軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三十五話 宝箱

第三十五話 宝箱

探索開始から、約30分。

「しぃ……!」

リビングアーマーが振り下ろしてきた剣を跳ね上げ、返す刀で構えられた盾を横へどかす様に弾いた。

そのまま一歩踏み込み、肩から体当たりをする。フルプレートとは言え、中身は空だ。意外な程あっさりと、相手の鉄靴が床から離れる。

後ろへ吹っ飛んだその個体と入れ替わりに、槍持ちが攻撃を仕掛けてきた。突きではなく、穂先を上から叩きつけてくる。

だが、 視(・) えていた。魔眼の予知に従い、横回転で回避。同時に、槍持ち個体のこめかみに刀身を叩き込む。

刃が兜に食い込み、そのまま強引に首の留め金を引き千切った。頭を失ったそのリビングアーマーが崩れ落ちる中、後ろへ吹っ飛ばした方に視線を向ける。

既に立ち上がり、剣を構えるその個体。だが、それが走り出した瞬間ボーラが足に絡みついた。

派手な音をたてて転倒するそのリビングアーマーの頭を、駆け寄った勢いのまま思いっきり踏み抜く。ベキャリと、兜が潰れた。

すぐさま、ロッソさんの方へと視線と剣を向ける。だが、援護は不要らしい。ちょうどそのタイミングで、彼女の大鎌が魔物の胴体を捉えた。

「ぬぉおりゃぁ!」

見た目に反して豪快な掛け声と共に、大鎌が振り抜かれる。

リビングアーマーの胴体が真横に引き裂かれ、勢い余った穂先が壁を打ち砕いた。

反対側の壁を背にしながら、周囲を軽く見回す。どうやら、もう敵はいないらしい。

「ふぅぅ……」

「お疲れ様です、矢広さん」

「うん。そっちこそ、お疲れ。あと援護ありがとう」

「いえ」

魔石と一緒にボーラを拾い上げ、小鳥遊さんに渡す。クレイジー・ボア相手に使ったのと、同じ物らしい。どうやら、あれからまた新しく作った様だ。

あの猪と比べて、純粋な膂力はリビングアーマーの方が低い。それもあってか、縄の部分はまだ壊れておらず、後数回は使えそうだ。

「皆おつかれー。いやー、あーし出番ねぇな」

璃子先輩が、頬を掻きながら近づいてくる。

「バフもデバフも関係なしに、オタク君もロッソんも敵をなぎ倒していくじゃん。何この、適正レベルより下の所へ来た感じ」

「そうですか?わりと、霊格に魔力が溜まる感覚ありますけど」

「吾輩もだ。ふっ……これは、魔界の王への道がまた一歩前進したな」

「マ?んー、あーしは今回援護に回っているから、少なく感じるのかな」

「たぶん、そうじゃないですかね」

自分もロッソさんも、そして璃子先輩も異能者としては才能に溢れている方……らしい。

なんでも、異能の数で異能者の才能が分かるのだとか。現在ネット上で有力視されているこの仮説は、小鳥遊さん曰く正確ではないが、大きく間違ってはいないらしい。

それを考えると、自分達3人はかなり才能がある部類だ。『固有異能』まで持っている異能者は、滅多にいないとされている。成長速度も、大して変わらないはずだ。

「恐らく、矢広さんやロッソ……さんの身体能力は、同じ霊格の異能者を数段上回っています。それが、この戦闘速度に繋がっているのかと」

ロッソさんの名前に一瞬言いよどみながらも、小鳥遊さんがそう言う。

確かに、有り得そうな話だ。まあ、それを当然みたいに頷くのは、自惚れっぽく見えるからしないけど。

「適正レベルだけど、基礎スぺで圧倒していると。ま、念の為バフは戦闘中切らさない様にするけどねー」

「ありがたいですけど、魔力、大丈夫ですか?」

「今の所は問題ないよ。でも、そのうち固有使って回復はするかも。……見ても、ドン引きしないでね?」

少しだけ気まずそうに、璃子先輩がこちらを見てくる。

それに対し、呆れまじりに肩をすくめた。

