエル兄様もジーン兄様もロッソまでも “兄貴“ 呼び。パールとドーラは “姉御“ と呼び、フェンリルパンチを繰り出されていた。そして、お父様を “ボス“ と呼ぼうとしていたので、パールに連れて行かれ、教育的指導されたようだ。戻ってきたら、全員、普通に名前呼びになっていた。でも、ヴィーだけは、“兄貴“ 呼びのまま。
どんだけ、気に入ったのよ。
ーーピンポンパンポーン。
「えっ?」
「どうしたの?ジョアン。」
「ベル?何か今聞こえなかった?ピンポンパンポーンって。」
「ううん、聞こえなかったよ?何の音?」
「あっ、もしかして……。」
ーーアシストちゃん、呼んだ?
ーーハッピーバースデー、ジョアン。
ーーありがとう。まさか、呼ばれると思わなかったよ。
ーープレゼントあるから、呼んだの。
ーーえっ!?まさか、また新しいスキル?
ーー違うよ。今回は、ストレージの機能を追加しました〜。
ーー機能追加?
ーーうん。ディメンションルーム。
ーーディメンションルームって?
ーーストレージの中で、生活出来るようになったよ。だから、ストレージの中に契約獣を入れて運べるし、テントなしで野営出来るんだよ。
「はーー!?」
「っ!!ジョ、ジョアン!?」
「あっ、ごめん。ちょっと、驚いたことあって。」
「驚いたこと?」
「うん、ちょっと自分で困惑してるから、整理してから話すよ。」
「わかった。あっ、ジュースお代わり貰ってくるね。」
そう言って、ジュースを取りに行ったベル。
ここで、それ以上追求しないで私が話すのを待ってくれるベル。本当に良い友達持ったな〜。
でも、ディメンションルームって……。これは、やっぱり私だけかな?今、誰かに相談したとしても、皆んなアルコール入っているからなぁ〜。
よし!明日にしよう。今日は、誕生日だから面倒なことは後回しにしよう!