作品タイトル不明
シリウスの慰労会!
天狼星(シリウス) とゲイツ様が帰って来た。
王立学園の期末テスト、月曜と火曜でお終いだ。
水曜は、終業式! いつも、裁縫とかの作品を見たなぁ。秋学期はテストの成績は発表されない。
成績は、保護者に王立学園から通知が届く。ナシウスが飛び級できると良いなとは思うけど、急いで大人にならなくても良いんだよとも思う。
私は、貧乏なグレンジャー家に転生したから、弟達の為に早く働きたいと思ったんだ。今は、普通の貴族の暮らしができている。
ともあれ、慰労会の食事はエバに任せるけど、 天狼星(シリウス) のは私が作ろうかな?
半地下に行くのもメアリーは良い顔をしないけど、工房があるからね。
それに、ちょこっと料理できるように魔導ストーブと鍋とフライパンなどの調理器具も揃えているんだ。
これは、新居の工房の横にミニキッチンをとラドリー様に頼んだら、こちらにもミニミニキッチンをプレゼントしてくれたんだよね。
「メアリー、 天狼星(シリウス) の為のご馳走を作らなきゃいけないわ! 魔物だから、玉ねぎも食べても良いそうだけど、やはり塩分とか控えた方が身体に良いと思うの」
メアリーは、本当はまだ少し 天狼星(シリウス) が怖いみたい。
その 天狼星(シリウス) が空腹なのは、良くないと考えて、冷凍庫からドラゴンの肉を持って来ると頷いた。
「 天狼星(シリウス) 、どのドラゴンの肉が一番好き?」
どうせ料理するなら、シリウスの好きな物が良いよね?
「ウーワン、ワン!」『レッドドラゴン!』
やはり魔物だから、魔素が多い肉が美味しく感じるのかも?
「ワン、ワン、ワン!」『他のも食べたい!』
「メアリー、レッドドラゴンの大きな塊と、他のは中くらいの塊を冷凍庫から工房に運んでね」
自然解凍するまで、 天狼星(シリウス) にはクッキーをあげておく。
「お姉様! 天狼星(シリウス) が帰って来たと…… 天狼星(シリウス) !」
カミュ先生と勉強していたヘンリーが駆け込んできて、 天狼星(シリウス) に抱きつく。
「ヘンリー、 天狼星(シリウス) にクッキーをあげながら、庭で遊んでも良いわよ」
ニカッと笑うヘンリーにクッキーの箱を渡す。
「 天狼星(シリウス) 、庭で遊ぼう!」
「ワン!」と一人と一匹が元気よく庭に出て行った。
「お嬢様、 天狼星(シリウス) がより空腹になるのでは?」とメアリーが心配している。
「ふふふ……解凍は、魔法でするから大丈夫よ」
工房に降りて、先ずはレッドドラゴンの塊肉を「解凍!」する。
これには、塩と胡椒を塗し、フォークで穴を開けたところにニンニクを差し込んでいく。
「メアリー、全部の穴にニンニクのカケラを入れてね!」
メアリーは、料理はあまり得意ではなさそうだけど、台所は全員が慰労会で忙しくしているからね。
天狼星(シリウス) が野菜が好きかはわからないけど、成長期なのだから、バランスよく食べさせよう。
アースドラゴンは、薄切りのじゃがいもと交互に深いフライパンに並べていく。上からベシャメルソースを流し込んで、チーズを振って、魔導ストーブの下の段で低温で焼く。
じゃがいもとアースドラゴンのグラタンだ!
一番あっさり(私には濃厚だけど)のシルフィドラゴンは、塩麹に漬けて、ドラゴンハムにするつもり。
低温調理は時間が掛かるけど「ドラゴンハムになれ!」で時短しちゃおう。
「お嬢様、やっとニンニクを詰め込めました」
その大きな固まりを鉄板の上に置き、上にバターをあちこちに置く。
濃厚なレッドドラゴンにバター! 凄く味が濃くなりそう!
周りにさつま芋、丸ごとの人参、キャベツ、蕪などで囲んで、魔導ストーブに入れる。
「これで準備はできましたわ!」と言ったら、メアリーに大きな溜息をつかれた。
「後は、時々、レッドドラゴンの塊肉に肉汁を掛けながら焼けば良いだけよ!」
その間に、ちょこっと思いついた料理にも挑戦!
