軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第六十六話 この世の楽園

第六十六話 この世の楽園

シルベスタ卿……今はリゼさんと呼ぶべきか。

リゼさんの水練により、地獄の様相を呈していた親衛隊だが。

「そー……れ!」

「よっしゃこーい!」

「えー、その水着超良いじゃん」

「っしょー?これ、実はお姉ちゃん経由で仕立ててもらってさー」

「教会印のサンオイルを塗ってしんぜよー。あっぬーりぬりと」

「ひゃっ!?ちょ、くすぐったいって!真面目に塗ってよ、もー!」

昼食にバーベキューして少し休んだら、全員復活した。

凄いね、人体。切り傷や打ち身は魔法で治したとはいえ、体力はそう簡単に戻らないのだが……。

改めて親衛隊の練度には驚かされる。純粋な魔力量はそこらの貴族と大差ない者ばかりなのに、鍛錬で肉体への魔力の浸透率を上げているのだ。

心・技・体。そのどれをとっても、彼女らは帝国でも精鋭中の精鋭といえる。かつて戦った帝都守備隊といい、近衛騎士は誰も彼も強者ばかりだ。

そして、親衛隊は美貌とスタイルも抜群である。

全員が美少女か美女。前世だったらアイドルかモデルかと思うような容姿をした彼女らが海で遊ぶ姿は、それだけで絵になる。

しかも、巨乳か爆乳。クリス様の親衛隊を選んだのはコーネリアス前皇帝らしいが、巨乳の血筋だけ集めたのではなかろうかと、毎度の事ながら思う。

今となっては彼の思惑を知る術はないし、どうせろくでもない理由なので知りたくもないが。こうして美女達の水着姿を拝めた事は感謝しないでもない。

革でできたボールを使いビーチバレーに興じている者達が、楽しそうに遊んでいる。その度に小さな布地に包まれたお胸様が揺れ、お尻に水着が食い込んだ。

「食い込みを直す、あの瞬間……それは、この世でも五指に入る芸術ですよね、若様」

向こうでは、砂浜にビーチチェアーを置いて日光を浴びている者達もいる。

サングラスをかけ、自身の腕を枕に足を組んでいる親衛隊の隊員。惜しげもなく曝け出された美脚もさる事ながら、やはり見事な双子山にこそ視線が吸い寄せられそうだ。

仰向けになる事で重力により少し形を変えながらも、なおも存在を主張するロケット具合。呼吸に合わせて僅かに揺れる様は、感動すら覚える。

その隣。ビーチチェアーでうつ伏せになっている隊員。

彼女も組んだ自身の腕を枕にしているのだが、ビーチチェアーとの間で押しつぶされた乳肉が横へ思いっきりはみ出ていた。

しかも、日焼けの為か後ろの紐を解いている。滑らかな背中と、横乳のコントラスト。きっと、神はそこにいる。

更に、無防備に上を向くお尻。その張りを主張するように、プリッとした美尻が日に照らされていた。

「思わず撫で、そして軽く叩きたくなるお尻。もしもアレを枕にする事ができれば、それはこの世の楽園でしょうね」

「あの、さっきから同意を求めないでもらえますか?」

砂浜に敷いた布のマットの上で体育座りしているのだが、何故か隣でグリンダまで体育座りしていた。

いや、それは良いのだけれども。セクハラトークをするのはやめてほしい。

え?お前は頭の中がセクハラまみれじゃないかって?

……21世紀の日本では、思想の自由が認められていたから……。なんなら、この世界だとセクハラという言葉すらまだ生まれていないし。

それにしてもと、グリンダの方に視線を向ける。

水着で体育座りというのも、良い物だ。膝で柔らかく押しつぶされた爆乳。強調された瑞々しい太腿。

身長差が座高にも出て、上から谷間が堪能できるのもグッドである。

「若様を尻派に改宗させる為、こうして隣で尻の良さを語っております」

「いや、その必要はないと言いますか……」

「ええ。若様が『乳尻太腿!女体は全てエロい!エッチッチ!』という思想を持っている事は知っております。その上で、特にオッパイ……いえ、デカパイが好きなだけという事も」

「人目のある所でそういう事を言うのやめてもらえません?」

「ですが、宗教とは……皆良くって、皆1番では済まないのです……!」

「宗教問題を語るな。こんな事で」

「なぁに2人してじっとしているんすか!遊びましょーぜ!」

そんな事を話していると、アリシアさんが近づいてくる。

視界の端で、いつの間にかビーチバレーにレジーナさんとオリビアさんも参加していた。それぞれ青色のビキニと、黄色のワンピース水着を着ている。元気に巨乳を揺らしていた。