「いや、普段の言動の方がわりと引くので……別に今更感が」

「なんだとぅ」

「それは吾輩も同意である」

「ロッソんまでぇ!?」

そんなやり取りをしながら魔石を全て回収し、前進。

取りあえず出口のゲートを目指しているが、その途中の部屋を軽く見て回る。

ないとは思うが、もしかしたら『アレ』があるかもしれない。そんな期待が、自分達にはあった。

「にっしてもさー。ネット小説とかだと、ダンジョンとかモンスターが現代に出たら、ランク分けとかするもんじゃないのかねー。Aランクとか、Sランクとか」

周囲に視線を巡らせながら、璃子先輩が唐突にそんな事を呟いた。

「何ですか、藪から棒に」

「いやさ。さっきの適正レベル云々の話で思ったんだけどね?万が一実力足んない人が、格上のダンジョンに入っちゃったらやばない?」

「それは、まあ……」

言われてみればその通りである。

ランクとか、そういう分かり易い指標があった方が冒険者的にはありがたい。

一応対霊庁のホームページに、どこの封鎖所にどんな魔物が出るかは書いてある。そこに、大雑把ながらどれぐらいの強さかも書いてあった。

だが、実力差や相性を見誤ってしまう可能性はなくもない。そもそも、己の力量を正確に把握している人の方が世の中少ないだろう。少なくとも、僕はよく分かっていない。

自分達も、いつそういったミスをするか分からない。

「ふむ……吾輩が前にネットで見かけた話だと、最初はランク分けすべきという動きもあったらしい」

「そうなんですか?」

「うむ。あくまで、ネット上の噂だがな」

そう前置きしてから、ロッソさんが続ける。

「実際に交戦した自衛隊からの証言と、市役所や県庁で鑑定した異能者の能力値を見比べて、危険度を正確に決めようという取り組みはあったのだ」

大鎌を肩に担いだ彼女は、小さくため息をついた。

「しかし、データが足りない中不用意にランク付けをしては、返って危険だと判断されたそうだ」

「なーる。ランク詐欺やっちゃわないか、心配だったと」

「あー……」

低いランクと思って行ったら、それが正確なものではなかった……なんて事態は笑い話にもならない。

だったら、『大まかにしか分からないので、気を付けよう』と注意喚起する方がマシと、政府は考えたのだろう。

「それでも、吾輩はランクが必要だと思うがな」

「そうなんですか?なぜ」

「決まっておろう……」

ロッソさんが不敵な笑みを浮かべ、大仰にマントを翻した。

「吾輩の実力を、明確に知らしめる為である!瞬く間に最高ランクまで上り、凡夫どもに格の違いを示すのも王の役目よ!」

「あ、そっすか」

「いや……だがそれだと『組織』に目を付けられるかもしれんな。本当は最高ランクだが、表向きには中位ぐらいのランクの方が……」

ドヤ顔で何やら語り出したので、適当に聞き流し索敵を続ける。

そうだった。他のクランメンバーが『アレ』過ぎて忘れていたが、この人も大概ヤベー奴なんだっけ。

「いいね、いいね……すっごくオタクちゃんしているぜ、ロッソん……!」

そうそう、こんな感じに『アレ』なのよな。他のメンバー。

ため息が出そうになる自分とは裏腹に、小鳥遊さんは淡々とナビを続けてくれる。

彼女の方を諸事情によりあまり見る事が出来ないが、本当にありがたい事だ。

決っして、視線を向けるとスケベなパイスーを纏ったドスケベボディに脳がバグりそうになるからではない。ないったら、ない。

……そう、思う事にする。

自分に言い聞かせながら、通路横にある扉に近づいた。

砦の様な構造だけあって、色んな部屋があちこちにある。大抵は、何も置いていない空っぽだが。

耳を澄ませて音を確認し、魔眼で魔力の流れを探る。どちらも問題なさそうなので、ゆっくりと扉を開けた。

