軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

209.疲れない?

ジョアンに無言で見られて、何故か居た堪れなくなったキャサリーヌは意を決して切り出した。

「な、なんですの?」

「キャサリーヌ様って、家族の前でも敬語なの?」

「えっ?ええ、もちろんですわ。家族といえども常日頃から淑女としてーーー」

「疲れない?」

「「「へっ?」」」

ジョアンに言われ、淑女である為に気を抜かずに頑張っていたキャサリーヌは目を丸くする。それは、サマンサもレベッカも同様に。

「だって、学院や寮だけならまだしもご自宅でも、ずーっと敬語なんでしょう?家族にすら気を許さない感じに思えるんですよ。それって、疲れません?ご両親やほかのご家族もそうなんですか?」

「えっ?いえ、お屋敷での両親はそこまでかしこまってないですし私や兄に対しては、もっと砕けた感じにはなりますわ。」

「でしょう?ご両親でさえお屋敷では気を抜いているのに、キャサリーヌ様は抜かずに頑張ってる。それは素晴らしいことだと思います。でも、もう少し自分を甘やかしても良いと思いますよ。」

「甘やかすとは、どういうことですの?」

「もう少し、楽に考えた方が良いってことですかね?外で頑張ったら、お屋敷に帰って疲れたーってベッドにダイブしたり……痛っ!」

「ジョアン、それはジョアンだけだから。」

話の途中でザックに手刀をもらう。

「……学院は身分関係ないんですもん、それこそ敬語を止めて年相応に話したら楽ですし、楽しいですよ。」

「そういうものでしょうか?」

「キャサリーヌ様、知らず知らずのうちに頑張り過ぎてるんですよ。今に、何もかも嫌になってキィーーーって爆発しちゃいますよ?」

「爆発……。そ、それは困りますわ。」

爆発すると聞いて、何だか怖くなる3人。

「それに、ここだけの話ですけど……王族の皆様も親しい人には気を抜いてますよ。」

と、キャサリーヌの耳元で囁く。

「えっ?そ、そうなのですか?」

「はい。だからキャサリーヌ様も家族や友達の前では気を抜いても良いと思いますよ。……ということで、さっきの質問をどうぞ。」

「「「「「えっ!?」」」」」

まさか、質問の聞き方をやり直させるとは思ってもいなかったベル達は驚いた。

「え?だって、キャサリーヌ様と私たち友達でしょ?」

「えっ……。ええ。そ、そうですわね。」

キャサリーヌがどうしようかと考えていたところ、ララノア先生が来てしまった。その為、話は一時中断となってしまった。

*****

トントントン。

寮の自室に戻ってパール達と遊んでいると、誰かが訪ねて来た。サラが応対に出て

「ジョアン様、キャサリーヌ様がいらしてますが?」

「ん?キャサリーヌ様?1人?」

「はい。お付きのメイドもいらっしゃらないようで。」

「お通しして。」

「突然、前触れもなくごめんなさい。」

「いえいえ、どうぞお掛け下さい。」

キャサリーヌが座ると同時にサラがリップルティーとソルトバタークッキーを出して隣の部屋へと下がる。

「どうしたんですか?」

「………。」

「……まぁ、まずはお茶でも。」

コクリ。「美味しい……。」

「うふふ、お口にあって良かったです。あっ、クッキーもどうぞ。」

サクッ。「えっ?お塩?」

「はい、ソルトバタークッキーです。」

「初めて食べましたわ。」

「そうでしょうね。私が作ったので。」

「えっ?貴女が?……そう言えば、趣味がお料理って言ってましたわね。」

「はい。料理、楽しいですよ。なにより作ったモノを食べた人の反応が好きなんです。美味しかったら満面の笑みで喜んでくれるから。」

「でも……その逆もあるのでしょう?」

「あー、美味しくなかった時ですね?その時はその時です。誰だって失敗はしますし、もし失敗したら次成功する様に考えたら良いんですよ。それに、どう美味しくなかったかその人から聞けば、次に活かせるじゃないですか。」

「……貴女は、前向きですのね。」

「はい!前向きに考えた方が楽しいですよ。」

「……それで、どうなさったんですか?」

「……学院で、貴女に言われたこと考えていたの。」

「私が言ったこと?」

「その……敬語で疲れないか……と。私……ずっと頑張っていましたわ。それが公爵家に産まれた定めだと思ってましたから。でも、貴女に言われて……もう少し気を抜いても良いのかなと。それに……王族の皆様も気を抜くこと知りましたし……。」

「そうですね。誰だって、ずっと気を張っていたら疲れますから。もう少し、年相応でも宜しいかと思いますよ。」

「……貴女は、時々年上の方の考え方をなさるのね。」

「えっ?そ、そうですか?あは、ははは……。」

そりゃあ、元は82才で人生の酸いも甘いも知ってるもの。

いくら精神年齢が20代でも、考え方は変わらないわ。

「そ、それで……その……あの……。」

「ん?どうしました?」

「わ、私も……ベル様のように、貴女と気軽にお話ししたいと思いまして……。」

そう言うと、顔を真っ赤にして俯いてしまったキャサリーヌ。

あんなに凛としていたキャサリーヌ様が、可愛い!!可愛いすぎる!!

美少女の赤面、プライスレス!!

「じゃあ、私のことは様付けなしの敬語なしで。」

「えっ!?その、いきなりハードル高すぎませんこと?」

「大丈夫です!何とかなります!!」

「何ですの?その、意味のわからない自信は……。」

「えー、じゃあ様付けなしでいいですぅー。」

「何で、そこで貴女が不貞腐れるのです。」

「だってぇー、私達お友達ですよねぇー、なのにぃー敬語だなんてぇー寂しいじゃないですかぁー。」

「……はぁー。わかりましたわ。なるべく敬語なしで話すように致しますから。それで……い、い、いー……。」

ん?ショッカー?

「……良いでしょう?ジョ、ジョ、ジョ、ジョアン?」

「あっ、はい!!ふへへへへ。」

「な、何なんですの?」

「だって、キャサリーヌ様がジョアンって呼んでくれて嬉しくて。」

キャサリーヌ様と、もっと仲良くなりたいなぁ〜。

どうしたら良いかな?