どうやら、とっくに交代して既にその辺で遊んでいたらしい。視線をアリシアさんの方へ向ける。

「……誰?」

「アリシア・フォン・シュヴァルツっすけど!?突然他人の振りとかどういう事よマジで!?」

いや、だってあまりに普段と違ったので。

確かに顔形は間違いなくアリシアさんである。だが、肌の色が綺麗な小麦色になっていた。

ついでに髪型もツインテールに変わっている。

「髪型は今日ポニテの子多めなんで、あえてツインテにしたっす!」

アリシアさんがふふんと、自信満々な顔でピースをする。

「いや、そっちもですが、それよりもですね」

「ああ、肌の色っすか?あーし、なーんか昔からすぐに日焼けするんすよね」

「だとしても速過ぎでは……?」

「大丈夫っす!5分ぐらいでこうなるっすけど、明日の朝には真っ白っすから!」

「……失礼ですが、何類ですか?」

「クロノっちに言われたくねぇ!?あーしは人類っすよ!?」

いや5分で全身小麦色になって、翌朝には元の色とかおかしいだろう。生物として。

あとまるで僕を人類以外の何かみたいに言わないでほしい。帝都だと真面目に疑われそうなので。

「血筋なんすかねー?あーしのお婆様とか、ひいお婆様もそうらしいっすから。あ、ちなみにひいお婆様は今年でちょうど70歳っす」

「まあ、健康に問題ないのなら良いのですが……」

「そんな事より、もっと他に言うべき事があるっしょ!ほらほら、主に首から下について!」

そう言って、アリシアさんが片手を後頭部に、もう片方の手を腰に当ててポーズをとる。前世のアニメやドラマで見た、昭和のポスターみたいだ。

だが、確かに思わず注目してしまうスタイルをしている。

アスリートのように引き締まった美脚。やや小ぶりなお尻。薄っすらと腹筋の浮いたお腹。

そして、小玉スイカとでも言うべき、巨乳。

綺麗な曲線を描く、美乳。それでいて大きい。まさにたわわに実った果実。

そんな美しい肉体は現在、まさかの『金ビキニ』……しかも、マイクロビキニに覆われていた。

今この時、似非ギャル騎士は、ウス=異ホンのギャルと化していた……!

本当に小さな布地で隠された、山の頂と秘所。というか、かなりハイレグかつ布地が少ないのに、その……下半身に毛が1本も見えないという事は……。

「ふふん。ガン見っすねぇ、クロノっち。偶にいる一穴主義の当主とか、『真実の愛』ガチ勢とは違うみたいっす」

はっと、正気を取り戻す。

気合で視線を上に向ければ、アリシアさんがニヤニヤと笑っていた。

ただし、日焼けした頬をほんのり赤くしているが。

「ふふーん。あーしの魅力にやぁっと気づいたんすか。ま、クロノっちが当主になったら、ストラトス家の騎士の質が跳ね上がると知れたのは良かったっす」

「ど、どういう意味ですか……!」

「えー?それを乙女の口から言わせんのー?クロノっちのへんたーい。スケベー」

アリシアさんが、口元に手を当ててケラケラと笑う。

この人……!まさか、ギャル度が上がっている……!?

通常時の白ギャル擬きが、現在は黒ギャルに変化……いや、進化しているというのか!?

……僕の脳は退化しているのか!?

「なるほど。つまり、15年後から20年後辺りで、クロノ君の子供達が大量に戦場へ出てくると。……敵国や周辺領地からすれば地獄ですね」

「シルベスタ卿!?」

「今はリゼさん。あるいはリゼにゃんです」

そんな事を言いながら、リゼさんがこちらへやってくる。

長い銀髪を後頭部で纏めた彼女は、なんと黒と紫で彩られた競泳水着を纏っていた。

怜悧とも言える顔立ちに、機能性を重視した水着。だが、その体つきはグラビアアイドルも顔負けなものであった。

グリンダにも劣らぬ、顔より大きな乳房が彼女の組んだ腕に支えられている。

そんなお胸様とは逆に細い腰と、そこからぐっと広がった安産型のお尻。そして、太腿は太いのに膝から下は細く長い足。

かなりえぐい角度のハイレグで、太腿の付け根どころか鼠径部もちょっと見えている。

これは大迫力。流石は親衛隊の隊長……!

「……ストラトス家ばかり強くなるのは、少し困りますね」

「どーすんすか……まぁじで今後の……」

「やはり……例の……」

……いけない。思考がピンク色に染まる。

自分は、あまり自制心が強い方ではない。帝都ではほぼ毎日グリンダの協力のもと煩悩を吐き出しているが、それでも若く頑強すぎる肉体は容易く欲望でもって理性を踏み潰してしまいそうだ。

具体的に言うと、思考力が低下し同時に生理現象が起きる。

……いや、こんな事を考えている段階で、もう頭がだいぶダメになっているのでは?