「台所からスライサーを借りて来て!」
私は、エバほど薄くは肉を切れないからね。
薄切り肉をそれぞれ何枚かずつまな板の上に、少しずつ重ねながら並べて、キャベツの塩漬けをちょっと絞って置いて、クルクルと巻く。
キャベツの肉巻きだ! 前世の居酒屋で食べていたメニューだけど、彼方のは直径五センチぐらいだったけど、こちらのは十センチ以上あるな。
それを、レッドドラゴン、アースドラゴン、シルフィドラゴンの三種類作って、フライパンで周りを転がしながら焼く。
「良い香りですね!」とメアリーが思わず声を上げる。
「ふふふ……甘辛いソースで味付けしたら、もっと美味しそうな香りがすると思うわ!」
全部の面が、狐色になったので、醤油と蜂蜜とお酒を予め混ぜておいたのをフライパンに入れると、ジュジュッて音と同時に美味しそうな香りが満ちた。
「お嬢様!」とエバが工房にやって来た。
「あああ、凄く良い香りです! なるほど! スライサーで薄切りにして、中は……塩漬けキャベツですね!」
失礼! とソースを味見して、魔導ストーブを覗き込んで「新しいレシピを考えたなら、教えて下さい!」と言って、台所へ急いで戻った。
「エバったら!」とメアリーと二人で笑っちゃったけど、香りに誘われて 天狼星(シリウス) とヘンリーが工房にやって来た。
「ワン、ワン!」『良い香りだ!』
「お姉様、凄く良い香りがします」
うっ、どうしよう! 天狼星(シリウス) 用のご馳走なんだけど……ヘンリーは慰労会に出席しないし……。
「 天狼星(シリウス) 、ヘンリーに少し分けてあげても良い?」
「ワン!」『良い!』と許可が出たので、キャベツの肉巻きを五センチずつ切って、その一つずつをヘンリーのお皿に、他のを 天狼星(シリウス) の特製のステンレスの大皿に入れる。
「さぁ、食べても良いわよ!」
メアリーが急いで、ナイフとフォークを持って来てくれたので、ヘンリーもお行儀良く食べる。
天狼星(シリウス) は、先ずはレッドドラゴンのキャベツ巻き!
六切れあったのにペロリだ。
「美味しいです!」と嬉しそうなヘンリー!
「ワン、ワワン!」『やはりペイシェンスだ!』
ヘンリーも三種類のキャベツのドラゴン肉巻きを食べて、ニコニコ笑っている。
「どの肉巻きが美味しかった?」と尋ねると「アースドラゴンかな? でもレッドドラゴンも、シルフィドラゴンも美味しかったです!」と答えるので、可愛くてキスしちゃった。
「次は、熱いから気をつけてね!」
じゃがいもとアースドラゴンのグラタンだ。
皿にヘンリーの分、三分の一を取ってやる。
「 天狼星(シリウス) 、熱いわよ!」と注意するけど、食べるスピードが凄い。
「ワワワン!」『凄く美味しい!』
「熱くて、美味しいです!」
シルフィドラゴンハムなんか、瞬殺だよ! 切らなくても良かった感じだ。
レッドドラゴンのローストドラゴン、肉汁を掛けながら焼いているのだけど、 天狼星(シリウス) の涎が凄いことになっている。
「もう少し待って!」と言うけど限界みたい。
「ローストドラゴンになれ!」で時短だ。涎の池ができそうなんだもの。
鉄板を取り出して、肉を切り分ける。ヘンリーには食べやすいように薄切りだ。涎が出まくっている 天狼星(シリウス) には少し厚切りにしよう!
メアリーにそれぞれの皿に肉と野菜を盛り付けて貰っている間に、肉汁にワインを入れて煮詰めてソースを作る。それをローストドラゴンに掛けて出来上がり。
「さぁ、ローストレッドドラゴンよ」
これってマジック? 一瞬で消えたんだけど……。
「美味しいです!」
薄切りのローストドラゴンだけど、大皿にいっぱいの大きさだ。ヘンリーには三枚分けてあるけど、それも消えた。
大きなレッドドラゴンの塊肉のほとんどは、 天狼星(シリウス) に切ったのだけど、どこに消えたの?
「ワン、ワワワン!」『やはり、ペイシェンスだ!』
デザートは、応接室でアイスクリームを食べる。そこまで作る元気が残っていなかったから。
特大のアイスクリームを暖炉の前で食べた 天狼星(シリウス) は、満足そうに眠っている。
まだ、夕方なのにヘンリーもお腹がいっぱいになって眠たそうだ。
「おやすみなさい」とキスして子供部屋に行かせる。
「お嬢様、お着替えをしませんと!」とメアリーに急かされた。料理をしたばかりなのに! と溜息が出ちゃいそうだけど、パーシバルも招待しているのだから、おしゃれしなきゃね!