殺風景な、壊れた樽や何も置いていない棚等がある室内。ここも『外れ』かと思い扉を閉めかけるが、部屋の隅に鎮座する物体に気づく。

「え、あれって」

「なになに?どったの、オタク君」

「璃子先輩、アレ」

後ろから覗き込んできた璃子先輩に、今しがた見つけた物を指さす。

そこにあったのは───鍵穴のある、木箱だった。

「うおおおお!?宝箱じゃん!」

「え、本当!?」

璃子先輩の声に、ロッソさんが素になりながら室内を覗き込む。いやあの、押さないでほしいのですが。

罠の類はないかと、警戒しながら室内に入る。床や壁、天井にもおかしな所はない。魔眼の未来視も発動しない辺り、問題はなさそうだ。

「……ぱっと見、トラップはなさそうです」

「おっしゃぁ!宝箱!宝箱じゃぁ!」

「まさか、本当に存在するとは……」

心底驚いたという様子で、ロッソさんがしげしげと木箱を眺める。

『宝箱』

別に金銀財宝が入っているとは限らないし、見た目だって普通の箱だ。ただ、冒険者の間では目の前の物品をそう呼んでいる。

ダンジョンとは、魔物達がかつて生息していた地域や巣を再現した場所だ。その為、当時の物資も一緒に出てくる事がある。もしくは、魔物達が現代に蘇ってから作った魔道具や魔法薬……なんてケースもあるとか。

そういった品は、最初に入った自衛隊がサンプルとして回収してしまう。

だが偶に、こうして新しく置かれる場合があるのだ。それがダンジョンの自己再生機能の一環なのか、魔物達の努力の結果なのかは知らない。

詳しい理由は、この際どうでも良かった。

ダンジョンで、宝箱から高価な物を手に入れる。それに勝る浪漫が、はたしてこの世にどれだけあるだろうか。

璃子先輩達程じゃないが、自分も鼻息が荒くなる。

「で、鍵どうしようか」

「箱を叩き壊せば良いのではないか?」

「いや、中身が割れ物だったら困りますし、隙間から短刀でも入れて、てこの原理で……」

『霊装』の短刀を取り出した自分の横を、小鳥遊さんが通り過ぎる。

「私が開けます」

「え、出来るの?鍵開け」

「おそらく」

小さく頷いた後、彼女は宝箱の前に肩膝をついた。

そして、布製のツールロールを取り出した。その中から、小さめのドライバーと針金を手に取る。

……不謹慎だとは、思うのだが。

片膝をついて前傾になった小鳥遊さんの横乳が、後ろからでも見えている。

彼女の動作に合わせて僅かに揺れる、大きな胸。時折二の腕に当たって、シースルー素材に包まれた爆乳が形を変えた。

視線を下にずらすと、細い腰には不釣り合いな大きなお尻が見える。こちらも臀部の半分近くがシースルー素材なせいで、何とも魅惑的であった。

どうにか、気合で目を上に向けようとする。お胸も通り越した先には、ポニーテールに髪を結った彼女の、白く綺麗なうなじが見えていた。

テレビとかで江戸時代の見返り美人の絵を見て、芸能人や鑑定士さんが『煽情的で~』と語っていても、意味が分からなかったが……それが、今は理屈ではなく本能で理解できた。

小鳥遊さんはこちらの事を『伝説のスーパードスケベ人』などと言っていたが、彼女の方がよほど全身スケベである。

もう、『エッチのテーマパーク』とか名乗った方が良いのではないか?

などと、わりと最低な事を考えていると。

「あと少しですので、周囲の警戒をお願いします」

「あ、はい」

「お、おけまるー」

「う、うん。じゃない、よかろう」

3人揃って、回れ右をする。

璃子先輩とロッソさんの顔を見れば、何とも言えない表情をしていた。たぶん、自分も似た様な顔をしていると思う。まあ、面頬があるのだが。

「……宝箱、楽しみだね!」

「そうですね」

「まったくだな」

絶対、この2人も小鳥遊さんの事を『エッッッ!』と思っていたな。

同性かつそっちのケがない2人でもこれとは……小鳥遊さん、恐ろしい子……!