どうしよう。自己分析でちょっと死にたくなってきた。

そんな自分をよそに、妙に鋭い視線で何かを話し合っていた親衛隊の隊長と副隊長。しかし、その後ろからクリス様がやってきた事で2人の密談は中断された。

「あーりーしーあー!」

口元こそ笑顔だが、こめかみに青筋を薄っすらと浮かべているクリス様。

そんな彼女に、アリシアさんが笑顔で万歳する。

横乳、揺れ乳!

「お、クリス様。その水着似合っているっすよ!流石あーしセレクト」

「ボク、控えめな水着にしてってお願いしたでしょー!着替える時に荷物からこれが出てきて、凄く驚いたんだからね!?」

「えー?きちんと地味目なやつ選んだじゃないっすかー」

「どこが……って、うん。そうだね。君に頼んだボクが間違っていた」

「なんか酷くねぇっすか!?その評価!?」

いや、金色のマイクロビキニを嬉々として着るセンスだと、確かにこの人をあてにしちゃ間違いだと思うわ。

と、そこで。ここまで妙に静かだったグリンダが立ち上がり、綺麗なお辞儀をする。

「皆様方。1つ、お願いがございます」

「ふえ?どうしたの、グリンダ殿」

「ラーメンの使徒である御身の頼みであれば、クリス様を裏切る事以外従いましょう」

「隊ちょ……リゼっち?どこからツッコミ入れれば良いかわかんない発言は、ちょぉっちやめてほしいっす」

「ささやかな、しかし大切なお願いです。まず、我々に背中を向けてください」

「こ、こう?」

「……あ、なんか察したっす」

「そして、膝に手をつくように前屈みになっていただきたいのです」

「え?なんで……?」

「なるほど。ここはあえてノルっすよ、リゼっち!」

「……いいでしょう。ラーメンの使徒と、副隊長を信じます」

「え?え?」

混乱するクリス様だが、信頼するリゼさん達が従ったので同じポーズをとる。

結果、3人のお尻がこちらに突き出された。

右から、ツンと上を向いた褐色の小尻。白くお餅みたいな丸いお尻。肉がたっぷり詰まっているが、垂れる事のないデッッッカな尻。

それらが、体育座りしている事もあって目線より少し上の高さに並んでいる。

……スケベ尻のデパート?

「……って、この体勢はダメでしょ!?」

慌てて飛び退き、お尻を隠しながらこちらに向き直るクリス様。その拍子に、巨乳がたゆんと揺れる。

もしやこの皇帝陛下、全身がスケベか?

「まあ、クロノっちっすからねー……」

「ええ。クロノ君ですし」

何故か、まるで僕がお願いしたみたいに言いながら、元の姿勢に戻るリゼさんとアリシアさん。大変遺憾である。

まあ、グリンダは自分の騎士兼メイドなので。彼女の発言がこちらの発言と取られるのは仕方ないのだが。

「どうですか、若様。これこそが、尻の魅力です……!」

何を力説しているのだ、おどれは。

いい加減、不敬罪でしょっぴかれますよ?

「ありがとうございます!」

いけね、本音と建て前が逆だわ。

……本格的にやばいな?頭が。

「く、クロノ殿!?」

「違うのです、クリス様。これには深いわけがあるのです」

「そ、そうか……クロノ殿だものな……信じる!」

やだ、この陛下将来が凄く不安……!

キラキラとした瞳で、柔らかく微笑むクリス様にそこはかとなく罪悪感を抱く。

まあ、今は数々の絶景に高鳴る胸の鼓動で、それどころではないのだが。

「クリス様ぁぁ!」

「ん?」

突然の大声に、揃って声のした方向に顔を向ける。

何やら、警備についていたらしい親衛隊の1人が大慌てでこちらに走ってきていた。

「敵襲か!」

「いえ、違うけど緊急事態です!」

鋭い声で問いかけるリゼさんに、その隊員が勢いよく首を横に振る。

「シャルロット様が来ちゃいました!お1人なのですが、政治的に止められません!」

「なっ」

思わず、全員が固まる。

あのレッドドリル令嬢が、何故ここに?いや、少し考えればおかしな事はない。

親衛隊への世間からの評価は、クリス様の護衛兼愛人部隊である。婚約者が愛人達に囲まれてバカンスとか、彼女からすれば面白い状況ではない。

アリシアさんを始めシャルロット嬢と親衛隊は仲が良いが、それはそれ、これはこれ。正妻候補より愛人が優先されては、グランドフリート家のプライドが傷つけられる。

だが、彼女はクリス様の性別を知らないし、今はまだ教えるべき時でもない。

かといって、武器も持っていない婚約者を通さないのは外聞が悪過ぎる。愛人達と悪い意味で格差をつける事となり、侯爵家との間に溝ができてしまうのは確実だ。

どうすれば……!

