軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

パーシバルと一緒に計画したい!

夕食にはパーシバルを招待している。

その前に、父親が少し疲れた感じで帰宅した。

「お父様、どうされたのですか?」

健康でいてくれないと、困る。弟達は、これからなんだからね。

「ロマノ大学の教授は個性が豊かで……」

ははは、それは疲れただろうね。

「お疲れのところ、申し訳ないのですが、夕食にパーシバル様を招待しているのです」

父親は、パーシバルは気を使う相手ではないから、大丈夫だと少し笑った。

ううむ、どの教授が、マイペースな父親を疲れさせたのだろう? ヴォルフガング教授かな? さっき歴史研究クラブの話題だったから、ポワンと頭に浮かんだ。

それかグース教授かも? あの人は、厄介だし、声も大きいから疲れるんだよね。

「お父様、夏休みはグレンジャーかハープシャーで過ごしませんか? カザリア帝国の遺跡を見学しても良いですし、海水浴も気持ちいいですよ」

父親が一緒なら、パーシバルも館に泊まれる! お願い! 期待を込めて、声を掛けた。

「カザリア帝国の遺跡は見てみたいと思っていたのだ。だが、リリアナ姉上の館には大勢の客人が来られるだろうと遠慮していたのだが……ペイシェンス、行っても良いのかね」

やったぁ!

「ええ、勿論ですわ!」

玄関に迎えに出てきたナシウスとヘンリーも飛び上がって喜んでいる。

「お父様も夏休みを取るべきだと思っていたのです!」

ナシウス、本当に良い子だね。確かに、学長で疲れているのだから、夏休みは必要だよ。

フロートで海にぷかぷかしていたら、ストレスも解消しそう。

「お父様も一緒だ!」

ヘンリーは、父親に飛びついている。この子は、こういったストレートな愛情表現ができるね。

「そういえば、子ども達と一緒に夏休みを過ごすのは初めてかもしれないね」

母親が生きていた時は、私たちは幼くて、こちらの貴族の風習では、少ししか接触はなかった。その上、亡くなってからは、書斎に引き篭もっていたからね。

「婚約者のパーシバル様がいらっしゃるのですよ!」

家族で玄関で、ほんわかしたムードだったけど、メアリーに部屋に連れて行かれて、着替えさせられる。

今夜は、カルディナ帝国の薄いグリーンのドレスだ。シャーロッテ伯母様のデザインをアレンジして、ギャザーいっぱいつけたけど、布が薄いからボリュームはない。

メアリーが髪にドレスと同じ布をリボンにしたのを編み込んで、少し結い上げている。

「この髪型は素敵ね!」

ゆるく編み込んだのを、軽くまとめてある。まだカッチリと結い上げる髪型は、幼さの残る顔には似合わないけど、ゆるふわなら良い感じ。

「お嬢様も秋には社交界デビューですから」

ああ、このままでは、メアリーはグレアムと結婚なんてできそうにない。

屋敷の裏の果樹園の前にコテージを建てよう。

領地の方は、王都よりも土地が広いから、敷地の中でも、領都にでも家は建てられそうなんだよね。

ただ、メアリーは頑固なところもあるから、どうやって説得するか、パーシバルとこれも相談したいけど、絶対に二人っきりになれないから困るんだ。メアリー以外が側に残る事って滅多にないからね。

この件は、寮か 上級食堂(サロン) で話し合うしかないかもね。

今夜は、夏休みの計画を立てたい。

「パーシバル様がいらっしゃいましたよ」

キャリーが呼びに来た。メイド見習いとしては、かなりしっかりしてきて、お針子のメイド修業や下女の見本になっているけど、侍女として貴族の屋敷に連れ歩くにはまだちょっとって感じなんだよね。

他の侍女見習いがいるとメアリーも安心なんだろうけど、私的には侍女は常に側にいる存在だから、信用できるキャリーの方が安心なんだ。

もう少し、貴族相手のマナーを叩き込んでもらう必要がある。これは、家政婦のミッチャム夫人に頼もう。

本来は、メアリーが仕込むのが良いのだけど、何故急ぐのかは秘密だからね。

パーシバルは、私の新しいドレス姿を見て「初夏に相応しいドレスで、とても綺麗ですよ」とすかさず褒めてくれた。

前世の気の利かない男性と違って、こちらでは褒めるのがマナーなのだろうけど、やはり嬉しい。

父親は、応接室に残っているけど、夏休みの計画を二人で立てる。

「お父様も一緒にグレンジャーで過ごして下さるのです!」

先ず、一番大事だから、これを言わなきゃね!

