作品タイトル不明
140.陛下たちとお茶会
陛下の背後からチラッと顔を出し、アルバート殿下と目が合ったのでニヤリと笑ってみた。
それを見てアルバート殿下は、チッと舌打ちをした。
「アル……。よし、では王妃も待っているだろうからお茶にしようか。」
陛下の言葉で、テラスに行くとそこには優しそうな笑顔の貴婦人が座っていた。側には侍女が3人。
ふんわりと柔らかそうな橙色の髪、水色の瞳の美しい人だった。
そして、先にテラスに来ていたフレッド殿下がいて、こちらを見ていたが私と目が合うと逸らされた。
「王妃、待たせたな。申し訳なかった。」
王妃様はスッと立ち上がると
「いいえ、大丈夫ですよ。こちらからもペガサスの飛んでいる姿を見れましたから、飽きずに待っていられました。それに、きっとフレッド達が無理を言ったのでしょう?」
「まあ、そんなところだ。」
そう言って陛下はお父様を見る。するとお父様は頷いて
「王妃殿下、ご挨拶失礼します。スタンリー・ランペイル辺境伯です。こちらは私の子供達の……。」
「お初にお目に掛かります。ランペイル家嫡男ノエルでございます。」
「お初にお目に掛かります。ランペイル家次男ジーンと申します。」
「初めまして、ランペイル家が長女ジョアン・ランペイルと申します。」
「ランペイル辺境伯は、お久しぶりですね。お子様達は初めてね、私は王妃のアミー・エグザリアよ。さあ、まずはお茶にしましょう。」
そう言うと侍女に準備をさせる。
「ああ、そうだ。ジョアン嬢からお菓子を貰ったんだった。それをこちらへ。」
侍従が私が持ってきたバスケットを持って来る。
毒見役がパウンドケーキを確認をし、目を見開く。
「ん?どうした?」
宰相様が聞く。
「も、申し訳ありません。そ、その……美味しくて。あ、毒はありません。本当に申し訳ありません。」
「わっははは、そうか。そこまで美味いのか。そりゃ楽しみだ。」
陛下が笑う。
「あ、あの発言をよろしいですか?」
陛下に聞くと
「ん?ジョアン嬢、構わんよ。ここはプライベートな空間だから、そこまで畏まらなくても良い。」
「ありがとうございます。あの、宜しければこちらを王城の使用人たち皆様で……。ただ、全員に行き渡るかは分かりませんが。」
と、ポシェットから毒見した同じラムブレープのパウンドケーキを5本程出す。それを見た侍女と毒見役が、生唾を飲む。
「まあ、ジョアン様はよく出来た娘さんね。遠慮なく頂きなさい。ただし、喧嘩などしないでね。」
と、王妃様が言う。
「「「「はい!ありがとうございます。」」」」
良かった喜んでもらえて。
私は侍女たちにニコッと笑い座る。
「それにしても、ジョアンのカバンは凄いな。ちょっと見せて貰っても良いかい?」
アルバート殿下が手を出すので、肩から外して渡す。
「ん?あれ?魔道具だと思ったのに普通のカバン?」
「はい。そうですよ。」
「えっ?だって、さっきケーキをあれだけ出しただろ?」
「あー、えーっと……。」
返答に困り、陛下を見ると頷く。
「私のスキルのストレージをカバンの中に展開したんです。」
「何でそんな事するんだ?ストレージなんて珍しくも何ともないだろ?」
とフレッド殿下が言う。
「その……ストレージSなんです。」
「「はーっ!?」」
「Sだとバレたくなくて、カバンを魔道具のように見せてるだけなんです……。」
「「あーー、そういう事。」」
声が何度も揃うなんて、仲の良い兄弟ね。
「ところで、いつから兄上はジョアン嬢を敬称なしで呼ぶ仲になったの?」
「ああ、さっきペガサスに乗せて貰った時に仲良くなってな。なっ?ジョアン。」
「はあ、まあ。」
と曖昧な返事をすると、フレッド殿下が
「えっ、何?兄上に敬称なしで呼ばれて不満なの?」
「不満ではないですよ。とても光栄ですけど……。フレッド殿下、ちょっと耳貸してください。……コショコショ……。」
「ぶっ。おまっ、それはダメだろ!」
「じゃあ、内緒で。」
「な〜に、フレッド?ジョアンは何を言った?」
「えっ?兄上がーーー」
「フレッド殿下も笑ったから同罪ですよ。」
と言うと
「……兄上が……格好良すぎて困ると。」
まさか、腹黒いなんて言ったこと言えないわよ。
アルバート殿下がこっちをジト目で見てるけど……。
「ジョー、嘘は良くないよ。」
ノエル兄様に言われるが首を横に振る。
「何で言えないの?」
とジーン兄様が聞く。
「……嘘はついてない。」
「ぶふっ……。」
私の言葉にフレッド殿下が吹き出す。
「フレッドーー。ジョアーーン。」
「「ごめんなさい!!」」
アルバートに名前を呼ばれて、反射的に謝った2人を兄3人は苦笑するしかない。
その後、アルバート殿下とお兄様たちは学院の話をしたり、お父様たちはランペイル領の話をしたり、私と王妃様、フレッド殿下はドライフルーツの話をしながらお茶をする。
「あっ!!忘れてた。」
いきなり陛下が大声を出して、その場にいた全員が驚く。それに対して王妃様が
「なんですか?陛下。そんな大きな声を出して。」
「いや〜すまんすまん。重要な事を忘れてたから。王妃よ、そこのジョアン嬢 も(・) 前世の記憶持ちなんだ。」
「うっそ!マジで!?」
「コホン、王妃様?」
侍女に言われ
「あっ、ごめんなさい……。でも本当に?ジョアン様、私も前世の記憶持ちなの。」
「「「えーーーっ!?」」」
お兄様たちと私は驚いた。
まさか、こんなところで同じ前世の記憶持ちがいるなんて……。
世の中は意外と狭いのねぇ〜。
まさか、こんな所で会えるなんて……同じ日本人なら話が合うと思うけど、どうかしらね〜。