作品タイトル不明
139.第一王子とジョアン
「お疲れ様、スノーちゃん。お水飲む?」
スノーちゃんに【アクア】で水を出して飲ませる。
『やっぱりジョアンの水、美味しいね。なんか少し甘い感じがするの。』
「そうなの?知らなかった。でも、スノーちゃんすごいね。私のこと主だなんて。ふふふっ、演技とわかってると笑いそうになっちゃって。」
『だって来る前にパパさんと、ジョアンを主って呼んで、ジョアンの言葉しか聞かないようにって約束したもん。』
「うん、ありがとう。スノーちゃん。」
スノーちゃんに水やキャロジンをあげていると
「ジョアン嬢、フレッドが申し訳なかった。上では何か不愉快な事とかはなかっただろうか?」
「えっ…ええ、大丈夫です。ご心配頂きありがとうございます。」
「あの……出来たら私も乗せては貰えぬだろうか?」
「……アルバート殿下も私と一緒で構いませんか?」
「ああ、もちろん。スノーにも申し訳ないが、今一度飛んではくれぬか?」
「スノーちゃん、もう一度良い?」
『かしこまりました、主』
今度はジョアンの後ろにアルバート殿下が跨り、再度 常歩(なみあし) から飛躍する。
フワッ…。「おっおおー、これが飛ぶと言うことか。素晴らしい。」
「お褒め頂き光栄でございます。」
「……ジョアン嬢、先程フレッドとは何を話したんだ?」
「たわいもない話でございます。」
「それにしては、降りてきたフレッドの表情が優れぬように見えたが?」
「左様でございましたか?私は気づきませんでしたが。」
「……ジョアン嬢は前世の記憶持ちだそうだな。だから、6才にして行動にしても会話にしても臨機応変に対応出来るのではないか?」
「いえいえ、そのような優れた人間ではありません。ただ……フレッド殿下には少々耳が痛いような話だったのではないでしょうか。」
「ほ〜う。それは気になるな。……ジョアン嬢、不敬に問わない。先程、フレッドと何を話した?ここには、私たち2人しかいないのだ、今は常語で構わない。」
「……本当に不敬になりませんね?言質取りましたよ。」
「もちろん。ふふふっ、さすがに抜かりはないな。」
「当たり前です。出来ることなら書面にて頂きたいぐらいです。……フレッド殿下には、王族の言葉や行動がどのぐらい影響があるか考えているのか聞きました。アルバート殿下が止めていなかったら、護衛騎士様が抜刀しようとしていたことも気付いていなかったようですから。」
「で?フレッドは何と言っていた。」
「『そ、そんな…。』『えっ!?』と最後に無言でしたけど?」
「はっ!?マジで?」
「はい、マジです。」
「あーー、ジョアン嬢、なんか本当にごめん。」
「いえ、私は良いんですけど。フレッド殿下には気をつけないと、変なのに目を付けられてしまったら傀儡にしよ……あっ、もしかして、もう付けられてしまってます?」
話の途中でアルバート殿下がビクッとしたのを背中で感じて、自分の憶測を言う。
「はぁ〜、まさか初対面の6才児に見破られるほど、フレッドの行動や言動は危ういと言うことか……。」
「あー、でも私は特殊ですし……まあ、大丈夫じゃないですか?」
「ジョアン嬢、他人事だと思って……。ちなみに、他に気付いたことは?」
「んー、強いて言えば……フレッド殿下の護衛騎士様って、フレッド殿下に目を付けた変なのの身内だったりします?」
「へぇ〜どうしてそう思うんだ?」
「まず、陛下もいるのにフレッド殿下の為とはいえ抜刀しようとしているのは、陛下を下に見ているとしか思えないのと、いかに自分がフレッド殿下の為に仕事をしているアピールかな?と。そして、フレッド殿下がスノーちゃんから下りた後、私に向ける視線ですかね?フレッド殿下の表情を見るに、上空で私に何か言われたとしか考えられないじゃないですか。だから、自分にとって都合の悪いことを私が吹き込んだのではないかと睨んだようでしたので。」
「ジョアン嬢……。さっき、フレッドの表情は気づいてないと言わなかったか?」
「え〜?そうでした?アルバート殿下の聞き間違いじゃないですか〜?」
「ったく、さすがランペイル家の血筋だよ。」
「お褒め頂き光栄です。」
「褒めてない!!」
「でも、そんなところですかねぇ〜私が感じたのは。今からフレッド殿下を調教……教育したら、傀儡にはならないと思いますけど。」
「お前……今、調教って言ったろ?」
「気のせいですよ〜。……でも、今のガキ大将からバカ殿下に成り下がらないようにするには、早いところ護衛騎士を変えた方が良いと思いますけど?」
「ガキ大将、バカ殿下……。不敬だぞ。」
「知ってますけど、当たってますよね?それに、ここは、無礼講ですよね?」
「お前……本当に貴族令嬢か?口が悪すぎだろ?」
「いやいや、あなた様には負けま……痛っ……叩きましたね?」
「いや、ジョアン嬢……いや、もういい。ジョアンの気のせいだろ?」
「あーー痛い、痛い。これは、ダメだ。死んじゃうなぁ〜。」
「お前なぁーー。……もう良い。そろそろ下りるか。父上達が心配しているな。」
下を見ると、お父様が下りてくるように手を振っている。
「ありがとう、ジョアン。実に有意義な時間だった。」
「お褒め頂き光栄です。」
「「「ジョアン!?」」」
アルバート殿下が私を敬称なしで呼んだことに、陛下、宰相様、お父様が、声を揃える。
「ええ、上空で話して意気投合しましてね。ね?」
アルバート殿下の笑顔が黒い……。
あー、フレッド殿下がガキ大将なら、 アルバート殿下(こっち) は腹黒か?
まっくろくろ◯け出ておいで〜!って、ここにいますよー。デッカいのが、ここにいまーす!
「えっ……ええ、楽しくお話しさせて頂きました?」
「何故、疑問文なんだ?……楽しかったよね!!」
「ソウデスネ……痛っ……暴力反対!」
「本当に仲良くなったようだな……。あのアルバートが、ここまで人に気を許すとはなぁ〜。」
陛下が驚いてる。
えっ!?腹黒過ぎて友達いない感じ?
「今、失礼なこと考えてただろ?」
「気のせいです。」
「あっ、こら待て。」
「待てと言われて待つ人はいません!」
「屁理屈娘!!」
「いや〜。陛下……アレックスおじ様〜、助けて下さ〜い。」
陛下の背後に回る。
「おお、私に任せなさい。止めないか、アルバート。ジョアン嬢が困っておるだろうが。」
「は、はい。父上。」
ふふふ、勝ったな。
そして、陛下チョロいわ。ハニートラップなんて、すぐにかかるんじゃないかしら?