「それは、嬉しいです。グレンジャー子爵、私も滞在して宜しいでしょうか?」

グレンジャー、ハープシャー、どちらも私の館だけど、丁寧にパーシバルは滞在許可を父親から得る。

「勿論、そうした方が良いだろう」

これは、娘の婚約者としてのマナーだし、父親は元々放任主義だから、簡単に許可を出す。

ナシウスが下りてきたので、歴史クラブの合宿になるかもしれない件を話し合う。

「部長のフィリップス様が他の案が無さそうなら、グレンジャーかハープシャーに滞在させてもらいたいのです」

パーシバルは、男子学生が一緒なのは嫌じゃないかな? 少し心配して顔色を伺うけど、こういう時、顔に出す人じゃないんだよね。

「それは楽しそうですね」

ううん? 嫌がっていなさそうだけど、ナシウスと離れるのは嫌だけど、合宿所はグレンジャーにして、私達はハープシャーにするのも有りかも? ただ、二箇所に配置するほど使用人がいないのが困るんだよなぁ。

この件は、食事の後でパーシバルと二人でゆっくりと話そう!

ワイヤットが食事の用意ができたと呼びに来たので、パーシバルにエスコートしてもらって食堂に行く。

今夜は、少し新作にチャレンジして貰っている。エバ、疲れないかな? カレーは出したことがあるから、大丈夫だと思うんだ。

前菜は、作り置きできるパテ! 領地から冷凍の蟹が送られて来ているから、それを綺麗に配置してある。

「蟹は美味しいな」

父親も蟹は大好物みたい。柚子風味のコンソメジェラチンで固めてあるから、さっぱりする。

「切り目が綺麗ですね」

パーシバルのモラン伯爵家には、こちらで修業したアンが戻っているから、このパテも食べられる筈。目線で問いかけると、苦笑する。

「アンも頑張ってくれていますが、まだ王都の屋敷では新人扱いなので、偶にしか披露できないのです。客人を招いた食事会の時に、一品を任される感じなんですよね」

ああ、そりゃ、元々の料理人がいるんだもんね。でも、折角、修業したのに勿体無いな。

「母は、領地ではアンにまかせると言っていますし、徐々に品数を増やすみたいです」

こういった家政をやりくりする家政婦さんも、協力してくれるだろうから、いずれはアンが料理人を束ねていきそう。

さて、今回の新しいメニューは、カレースープなんだ。

「うん? カレーとは違うのか?」

匂いから、カレーだと思っていた父親がワイヤットにサーブされたカレースープに驚いている。

「ええ、今度の教授会にどうかと思いましたの。カレーでは香辛料が苦手な方にはお出し難いので……どうでしょう?」

カレー風味だけど、辛くない。トマト多めの少しスパイシーなスープだ。

「これなら、年配のお客様でも大丈夫だろう」

父親もお疲れだったようだけど、スプーンが止まらない。

「ああ、これは夏場に良いですね」

パーシバルも満足そうにスープを飲んでいる。

魚のメインは、これも領地から送ってもらったビッグホエールの蒸したの。口に入れたら蕩けちゃう! 野菜にも、良い感じでビッグホエールの脂が染みている。

口直しのシャーベットの後は、討伐の残りのビッグバードのステーキ。塩麹に漬けてあるから、凄く柔らかい。

デザートは、少し魔法で熟成させたメロン。問題なく美味しいね!

気を利かせたのか、書斎で本を読みたいのか、父親はすぐに席を外した。

「お姉様、私は勉強しないといけません。パーシバル様、失礼致します」

ナシウスは、初等科二年生程度なら勉強しなくても大丈夫な筈だけど、気を利かせてくれたよ。

「さぁ、夏休みの計画を立てましょう!」

二人で、顔を見合わせて笑う。