「クーリースーさーまー!」

もう来た!?

ドドドドド!という足音と土煙を上げながら、シャルロット嬢がこちらに猛進している。

接触まで、もう時間がない!

「そうだ、親衛隊でないクロノっちなら足止めに行っても大丈夫っす!」

「……すみません。今は立てないです」

「つっかえねぇなこの色ボケ!?」

誠に申し訳ない。

しかし、どうする……!?クリス様にはロッジに隠れてもらい、どうにか手早く着替えを済ませるか?

だが、そんなものはただの時間稼ぎ。まだ日も高いので、相手が『ワタクシとも水着で遊びましょう』と言ってきたら断れない。

それぞれどうしたものかとパニックになる中、親衛隊隊長は考えるより先に行動へと移った。

「失礼します」

そう言って、リゼさんが勢いよく地面を踏みしめたかと思えば、自分とグリンダが座っていた布のマットを引っこ抜く。

まるでテーブルクロス引きだ。見事なもので、自分達は先程と同じ姿勢で砂浜に座ったままである。

彼女はマットをクリス様に羽織らせ、てるてる坊主みたいにした。

直後、砂煙を気にしてか減速していたシャルロット嬢がこちらに歩いてくる。

「おーほっほっほっほ!水臭いではないですが、クリス様!婚約者であるこのワタクシを置いて海にだなんて!せっかく用意したこの水着が、無駄になる所でしたわ!」

そんな高笑いと共にやってきた彼女は、まさかの白い紐ビキニであった。

1歩歩くごとにたゆん♡と揺れ、たぱん♡と谷間で乳肉同士をぶつけさせる爆乳。

腹筋が少しだけ見える引き締まった腰。そして、シルベスタ卿やグリンダに匹敵するデカ尻。肉感的な太腿。

絵に描いたようなお嬢様ポーズで、レッドドリル令嬢がクリス様の前に立った。

「や、やあシャルロット殿。こ、こんな所で、奇遇だね?」

冷や汗を大量に流し、クリス様が頬を引きつらせながら笑いかける。

それに対し、流石にあの水着は恥ずかしいのかシャルロット嬢の頬はほんのりと赤かった。

「うふふふ。まったく、親衛隊とだけ海へ行くなんて。ワタクシが後で笑いものにされてしまうかもしれないのに……罪なお人ですわ、クリス様」

「ご、ごめん!でも、そんな事にはさせない!絶対に君を守ってみせる!」

「まあ……!いやんクリス様ったら!『一生一緒だ!離しはしない』だなんて……!」

「え、いやそこまでは……」

いやんいやんと、身をくねらせるシャルロット嬢。

頬を両手で押さえた事で、左右から爆乳が圧迫。その長く深い谷間が、より強調される。

「これはもう結婚しかありませんわ……今すぐ式を上げましょう!この海がワタクシ達の、きょう……かい……」

そこまで言って、ようやくこちらに気づいたらしい。

シャルロット嬢が、体育座りしたまま彼女を見上げる自分を発見し硬直する。

「このような姿勢で申し訳ございません、シャルロット様」

「く、クロノ殿?え、あ、お待ちになって!?ワタクシ、夫以外の殿方の前でなんて格好を……!?」

慌てて、自身の体を掻き抱くシャルロット嬢。だが、魅惑的過ぎるそのボディを細腕2本で隠すなど不可能だ。むしろ逆にエロい。

赤面する彼女に、視線を自分の膝へと落とす。

「失礼しました。皇妃となる御身の肢体を見てしまうとは、謝罪する他ございません。まるで地上に降りた美の化身がごときお姿に、つい目を奪われてしまいました」

「ま、まあ……!そんな……はっ!?駄目ですわワタクシ!ワタクシにはクリス様という生涯の伴侶が……!?」

ブオンブオンという風圧で、シャルロット嬢が勢いよく顔を横に振っているのがわかる。

「違いますのよクリス様!?いや、この気持ちはあの時捨てたはず……でもでも……だからといってクリス様への想いも本物で……!」

「しゃ、シャルロット殿?」

「ごめんあそばせぇええええええええええ!!」

「ええええええええ!?」

砂煙が自分達を飲み込んだかと思えば、足音が遠ざかっていく。

リゼさんが腕の一薙ぎで砂煙を振り払ったところで、顔を上げた。どうやら、シャルロット嬢は自分の馬車にダッシュしたらしい。

「……うん」

風圧でマットが飛んでいったらしいクリス様が、遠い目をしながら笑みを浮かべる。

「一件落着、だね!」

せやろか???