それはそれとして、周囲の警戒は真面目にやる。ダンジョンは危険な所なのだから。

10秒か、20秒ぐらいした辺りで、『カチン』という音がする。

「開きました。罠の類は、ないと思います」

「おおっ!」

璃子先輩が真っ先に振り返り、自分とロッソさんも宝箱の方を見る。

工具をしまう小鳥遊さんの横に両膝をついて、璃子先輩がそれぞれの顔を見まわした。

「ね、ね!あーしが開けてみてもいい?」

「私は構いません」

「僕もです」

「よかろう」

「よーし。じゃあ……オープン、セサミ!」

ガチャリと、璃子先輩が蓋を開ける。

そこに入っていたのは。

「……何か、ごちゃっとしているね」

雑多に入れられた、ナイフやトンカチであった。

取り出してみると、数は合計で15。目立った装飾はなく、実用品に見える。

「ね。これ、なんか魔法とか付与されていると思う?」

「いえ……特に、それっぽい魔力は」

『魔力視』や『鑑定』の魔眼ではないが、流石にそれぐらいは分かるつもりだ。

これらは、魔力を帯びている以外はただのナイフとトンカチである。

「そっかー……」

「いや、これだけでも十分お宝ですよ」

若干落ち込む璃子先輩に、首を横に振る。

これが『ポーション』や『魔道具』であれば、1つ10万から30万円はするかもしれない。講習では、実際に魔道具を発見した冒険者の話も聞いた。

だが、魔力を帯びた物品でも売れば1万円から3万円ぐらいはしたはず。それが15個となれば、最低でも15万円だ。

魔石と同じ値段以上に設定されているのは、冒険者がクランに報告せず、裏で売ってしまうのを避ける為だと言われている。

物によっては、非常に危険な物もあるのだ。その規制の一環で、冒険者が独自に作った魔法の品も販売が禁止されている……と、法律が中々定まらない理由として、噂されていた。

