軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

257.クセがすげぇー

「これはこれは……。」

「まあ、美味しいわ。」

「なんて飲みやすいのかしら。」

「フェンリルの氷で酒を飲めるなんて……。」

「オウメの酒、初めてだけど美味いな。」

「ああ、香りも良いし飲みやすい。」

上から、ベルパパ、ベルママ、イザベラ様、ハンスさん、エリック様、ジーン兄様だ。熟成機能で出来た5年物の梅酒を、パールが出してくれた氷でロックにして飲んでいる。

「ジョアン、オウメジュースも美味しい!」

「本当だね。」

ベルとジョアンは、シロップを水で割ってジュースとして飲んでいる。

オウメもシロップやお酒に出来ることが分かり、ベルパパは本格的に地産地消の街おこしを考えるそうだ。これから、領土の生産物をリストアップするから後でアドバイスが欲しいと。私で良かったらと言うと、満面の笑みで執務室へ行った。

*****

「お待たせしました。では、解体場にご案内します。」

そう言って、バースト冒険者ギルドのギルマス、ドンさんが歩き出す。元冒険者とは思えない細身の体型で、くすんだ銀髪に銀縁のメガネ。パッと見は、文官を思わせる人だった。でも、ギルマスに収まるぐらいの人だから、きっと一癖も二癖もあるんだろうな。

解体場からジャイアントスネークを受け取り、その流れで何故かギルマスの執務室でお茶をしている。

「ありがとうございました。何かすみません、ギルマスに案内させてしまった上に、お茶まで…。」

「いやいや、手が空いているのが私だったんでね。気にしないで下さい。それに、ちょっとここ最近きな臭いんでね。」

「「きな臭い?」」

「ええ、まだ確定ではないんで、ご領主様には報告してないんで……ここだけの話にして欲しいんですけど。」

「それ、ベルの前で言っちゃうんですね。」

「あっははは、そう言えばそうですな。ベル様も立派な冒険者なので、ご領主様のお嬢様だということをうっかり忘れておりましたよ。いや、こりゃ参った。あっははは。」

「私のことは、いち冒険者で構いません。何があったんですか?」

ドンさんの話だと、最近バースト領で王都ギルドの冒険者だと言う男たちが、素行が悪く飲食店で無銭飲食やら新人冒険者へのカツアゲ、女性冒険者へのセクハラと色々とやらかしているらしい。無銭飲食に関しては料理の中に髪の毛や虫が入っていたと言う物で、飲食店側も強く出れなかったそうだ。カツアゲやセクハラに関しても、山の中の依頼などで目撃者がいない時を見計らって行っているらしい。何かどこかで聞いたような話……。

「なるほど〜。……で、私達にその話を聞かせたって事は、ドンさん的に何か思惑があるんですよね?」

「ほぉ〜、なぜそう思います?先程も言ったように私が、うっかり口を滑らせただけかもしれませんよ?」

「たぶんですけど……ウチのギルマス、モーガンさんが話したんじゃないですか?ランペイル領で、以前同じような事があってそれを解決したのは、私自ら囮になりランペイル家が捕縛したと。まあ、モーガンさんのことだから、またドヤ顔で言ったんでしょうけど……。だから、バースト領のこの事を私に話した。私が、どう動くか……解決したらラッキーだし、解決しなくてもバースト領としては何の損もない。もしかしたら証拠ぐらいは掴めるかもしれないと。」

「……あっははは、さすがジョアン様ですね。そこまで、読まれているとは。」

「ギルマス、それはジョアンに対して失礼だわ!!」

「大丈夫だよ、ベル。でも、ありがとう。」

やっぱり……クセがすげぇーんじゃ。

でも、そんなのに簡単にのるわけないじゃない?

もしかして、貴族令嬢なのに冒険者してるからってバカにしてる?

「で?それを私が解決するメリットは?ランペイルギルドでならまだしも、ここで私が解決するに無償なんてことはないでしょう?」

「では、何かしら報酬があればやってくれると?」

「ジョアン!?」

「そうですね、報酬内容にもよりますね。」

「逆に何ならやって頂けるんです?」

「ん〜、そうですね〜。まず、この件を正式な依頼として挙げて欲しいのと、危険手当と叱責手当を含めて大白金貨4枚。犯人の検挙1人につき小白金貨3枚。」

「「大白金貨4枚!?」」

この世界の通貨は、銅貨、銀貨、金貨、白金貨。これら4種類の硬貨が大小の2種類ずつ。計8枚がこの国で現在使われている貨幣だ。

小銅貨………1

大銅貨………10

小銀貨………100

大銀貨………500

小金貨………1,000

大金貨………5,000

小白金貨……10,000

大白金貨……50,000

単位はゴルド(G)で、価値は日本円と同じぐらい。つまり、

1G=1円。

一般的な平民の一日の生活費は5,000G前後で、普段の生活に使用するのは銅貨と銀貨。ちなみに、我がジョウ商会のランペイルドックなど軽食は一律120G、ドリンクは一律100G。な〜んて良心的なお店でしょう。

それを踏まえて私が出した報酬希望額は、

大白金貨4枚=200,000G=20万円。

犯人の検挙1人につき小白金貨3枚=30,000G=3万円。

「そ、それは、さすがに……。」

「では、この件はなかったことにーー」

「あー、ジョアン様お待ち下さい。あの……危険手当はわかるのですが、叱責手当とは?」

「私がこの件に手を出せば、間違いなく両親に怒られます。何が悲しくて怒られなければいけないんですか?」

「「あー、そういう事……。」」

「ちなみに、ペラペラと私のことを話したモーガンさんは同罪もしくは、それ以上かと……。私、これでも辺境伯家の長女なんですよね〜。」

「っ!!も、申し訳ありません。」

ドンさんが、座っていたソファーからすぐさま降りて土下座をしている。

「ごめん、ジョアン。」

「ううん。ベルのせいじゃないよ。でも、このままじゃあ……ねぇ?」

「うん……。ギルマス、やはりこのことはお父様に報告します。良いですね?」

「……はい。後ほど、私もお伺い致します。ベル様もジョアン様も、申し訳ありません。」

あーあ、私のことを甘くみてるから、結局自分のクビ締めることになるんだよ。

ってか、モーガンさんの口も締めてやらないと……。