それだったら、冒険者のハンドメイド品も政府で買ってくれと思うけど。

閑話休題。兎に角、中々の儲けである。

「くぅ。まあ、地味だけど確かにお宝!これも浪漫!」

「然り!然り!然り!」

「小鳥遊さん、開錠お疲れ様」

「いえ。簡単な構造でしたので」

いつもの無表情で、彼女は小さく首を振る。

だが心なしか、その顔は誇らしげに見えた。

「おーし、今日は帰りに何かよろうぜ!打ち上げじゃ打ち上げ!」

「え、めんど……んん!吾輩は魔界の政治について学ぶ事が多いのでな。遠慮しよう」

「あ、じゃあ僕も良いです」

「では私も」

「ノリわっる!?」

いや、だって打ち上げとかやるより、自分の部屋でのんびりしていたいし。

ぶつくさ言っている璃子先輩を無視し、宝箱の中身を回収していく。

「冒険者免許あれば、多少の刃物は持ち歩いても良いんでしたっけ?」

「たしかそうであるな。しかし、封鎖所の受付で報告義務があったはずだ。その際に、段ボールとガムテープを渡されると聞いたぞ」

「あー、グルグル巻きにしないといけないんでしたっけ」

「うむ。ついでに、途中で『紛失』すると罰金をくらう。かなり重めの、な」

「ですよねー」

「うう……美由っち。あーしを慰めて。オタク君とオタクちゃんが、優しくさせてくれないし、優しくもしてくれない」

「え?慰めろと言われましても、何をすれば?」

「取りあえず頭撫でて」

「は、はあ」

「璃子先輩、セクハラですよ?」

小鳥遊さんが、ぎこちなく璃子先輩の頭を撫でる。

「うーん……バブみが足りない」

「そうですか」

「何やってんですか、あんたら……」

もうどっちにツッコミを入れて良いか分からねぇ。

あと、小鳥遊さんが『バブみ』という単語を知っていた理由について、考えたくない。嫌な予感がする。

気を取り直し、剣を肩に担いだ。

「探索を再開しましょう。地図が確かなら、あと少しで出口でしょうし」

「うむ。そうであるな」

「ういー」

「了解」

そうして、ダンジョンを進んでいく。

間に数回の戦闘こそあったものの、自分達は無事に探索を終え帰還した。

回収した魔石は合計で28個。ちょうど4人で割れる数であり、1人につき7万円の儲けである。

もっとも、税金やら冒険者保険の分が引かれるので、実際には3万から4万ぐらいだが。

しかし、宝箱の中身がある。そちらはクランから役所に専用の容器と手順で送り、鑑定やら何やらして値段が分かるので、報酬が貰えるのはもう少し先だ。

非情に、懐が温まる探索だったと言える。

……もっとも、最大の目標は達成したと言えないが。

ロッソさんの実力。そして異能について、その全てを見る事は叶わなかった。

冒険者歴の問題で、あまり高位の魔物がいるダンジョンに行けないと言っても、リビングアーマーでは彼女の『本気』を引き出す事が出来なかったのである。

探索に行った時間は昼頃だったので、太陽光を浴びなくてもコンディションは万全と言えないものだったはずだ。その分、ロッソさんも全力を出すと思っていたが……。

シンプルな力押しだけでも、彼女は十分に強い。

マスターから聞いたロッソさんの『固有異能』の凶悪さを考えると、未来の世界で艦隊を文字通り半壊させたのも頷ける話だ。

まあ、それはそれとして。

「ロッソ~ん!本当に打ち上げしないのかよ~!あ~そ~ぼ~よ~!」

「でぇい引っ付くな!マスター殿に貴様の奇行を報告するぞ!」

「ふっ。よく考えたら、無理やり君らについて行った段階で叱られるのは確定しているのさ。つまり、あーしにもう恐いものはない!」

「こやつ、開き直りよった!?」

「オタクちゃん……いーっぱい、遊ぼうね……?」

「ぴぃ!?」

駐車場で璃子先輩に絡みつかれるロッソさんの姿は、やはり悪い人には思えない。変人かつ苦労人なだけで。

そして、スタイルが良い。璃子先輩の巨乳が、ロッソさんの巨乳とぶつかって互いに形を変えている。その柔らかさが、視覚から伝わって来た。

自分の理性が、『お前チョロ過ぎない?』と言ってくる。

それに対して自分の本能が、『バカ野郎!巨乳美少女と巨乳美女の絡みで、脳がバグらない男子高校生がいるかよ!』と反論していた。

すごい。我ながら脳みそがとっても軽い。でも仕方ないじゃないか、男の子だもん……!

スタイルの良い美女には、無条件で好感度が高くなる。それが、男子高校生というものなのだ……友好度や信頼度が別枠なだけで。

「でぇい!分かった!分かったから離れろ!」

自棄になった様子で、ロッソさんが叫びながら璃子先輩を引っぺがした。

「よっしゃ言質取ったぁ!じゃあうちの店で……は、お祖母ちゃんに叱られるのを少しでも先延ばしにしたいから……そっち3人の誰かのおうちで!」

「えっ」

もしかして、僕も参加する流れなの?

「なら、広さ的に私の家でしょうか?」

「えっ」

小鳥遊さんは参加する気なの?マジで?

「ですが、どちらにせよ先に宝箱の中身は店に置いていかねばなりませんよ?」

「ぐへぇ!?で、でもこの後友達の家へ遊びに行くと言えば、お祖母ちゃんならお叱りを後回しにしてくれるはず……!ついでにお菓子もくれるはず……!」

「吾輩が言うのも何だが、こやつに甘すぎだろ、マスター殿」

あ、もう完全に打ち上げをやる流れですか?

「じゃあ、早速行こうか、オタク君!」

「……はい」

絶対に逃がさないぞ、とでも言うように、璃子先輩の手がこちらの肩に置かれる。

……どうして、陽キャってやたら集まって遊びたがるのだろうか。

遠い目をしながら、先輩に引きずられてバス停に向かった。